昨日のブログは、高校時代に所属した演劇部のことを少し記事にしましたが、あれから夜のまどろみの中で、色々思い出していきました。
楽しかった思い出のはずなのに、社会人になり、大人になり、妻になり、母になって行く時間の経過と共に、記憶の隅に追いやられたまま風化寸前だった過去が、色を取り戻していく妙を噛みしめた夜でした。
かあちゃんのJK時代のお話しに、少しだけお付き合いくださいね。
女子高に入学したかあちゃんは、中学には無かった演劇部があることに驚き、何の迷いもなく入部を決意しました。
単独で飛び込んだので、親しい友だちもいなかったのですが、不安は少しもありませんでした。
初めての部活の自己紹介で、主役を演じられるように頑張りますと、大口を叩いたかあちゃんの鼻っ柱は、ずぐにへし折られることとなるのです。
その年の文化祭の演目は既に決定していて、入部して直ぐに配役を決めるため、本読みをすることになりました。
演目は、木下順二作「夕鶴」です。
まず、主役の「つう」の台詞を一人づつ読んでいきました。
かあちゃんの高校には、寮があり、演劇部にも新入生の寮生が数人入部していました。
その中のひとりが、本読みを始めると、2、3年生を含めた全員が雷に打たれたような衝撃を受けました。
台詞を読み始めた彼女は、既に主役の「つう」でした。
しかも、クライマックスに入ると、ハラハラと涙を流しながらも、良く通る美しい声で「つう」を演じ続けたのです。
その演技力は、素人から見てもただ者では無いと感じざる負えませんでした。
もちろん、彼女が一年生にして主役に大抜擢されたのは言うまでもありません。
しかも顔立ちも可愛らしく、かおりと言う名前でしたが、その日から卒業まで本名で呼ばれることはなく、ずっと「しのぶ」と呼ばれることとなるのです。
雰囲気も演技力も、「大竹しのぶ」さんを彷彿とさせていたからです。
そして入部早々、主役を演じると勘違い発言をしたかあちゃんは、照明係として、しのぶにライトを当てるのでした。
その後もかあちゃんは、裏方に徹することになるのですが、一度だけ村人Aを演じた時、緊張で台詞は棒読み、動きはロボットのようで、本番に弱すぎるという致命的な弱点が露呈されただけでした。
しのぶとは、卒業以来一度も会っていません。
ストイックで、常に何かを悩んでいるような、影のあるしのぶは、同級生でありながら、近付き難い雰囲気を醸し出していました。
彼女も間違いなく還暦の年齢です。どうしているのかな~。
長くなったので、すずちゃんがすねています


すずちゃん、すねないでよ


すねてなんかないわよ


かあちゃんは、長く生きているから過去がいっぱいあっていいわね

って思っているだけよ
