セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

わんわんのキモチオマケ話

2012年12月01日 23時54分58秒 | クエスト163以降
昨日アップの「わんわんのキモチ」の後日談。オマケ話なので短めです。相変わらずドタバタですが、最後は何故か真夜中テンションコンマ一ミリエロス?な雰囲気に。それにしてもベタドタバタを書くって楽しいったら楽しい。ピンクラメラメスライムクッションはもちろん実在しませんが、サンディなら持っていそうです。

 犬に化けられる杖騒動から数日後。邪神信奉者のようじゅつしの悪巧みも粉砕し、現在ミミたちは、平和な気分で箱舟でティータイム、という状態だった。オート運転に切り換えて、二両目のふかふかの椅子に優雅に座っている。
「ところでさー」サンディが、紅茶に『さえずりのみつ』をたっぷり入れながら尋ねた。「イザヤールさんはどーして、あの紙キレだけですぐに、ミミがピンチの方のわんわん化ってわかったワケ?ミミが自分で化けたかもしれないじゃん」
 わんわん化、なあ・・・とイザヤールは苦笑したが、すぐにやや厳しい表情になって答えた。
「サンディ、君が本気で慌てていたからだ」
「へ?」
「幻覚等を利用した、さほど危険が伴わない任意の変身なら、君は私がふいに帰った際、慌てたかもしれないが、それでもいたずらっ気が伴った笑いが堪えられなかった筈だ。だが君は、あのとき真剣に切羽詰まって慌てていた。それを思い起こして、紙片の文面とも考え合わせて、冗談で済まなそうな事態だと判断した」
「え~?!アタシのナチュラルな演技が通用しなかったってコト?!」
「サンディ、おまえは自分が思ってるほど隠し事がうまくねえ。全部出ちまうんだよ」アギロが口を挟み、ニヤリと笑った。
「なんスかテンチョー!アタシが演技ヘタクソってコト?!」
「アギロさんは、サンディが正直でえらいって言ってるの。そうだよね?」
 ふくれたサンディに、ミミがとりなすように言うと、アギロはまた笑った。
「物は言い様、ってのはこのことだなぁ」
「テンチョー、やっぱり何かムカつくんですケド・・・」
「ところで・・・」ミミは少し考え込みながら言った。「結局あの杖、本当に六時間くらいで効き目切れるのか、それともずっと犬のままなのか、わからなかったな。ちょっと気になるの」
「ミミ、ラーの鏡また借りてきたげるから、杖手に入れて試してみたら?」
「サンディ・・・また無責任なことを」
「ヤだイザヤールさん、今の顔マジコワイ!立派なきょーはく罪!」
「そういえば」イザヤールはサンディの言葉を無視して話題を戻した。「杖の効果、『いてつくはどう』で無効にできるかどうかも多少気になるな。ようじゅつしに説教した時に聞いておけばよかった」
「またガン無視かい。しかもソレ絶対、チカラ技が伴ったお説教だったよね?」
「サンディ、君は私にいったいどんな凶悪なイメージを持っているんだ・・・?」
「イザヤール様はとっても優しいもん・・・。サンディ、ひどい」
「優しいは優しーケドさ~、ミミや世界に害を為す相手にはよーしゃないってイメージだもん。絶対間違ってないってば」
 話が明後日の方向にズレてきたところで、珍しくサンディが自ら話題の起動修正をした。ただし、ありがたくない方向に。
「ホント『いてつくはどう』も試した方がよかったんじゃね?そしたらまた、ミミのいや~んな格好が見られ・・・」
「サンディやめてー!」
 真っ赤になったミミの体当たりが炸裂!サンディは素早く身をかわした!ミミはラメ入りピンクのスライム型クッションが積んである椅子に頭から突っ込んだ!
「ミミ!大丈夫か?!怪我はないか?!」
 イザヤールが慌てて抱き起こし、ミミはますます恥ずかしそうにうつむき、彼の腕にきゅむっとつかまった。
「大丈夫です・・・クッションのおかげで助かりました」
「ほらテンチョー、クッション役に立ったじゃん!買っといて超正解!」
「たまたまだろそりゃ。クッション代、おまえの給料から引いといたからな」
「えー!ディスプレイじゃん、経費にしてよ、ケチー!」
 クッションから始まったアギロとサンディの応酬は、箱舟内の内装についての争いに発展し始めたので、ミミとイザヤールはそろそろ退散することにした。

 その夜。眠る前のいつものひととき、ミミはいつものようにイザヤールの膝に座る前、ほんの少しためらった。きちんと着込んでいる筈の自分のシャツが、気のせいかなんだかひどく頼りない。それでも結局、あたたかく頼もしい腕の中に納まって、大好きな体をぎゅっと抱きしめた。
 そんな彼女を切なそうに見つめ、彼もまた腕の中のやわらかな体を己の体に更に引き寄せた。そして内心呟いた。
 すまない、ミミ。おまえは、無意識では気付いているのだろう。今もまた・・・見られて、いると。まるでシャツなどないかのように。
「・・・とても・・・綺麗だったぞ」
 怒られるのを覚悟で、それでも彼は思ったままを口にすると、ミミは怒るどころか驚いたように目を見開いてから、染まった頬を彼の心臓近くに押し付け、隠した。数秒もしないうちに、染まった頬も、陰影を描く瞳も、上向けられて熱を帯びた瞳にさらされるだろう。〈了〉

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