諏訪山岳会公式ブログ

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八ヶ岳大同心南稜

2017年06月15日 | 八ヶ岳 バリエーション・アルパイン
2017年6月11日(日)
岩ひばり、K藤、N原、O石(記)
八ヶ岳大同心南稜



梅雨の晴れ間に八ヶ岳大同心南稜に行って参りました。
梅雨入りしたとは思えない快晴でしたが、
風も冷たく6月の八ヶ岳の寒さに苛まれた登攀記録です。
全員無事に完遂できましたのでレポートします。

大同心南稜ルートは夏冬を通じて人気のバリエーション登攀ルートです。大同心基部から3~4ピッチで大同心ドーム下のバンド上のテラスにて終了するルートですが、折角なので雲稜ルートの最終ピッチであるドームを登ろうということになり、トータル5ピッチ作戦で臨みました。下降は大同心コルまで歩き、そこから懸垂で取り付き点に戻る計画です。雲稜ルートは岩ひばり、O石の2名が昨年夏に行っています。


6月11日(日)
4:25美濃戸口に全員集合し、美濃戸を4:45出発。
霜の残る登山道に防寒装備に心細さを感じるメンバー…
気温の上昇が待ち遠しい。
6:15に赤岳鉱泉着。そのまま大同心基部まで登り、雲稜ルートへ下降する分岐から少し上の草付テラスで安全装備を装着。
バンドを40m程トラバースして草付テラスの南稜取り付き点に8:00到着。ここで登攀装備を整えて1組目のO石、N原が8:30スタート。後続は岩ひばり、K藤。

それにしても寒い。防寒装備を着込んでも震えるメンバー…
先行き大丈夫か?と思いつつも、天候は安定している予報なので暖かそうな日差しを求めて離陸です。


1P-20m O石リード
取り付き点は古いリングボルト+スリングと左上の新しいPボルトが目印。
1ピン目をかけたらそのまま上がらず右上のVサインをしているような四角いツインピナクルを目指します。


しっかりとした終了点もあり親切です。
さすが人気のガイドルートです。


2P-Ⅲ級30m O石リード

左に20m程のトラバースから始まる。
新しいボルトも連打されていて、ルートは明朗。
オーバーハング感ありありの切り立ったフェースに続き、被り気味のトラバースを終えたところで小テラスが現れる。
ここで切ってもよいがロープの出は多少悪くなるけれど10m程上に明朗なビレイ点が見えるのでそこまでS字状に上がる。
1m違いで上下に2つの新旧ビレイ点がある。古いが足場の安定している上側ビレイ点でピッチを切る。こちらの方が次ピッチのロープの流れがスムーズだ。


3P-Ⅲ級20m O石リード
垂壁を直上するとリッジに出る。リッジを左上すると明確な古いビレイ点が現れるが、そのすぐ右に新しいPボルトの打たれたビレイ点が並んでいる。新しい方が次の4ピッチ目ルートがよく見えるよいポジションなのでそこで切る。トサカ岩が目の前に見える。

4P-25m N原リード

トサカ岩の右下をトラバースする。草付の登山道のようなルートだが慎重にピナクルで支点を作りながらドーム下バンドの大テラスまで進む。終了ビレイ点もばっちり見える親切なルートだ。


核心のドーム登攀の前に大テラスで暫し休憩。後続の岩ひばり、K藤組の姿が現れるのを待つ。


リードのK藤さんに続き岩ひばりさんがひょっこりリッジに姿を見せるとトサカ岩を登りたそうに見上げて「あそこ登るんだっけ?」、「いやいや、そこ登ったら下降面倒だし、そもそも安全ルート目の前にあるでしょ…」(O石)、「ただの登山道じゃない!」(岩)、「・・・」(O) こんな会話もできる核心前の穏やかなひと時を過ごす。

5P-20m Ⅳ+A1 O石リード

「出だしに注意して」と岩ひばりさんのアドバイスに従い慎重にスタート。暖かい日差しもなく凍てついた日陰の岸壁が素手に辛い。3ピン程支点を作りつつ進むとA1前提の被った岩のホールドを弄る。なかなか見当たらずどんどん手が寒さで悴んでいく。ホールドの感触も薄れてきてフリー登攀は危険と判断、痛恨のヌンチャクA0で乗越す。昨夏は乗越せたが、寒さで硬直した体は思うようなムーブもできずコンディションの違いは大きいと実感。アルパインルートは粘るよりも安全第一と自分に言い聞かせて納得。その後右側に回り込みリッジの垂壁を攀ればビレイ点に着く。セカンドのN原さんを引き上げて広場のようなドーム頂上で装備解除して10:20終了。ホット安心のひと時。

後続の岩ひばり、K藤組も1時間違いの11:20終了。






大休止と記念撮影をして下山開始。


下降は大同心稜のコルまで歩き、ザレた斜面を慎重に下がると懸垂ポイントが現れる。昨夏と今冬に2度程使ったポイントだ。


10m懸垂と45m懸垂を交えて南稜取り付き点に12:30帰還。朝来た大同心稜を降りて赤岳鉱泉経由美濃戸に14:45到着し四人の登攀は終了しました。

八ヶ岳の岩壁といえば大同心と小同心ですが、メジャー(?)な大同心南稜は是非やりましょう、と今回初のルート登攀リーダーを仰せ使い、岩ひばりさん、K藤さんのベテラン先輩2名の暖かくも厳しい監視の中、新人のN原さんと、新人上がりのひよっ子リーダーながら、全員無事下山できたことは、よき思い出になりました。これからも精進したいと思います。
それにしても6月の八ヶ岳は舐めたらいかんという防寒対策に課題の残る登攀でした。

美濃戸4:45-赤岳鉱泉6:30-大同心南稜取り付き8:30-ドーム下9:30-ドーム頂上10:20-南稜取り付き12:30-赤岳鉱泉13:20―美濃戸14:45


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