セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

ゴールデン倶楽部

2014年04月26日 04時25分10秒 | クエスト184以降
今週も丑三つ時どころか明け方更新すみませんの追加クエストもどき。倶楽部シリーズ?第二弾ですが、本当にシリーズ化するかどうかは不明でございます(笑)今回もゆる~い話で、冒険どころか戦ってすらいないイザ女主ですが、しかし・・・。ところで冒頭にちょっとだけ登場レナさん、津久井の勝手なイメージではツンデレさんな気がしてます。案外主人公のことを気にかけていてくれそうです。

 ミミがリッカの宿屋のロビーに帰ってくると、入り口すぐ側のゴールド銀行で、何やら押し問答が繰り広げられていた。・・・もっとも、ヒートアップしているのはもっぱら客の青年だけで、ゴールド銀行担当スタッフレナは、業務的姿勢を一切崩さず冷静に同じ返答を繰り返していたのだが。
「だから~、ゴールド銀行の方なら何か知ってるでしょう、『ゴールデンクラブ』のこと!」
「ゴールド銀行についての質問以外にはお答えしかねます」と、レナ。
「そんなこと言わないで~、知ってるなら教えてくださいよー!ゴールデンクラブって何なんですか?!」
「ゴールド銀行についての質問以外にはお答えしかねます」
「お答えしかねます、ということは何か知ってるんですね?!教えてくださいよー」
「ゴールド銀行についての質問以外にはお答えしかねます」
 埒があかなそうなので、ミミはゴールド銀行のカウンターの後ろに回り込んで、レナに尋ねた。
「レナさん、どうしたの?」
 するとレナ、相変わらずのちょっと怒っているかのような顔と声でミミに答えた。
「あなたに特に言うようなことじゃないわよ」
「でも・・・」
 ミミが濃い紫の瞳を憂いでいっそう濃く潤ませて、心配そうにレナを見つめると、レナはほんの僅か一瞬困ったような顔をしてから、慌てていつもの可愛い仏頂面とでも言いたげな表情に戻って、いささかぶっきらぼうすぎるくらいの口調でミミに言った。
「こちらのお客様が、『ゴールデンクラブ』っていうものについてお尋ねしているのだけど、知らないって言っても信じてくれないのよ」
 レナは「ゴールド銀行についての質問以外にはお答えしかねます」というセリフで、これまで数々のひやかしやナンパ目当てなどの不心得者たちを撃退してきたが、どうやらこの青年には通用しないことでクールな彼女には珍しく困惑しているようだった。
「ホントに知らないんですかー?」
 青年は疑わしそうにレナに食い下がり、レナは渾身の力を込めてきっぱりと答えた。
「存じません」
「そーですかあ・・・」
 ようやく青年は肩を落としてすごすごとゴールド銀行のカウンターから離れた。レナは思わずほっと息を吐き出してから、それをミミに見られたのに気付いて、何よ、と怒ったように呟いて急いでそっぽを向いた。
 だが青年は、今度はルイーダの酒場のバーカウンターに移動して、ルイーダに尋ね始めた。
「じゃあルイーダさ~ん、何か冒険者たちのウワサとかで聞いたことありません?ゴールデンクラブのことー。聞いてたら教えてくださいよー」
 ルイーダはたった今まで、怪力すぎて年下の彼氏にふられてしまった女戦士の相談というか愚痴に付き合っていて、ようやく解放されたところだった。それでも疲れひとつ見せない色っぽい笑顔で、しかしきっぱり簡潔に答えた。
「さあ?聞いたことないわ」それでもあんまりにがっくりした青年を気の毒に思ったのか、まだゴールド銀行のカウンター内に居るミミにも聞いてきた。「ねえミミ、あなた、聞いたことある?」
 先日「キラー倶楽部」なるものには関わったミミだが、ゴールデンクラブは聞いたことがないし、ゴールデンクラブという魔物にも会ったことはないので、ミミはふるふると首を振った。そして彼女は、バーカウンターの方に移動して、青年に尋ねた。
「どこでその『ゴールデンクラブ』のことを知ったんですか?」
「グビアナ城の入り口です」彼は答えた。「『デザートクラブ』の看板に、紙が貼ってあったんです。『ゴールデンクラブ会員募集中!入会希望の方はゴールデンな装備で大いなる遺跡に集合』って」
 聞いた感じではキラー倶楽部の二の舞のような気がする。ミミは更に尋ねてみた。
「どうしてそんなに気になるんですか?」
「だってゴールデンですよ!めちゃくちゃゴージャスな響きじゃあないですか!気になりますよ!あわよくば借金が返せ・・・いえ、なんでもありません」
 青年には何やらわかりやすい事情がありそうだった。彼は、更にミミに頼んできた。
「ゴールデンな装備だの大いなる遺跡だのはボクにはわかりませんが、もしかして一流の冒険者さんたちならわかっちゃったりします?だったらお願いです、ゴールデンクラブって何なのか、調べてきてくれませんか?」
 なんとなくどんなクラブか予測はできるが、面白そうなのでミミは調べてみることにした。ミミはクエスト「ゴールデン倶楽部」を引き受けた!

 ミミはとりあえず自室に戻り、装備品の検討をすることにした。それにしても、「ゴールデンな装備」とはどんな感じだろうと、いろいろ出して考えていると、今まで図書室で調べものをしていたイザヤールが、部屋に戻ってきた。そして、装備品を広げているミミに尋ねた。
「ミミ、出かけるのか?」
 そこでミミは、受けたクエストの内容を話し、彼に相談した。
「イザヤール様、ゴールデンな装備って、やっぱりゴールドメイルとかかなあ・・・?」
「まあそう考えるのが妥当だろうな」
「でも、ちょうどいい感じの金色の兜が無くて、困っちゃう・・・。ゴールドトレイはあるのに、金仮面とかは無いものね。でもゴールドメイルに黄金のティアラはどうかと思うし・・・?」
「それなら、『しんぱんのかぶと』や『しんわのよろい』などを装備してはどうだ?」
 確かにそれら最強装備は、光そのものを金属にしたかのような美しい金色に輝いている。マントも飾りも華麗なこの鎧兜は、見事な体躯のイザヤールによく似合っているので、自分よりも彼に着てほしいとミミは常々思っている。よって、今日もこんなおねだりをした。
「イザヤール様・・・イザヤール様にその最強装備セットを着てもらって・・・一緒に、来てもらってもいい・・・?」
 潤んだ濃い紫の瞳に見つめられて告げられるおねだりごとに、イザヤールは微笑んだ。こんな風に愛らしく頼まれると、喜んでなんでも聞いてやりたくなる。
「もちろん。・・・では、おまえの装備は、私がえらぼうか」
 イザヤールはミミの装備に、「黄金のティアラ」「ひかりのドレス」そしてアクセサリーに敢えて「いやしのうでわ」を選んだ。可愛らしいピンクのハート形の宝石がはめられていることで、ただの金のブレスレットを身につけるよりも装身具も引き立つ。
 こうして二人は、冒険者というより姫君と騎士とでも言いたくなるようなきらびやかな姿で出かけることとなった。目的地の見当もおおよそついている。名前の頭に「大いなる~」と付く遺跡系の宝の地図の洞窟だろう。
「では、参りましょうか、姫君」
 冗談めかした口調で手を差し出す彼に、ミミははにかむように微笑んで、華奢な手を大きなあたたかい手の中にそっと滑り込ませた。

 このようにして、ダンジョンに着くまで冒険というよりデート気分の二人だったが、ダンジョン内に入ると一気に冒険モードに気持ちを切り替えた。イザヤールは、武器はさほど攻撃力の高くない「きんのオノ」だったが盾は「ウロボロスの盾」にして、自分よりもっぱらミミを守り、ミミは「オーロラの杖」を握りしめて呪文を駆使した。
 数フロア降りたところで、通路の奥の方から金色の光が洩れている場所に出た。その光に向かって行くと、神殿のような柱に囲まれている空間があって、光はそこから発せられていた。その光の正体を見て、やっぱり、とミミとイザヤールは顔を見合わせて頷いた。
 そこは、まさに黄金系モンスター大集合の場所となっていた。ゴールドマンにゴールデントーテム、ゴールドタヌにゴールドマジンガ、そしてもちろんゴールデンスライムたちが歓談している。
 その広間への入り口を塞ぐように、ひときわ大きなゴールドマンが立っていたが、ミミとイザヤールが金色の装備で身なりを調えているのを見て、丁重に言った。
「新規会員ご希望の方ですか。ささ、どうぞこちらへ」
「ゴールデンクラブって、何をするんですか?」
 ミミが尋ねると、ゴールドマンは二人を案内しながら答えた。
「黄金の輝きを持つ者たちが、楽しく歓談したり、我々リッチな者たちは無法な冒険者から如何に身を守るかの対策を考えたりする会です」
 ミミとイザヤールは、金塊を作る為の材料である「さえずりのみつ」で作った飲み物をもらうと、代表らしいゴールデンスライムが、会の始まりを告げた。ゴールデンスライムは簡単な挨拶を済ませ、嬉しそうに言った。
「え~、今日は、新たな会員が二人加わりました~。ニンゲンさんたちですが、この美しい輝きの装備なら問題なくオッケーでしょう。さあお二人さん、自己紹介なさってください」
 ミミとイザヤールが簡単な自己紹介を済ませると、さっそく今日の議題に入ることとなった。
「え~まず最初の議題は、このクラブの名を多数派が持つ名の一部の『ゴールドクラブ』に変えてはどうかというものです。発案者のゴールドタヌさん、ご説明を」
「まんまだよ!ゴールドタヌにゴールドマン、そしてゴールドマジンガと、会員の五分の三が『ゴールド』が付くんだから、ゴールドクラブに名前変えようぜー」
「しかし会長であるワタクシゴールデンスライムの名に、ゴールデンがついているので、ゴールデンクラブでよろしいのでは」
「それにオレたち一体だけど三体分の意見だし~」とゴールデントーテム。
「その数え方ずるいぞ!」とゴールドタヌ。
「それにゴールデンって言う方がカッコイイしー」
「ゴールドだっていいじゃんかー!」
 やがて、対立がヒートアップしてくると、ゴールドマジンガはむちゃくちゃに剣を振り回し始め、ゴールドマンは暴れ、ゴールデンスライムはマダンテの詠唱を始めたので、イザヤールは慌ててミミの手を引いて安全な場所に避難したのだった。

 リッカの宿屋に帰り、ミミは依頼人にゴールデンクラブの正体を伝えた。
「へ~ゴールド系モンスターの集まりだったんですか~。調べてくださってありがとうございます。これ、ささやかですが金色のお礼です!」
 ミミは「ちいさなメダル」をもらった!
「それにしても、ゴールデンクラブの集まりって楽しそうですね。ボクも今度行ってみたいな~」
 ウキウキして言う青年に、ミミはためらいながら言った。
「それが・・・」
 あれから、ゴールデンスライムが唱えたマダンテで一同のびてしまい、避難して無事だったミミとイザヤールで回復魔法をかけてやったが、ゴールデン派とゴールド派のますます激化してしまい、ゴールデンクラブは解散となってしまったのであった。
 だが、それから程なくして、『新生ゴールデンクラブ』と『ニューゴールドクラブ』が発足したらしい。今日もどこかで、彼らは新規メンバーを募集しているようである。〈了〉
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