ちょっと更新するするサギになりましたが(笑)とりあえず寝オチは免れましたの追加クエストもどき。先にネタバレしてしまうと、今回はDQ2のムーンブルク王女ネタでもあり11のマンサクさんネタでもあるんですが、果たしてその正体は・・・。ゲーム内でクエストは必ず報酬に繋がりますが、守護天使や地上の守り人活動は必ずしもそうなるとは限らず、むしろ災難に遭いそうですよね。それでも助けることを選ぶメンタルの強さこそが最大の資質なのかもしれません。
ミミは今日、天の箱舟を使って錬金に使う素材集めをしていた。ミスリル鉱石を拾う為にカズチィチィ山の毒の沼に着陸した彼女は、さっそく鉱石を見つけて拾い上げ、微笑んだ。
「これで頼まれているミスリルヘルムが作れるの」
瘴気漂う辺りの空気も祓うようなミミの笑顔に、一緒に来ていたサンディは呆れたように苦笑して言った。
「アンタって、本当に人のコトばっかよね〜。ま、そこがアンタのいいトコっちゃいいトコだけど」
すると、ミミはほんのりと頬を染めて言った。
「だって、私のことは、イザヤール様やみんなが気にかけてとっても大切にしてくれるもの・・・」
「ここでノロケをぶっこんでくるんかーい!」
「イザヤール様やみんな、って言ったでしょう?サンディだって、そのみんなの中に入っているんだからね。・・・サンディも、なんだかんだ言いながら私のことすごく心配してくれるもの。だから私、安心して地上の守り人ができるの」
「・・・。ちょっ・・・そんな澄んだ瞳と笑顔で言わないでよ・・・なんか超恥ずかしいんですケド・・・。さ、毒の沼のイヤ〜なニオイ染み着く前にさっさと帰ろ!」
ミミが頷いてアギロホイッスルを取り出したそのとき、ふと何かのかすかな鳴き声が聞こえた気がして、その手を止めた。
「ねえ、サンディ、なんか犬の鳴き声みたいな声が聞こえない?」
「へ?別に、何も聞こえないケド?ストロングアニマルの鳴き声と間違えたんじゃね?」
だが、ミミが辺りを見回すと、ヘドロまみれの何かが、哀れっぽい鳴き声を上げながらよろよろと近寄ってきた。それは、ミミの足元に座り、くんくんと鳴いた。汚泥まみれで毛皮の色がよくわからないが、鳴き声と形から察するにやはり犬ではないかと思われた。牧羊犬くらいの体格だ。首には、泥で汚れているが赤い石の付いた首輪が見えた。
「マジ居たー!」サンディは叫んだ。「でも、なんでフツーの犬がこんなトコに?」
「カルバドとかから、迷って来ちゃったのかな?」ミミは首を傾げて犬の前にしゃがみ、安心させる為に手の匂いを嗅がせた。「もう大丈夫よ、ここから連れ出してあげるからね」
「げっ、マジでそんなバッチイ犬連れてくの?」箱舟がヘドロまみれになるのを警戒したのか、サンディはちょっと顔をしかめた。「しかもこの犬、泥まみれを差し引いてもビミョーに可愛くないんですケド・・・」
すると犬は、一瞬歯を剥いてサンディに唸ったが、すぐに哀れっぽい鳴き声に戻った。
「ルーラで連れ帰るから大丈夫」ミミは言って犬の頭をなでた。「いい子ね、一緒においで」
ミミはとりあえずルーラでセントシュタインまで戻り、町の中に入る前に犬を川岸まで連れていき、洗って泥汚れを落としてやった。泥が落ちると犬は、白っぽい毛皮に胸元や足は黒っぽい模様の大型犬とわかった。首輪の色は紫色で、石は赤い宝石だったが、サンディの言う通り、どこか獰猛そうなうえにどちらかと言うとでっぷりしていて、可愛いとは言い難かった。
「この首輪じゃカルバドの牧羊犬ではないみたい・・・」
「お金持ちの犬かもね〜。にしちゃブサイクだけど」
サンディが言うと、犬はまた牙を剥いて唸ったが、ミミが見るとすぐにおとなしくなった。
「この子、もしかして言葉わかるのかな?」
「悪口言ってる雰囲気がわかるだけデショ!つーか、ミミの前ではイイコぶってね?」
それはともかく、ミミは道具袋から出したタオルで犬を拭いてやると、連れてセントシュタインの城下町に入った。犬は、教会の作り出す町の結界にも問題なく入れるらしい。リッカの宿屋の裏口中庭で犬を待たせておいて、リッカに事情を説明すると、彼女は快く哀れな犬の保護に協力してくれることになった。
「ちょうどペット同伴可能棟の一部屋が空いているから、洗濯室で洗ってあげた後に、そこに連れて行ってあげて。ごはんも今用意するからね」
「ありがとう、リッカ」
ミミは犬を洗濯室に連れていった。ここなら、他の宿泊客に迷惑をかけることなくすっかり犬をきれいにしてやることができる。たらいとお湯と動物にも使える石鹸を物色しているところへ、ちょうど城から帰ってきたイザヤールが、リッカから話を聞いて手伝いにやってきた。
「ミミ、大型犬を洗うのはたいへんだろう、手伝おう」
「ありがとう、イザヤール様。でもこの子、とてもおとなしいから大丈夫よ」
「コイツ、ミミにはぶりっこ声で鳴くんだよね〜。さすがオスだわ〜。ミミは犬にもモテモテね」
サンディの言葉に、イザヤールは大真面目な顔で言った。
「牡犬か。ならばなおさら私が面倒を見よう」
「ヤだイザヤールさん、犬にまで妬くワケっ?!」
その後サンディは箱舟に帰り、夜になると、ミミとイザヤールは結局犬と一緒にペット同伴可能部屋で休んだ。犬は与えられた餌をよく食べ、用意された毛布の中にぬくぬくと潜り込んだ。翌朝になって犬の体力が回復していたら、改めて見つかった場所の中では一番近くの人里であるカルバドに連れて行くことに決めて、二人も眠ることにした。犬がじっと見ているので、おやすみのキスその他をおあずけにされたイザヤールはいくらか不満そうだったが。
犬は吠えもせずおとなしくしていたので、睡眠を妨げられることもなかったが、その夜ミミは奇妙な夢を見た。
夢の中で、ミミはきちんとお座りしている犬の前に立っていた。だが犬は、口を開いて、鳴き声の代わりに人間の言葉を喋った。落ち着いた中年男の声だった。
『ミミさん、昼間は私を、あの毒の沼地から連れ出してくださって、ありがとうございました。実は私は、呪いで犬の姿にされてしまった人間なんです』
『そうなんですか?!どうしたら呪いは解けるんですか?』
『真実の姿に戻るには、ある魔法の鏡が必要なんです。ミスリルこうせきとたいようの石、そして、私の着けている首輪の宝石を錬金してくだされば、その鏡の素はできます。ただし、完璧なものにするには、出来上がった鉱石を、一旦毒の沼地の中に投げ込まなくてはなりません。お願いできますか』
『わかりました、必ずお助けします』
ミミはクエスト「犬になった男」を引き受けた!
翌朝目を覚ましたミミは、イザヤールに夢のことを伝えた。いつもなら、このような場合ミミと同じ夢を見るのに今回は見なかったので、彼はかすかに首を傾げた。
「・・・もしかしたら、本当に単なる私の夢かもだけれど、でも・・・」
心配そうに呟くミミに、イザヤールは微笑んで言った。
「いや、さほど難しいことではないから、とりあえず試してみよう」
そこで二人は、犬に食事をさせている間に首輪を外し、ミスリル鉱石とたいようの石と共にカマエルのところに持っていって、夢で言われた通り錬金してみた。すると、本当に丸い不思議な鏡が出来上がった!
その鏡を見て、ミミとイザヤールは再び首を傾げた。その鏡から発せられる気配は、禍々しいものではないが、聖なる気配でもなかったからだ。強いて言えば、げんませきの放つ気配に似ていた。
しかし鏡はこれで完成ではない。ミミとイザヤールが犬の待つ部屋に一旦戻ると、犬は尻尾を思いきり振って喜んだ。そこで二人は犬を連れて、毒の沼地のあるカズチィチィ山にまた向かった。
昨日と同じ場所に到着すると、ミミはさっそく錬金した物をその中に投げ込んだ。すると、たちまち沼の中から眩しい光が立ち上ぼり、丸い鏡が浮き上がって宙に漂った!それは、しばらく滞空してから、ゆっくりとミミの手の上に降りてきた。
犬は、早くそれで自分を照らしてくれと言わんばかりにさかんに吠えたので、ミミはさっそくその鏡を犬に向けた。すると、鏡は何かの姿を映した。ミミとイザヤールが映した姿を覗き込むと、それは犬の姿ではなかった。白い仮面を被った顔が映っている!首元は、紫色のマントを赤い宝石で留めてあった。
その姿に見覚えがあったので、ミミとイザヤールがはっとして犬の方を見ると、鏡は粉々に砕け散り、犬は煙に包まれた!そして、煙が薄れると、そこに立っていたのは、闇に堕ちた邪神官、「ようじゅつし」が立っていた!
「善行を施したつもりでいい気になっていたようだが、しょせんは私に利用されていただけだ、愚かな小娘め!」ようじゅつしはあざ笑った。「だが、おかげで忌々しい犬の姿から戻ることができた。その礼に、貴様たちの命だけは助けてやろう。・・・犬の姿になって、恩返しを裏切られた絶望を抱いて惨めに生きるがいい!」
ようじゅつしは杖に禍々しい呪いの力を込め始めた。またミミの優しさを仇で返すような真似の奴がとイザヤールは渋面し、剣を抜いたが、ミミはそんなことより気になったことがあるらしく、首を傾げて尋ねた。
「・・・でも、どうして、あなたは犬になっていたの?」
ミミが犬に魔物としての気配を感じなかったことと、犬が町の結界内に入れたのは、元神官であるのと、犬になった呪いで完全に非力になり邪悪な力が封印されたのであろうからまだわかるとして、誰がこのようじゅつしを犬にしたのかがわからない。むしろそちらの方が脅威ではとミミは考え、イザヤールもすぐにそのことに思い至り、とりあえず怒りは保留した。
「・・・う、うるさい、貴様らの知る必要のないことだ!」何故かうわずった声でようじゅつしは叫んだ。「とっとと犬になってしまえ!」
ようじゅつしは、杖に込めた呪いの念をミミとイザヤールにぶつけた!・・・しかし、何も起こらなかった!ミミとイザヤールは、人間になったとはいえ、呪いが効かないという天使の力の名残は未だに残っている。呪いでは犬になる筈もない。
「そんな・・・まさか、また失敗したのか?」
ようじゅつしの呟きを、二人は聞き逃さなかった。
「また、って・・・。もしかして、犬になっていたのって・・・」
「誰かに呪いをかけようとして失敗したから、か?」
ミミとイザヤールが驚き呆れて尋ねると、ようじゅつしは金切り声で叫んだ。
「うるさいうるさいうるさーい!今のは何かの間違いだ!今度こそ犬になれ!」
ようじゅつしは呪いの念をミミとイザヤールに放った!闇の力が二人を包む!・・・しかし、何も起こらなかった!その後もようじゅつしは、何度も呪いを繰り返したが、結果は同じことだった。
「お人好しの娘を利用したつもりだったようだが、相手が悪かったな」イザヤールは呟いた。「それにミミは、人助けをする際は、酷い目に遭う覚悟を負ってそれでもなお助けることを選ぶ娘だ。おまえが恩を仇で返そうと、絶望など与えるのは千年早いぞ」
「そんな・・・」ようじゅつしはがっくりと膝を着いた。「私の呪いが効かない筈が無い・・・。無いのに・・・。そうか、これは、戻ったばかりで魔力が切れているからだ、そうに違いない!」
ようじゅつしは諦め悪く、たまたまその辺を転がっていたばくだん岩に犬になる呪いを試しにかけてみた!ばくだん岩は犬に変わった!
「あれ、呪いが効くな・・・?」
ようじゅつしが首を傾げている間に、そのばくだん岩の仲間たちがごろごろと集まり、メガンテを唱え始めた・・・。イザヤールはミミを抱き上げて走り、岩影に飛び込んだ。それから間もなく、大爆発が聞こえた・・・。
「因果応報だな」イザヤールが呟く。
「ばくだん岩はとばっちりかも・・・」
「すぐメガンテするのも良くないと思うぞ」
爆発の跡には宝箱が落ちていて、ふしぎなきのみが入っていた。人を呪わば穴二つ。呪いの際にはご用心。〈了〉
ミミは今日、天の箱舟を使って錬金に使う素材集めをしていた。ミスリル鉱石を拾う為にカズチィチィ山の毒の沼に着陸した彼女は、さっそく鉱石を見つけて拾い上げ、微笑んだ。
「これで頼まれているミスリルヘルムが作れるの」
瘴気漂う辺りの空気も祓うようなミミの笑顔に、一緒に来ていたサンディは呆れたように苦笑して言った。
「アンタって、本当に人のコトばっかよね〜。ま、そこがアンタのいいトコっちゃいいトコだけど」
すると、ミミはほんのりと頬を染めて言った。
「だって、私のことは、イザヤール様やみんなが気にかけてとっても大切にしてくれるもの・・・」
「ここでノロケをぶっこんでくるんかーい!」
「イザヤール様やみんな、って言ったでしょう?サンディだって、そのみんなの中に入っているんだからね。・・・サンディも、なんだかんだ言いながら私のことすごく心配してくれるもの。だから私、安心して地上の守り人ができるの」
「・・・。ちょっ・・・そんな澄んだ瞳と笑顔で言わないでよ・・・なんか超恥ずかしいんですケド・・・。さ、毒の沼のイヤ〜なニオイ染み着く前にさっさと帰ろ!」
ミミが頷いてアギロホイッスルを取り出したそのとき、ふと何かのかすかな鳴き声が聞こえた気がして、その手を止めた。
「ねえ、サンディ、なんか犬の鳴き声みたいな声が聞こえない?」
「へ?別に、何も聞こえないケド?ストロングアニマルの鳴き声と間違えたんじゃね?」
だが、ミミが辺りを見回すと、ヘドロまみれの何かが、哀れっぽい鳴き声を上げながらよろよろと近寄ってきた。それは、ミミの足元に座り、くんくんと鳴いた。汚泥まみれで毛皮の色がよくわからないが、鳴き声と形から察するにやはり犬ではないかと思われた。牧羊犬くらいの体格だ。首には、泥で汚れているが赤い石の付いた首輪が見えた。
「マジ居たー!」サンディは叫んだ。「でも、なんでフツーの犬がこんなトコに?」
「カルバドとかから、迷って来ちゃったのかな?」ミミは首を傾げて犬の前にしゃがみ、安心させる為に手の匂いを嗅がせた。「もう大丈夫よ、ここから連れ出してあげるからね」
「げっ、マジでそんなバッチイ犬連れてくの?」箱舟がヘドロまみれになるのを警戒したのか、サンディはちょっと顔をしかめた。「しかもこの犬、泥まみれを差し引いてもビミョーに可愛くないんですケド・・・」
すると犬は、一瞬歯を剥いてサンディに唸ったが、すぐに哀れっぽい鳴き声に戻った。
「ルーラで連れ帰るから大丈夫」ミミは言って犬の頭をなでた。「いい子ね、一緒においで」
ミミはとりあえずルーラでセントシュタインまで戻り、町の中に入る前に犬を川岸まで連れていき、洗って泥汚れを落としてやった。泥が落ちると犬は、白っぽい毛皮に胸元や足は黒っぽい模様の大型犬とわかった。首輪の色は紫色で、石は赤い宝石だったが、サンディの言う通り、どこか獰猛そうなうえにどちらかと言うとでっぷりしていて、可愛いとは言い難かった。
「この首輪じゃカルバドの牧羊犬ではないみたい・・・」
「お金持ちの犬かもね〜。にしちゃブサイクだけど」
サンディが言うと、犬はまた牙を剥いて唸ったが、ミミが見るとすぐにおとなしくなった。
「この子、もしかして言葉わかるのかな?」
「悪口言ってる雰囲気がわかるだけデショ!つーか、ミミの前ではイイコぶってね?」
それはともかく、ミミは道具袋から出したタオルで犬を拭いてやると、連れてセントシュタインの城下町に入った。犬は、教会の作り出す町の結界にも問題なく入れるらしい。リッカの宿屋の裏口中庭で犬を待たせておいて、リッカに事情を説明すると、彼女は快く哀れな犬の保護に協力してくれることになった。
「ちょうどペット同伴可能棟の一部屋が空いているから、洗濯室で洗ってあげた後に、そこに連れて行ってあげて。ごはんも今用意するからね」
「ありがとう、リッカ」
ミミは犬を洗濯室に連れていった。ここなら、他の宿泊客に迷惑をかけることなくすっかり犬をきれいにしてやることができる。たらいとお湯と動物にも使える石鹸を物色しているところへ、ちょうど城から帰ってきたイザヤールが、リッカから話を聞いて手伝いにやってきた。
「ミミ、大型犬を洗うのはたいへんだろう、手伝おう」
「ありがとう、イザヤール様。でもこの子、とてもおとなしいから大丈夫よ」
「コイツ、ミミにはぶりっこ声で鳴くんだよね〜。さすがオスだわ〜。ミミは犬にもモテモテね」
サンディの言葉に、イザヤールは大真面目な顔で言った。
「牡犬か。ならばなおさら私が面倒を見よう」
「ヤだイザヤールさん、犬にまで妬くワケっ?!」
その後サンディは箱舟に帰り、夜になると、ミミとイザヤールは結局犬と一緒にペット同伴可能部屋で休んだ。犬は与えられた餌をよく食べ、用意された毛布の中にぬくぬくと潜り込んだ。翌朝になって犬の体力が回復していたら、改めて見つかった場所の中では一番近くの人里であるカルバドに連れて行くことに決めて、二人も眠ることにした。犬がじっと見ているので、おやすみのキスその他をおあずけにされたイザヤールはいくらか不満そうだったが。
犬は吠えもせずおとなしくしていたので、睡眠を妨げられることもなかったが、その夜ミミは奇妙な夢を見た。
夢の中で、ミミはきちんとお座りしている犬の前に立っていた。だが犬は、口を開いて、鳴き声の代わりに人間の言葉を喋った。落ち着いた中年男の声だった。
『ミミさん、昼間は私を、あの毒の沼地から連れ出してくださって、ありがとうございました。実は私は、呪いで犬の姿にされてしまった人間なんです』
『そうなんですか?!どうしたら呪いは解けるんですか?』
『真実の姿に戻るには、ある魔法の鏡が必要なんです。ミスリルこうせきとたいようの石、そして、私の着けている首輪の宝石を錬金してくだされば、その鏡の素はできます。ただし、完璧なものにするには、出来上がった鉱石を、一旦毒の沼地の中に投げ込まなくてはなりません。お願いできますか』
『わかりました、必ずお助けします』
ミミはクエスト「犬になった男」を引き受けた!
翌朝目を覚ましたミミは、イザヤールに夢のことを伝えた。いつもなら、このような場合ミミと同じ夢を見るのに今回は見なかったので、彼はかすかに首を傾げた。
「・・・もしかしたら、本当に単なる私の夢かもだけれど、でも・・・」
心配そうに呟くミミに、イザヤールは微笑んで言った。
「いや、さほど難しいことではないから、とりあえず試してみよう」
そこで二人は、犬に食事をさせている間に首輪を外し、ミスリル鉱石とたいようの石と共にカマエルのところに持っていって、夢で言われた通り錬金してみた。すると、本当に丸い不思議な鏡が出来上がった!
その鏡を見て、ミミとイザヤールは再び首を傾げた。その鏡から発せられる気配は、禍々しいものではないが、聖なる気配でもなかったからだ。強いて言えば、げんませきの放つ気配に似ていた。
しかし鏡はこれで完成ではない。ミミとイザヤールが犬の待つ部屋に一旦戻ると、犬は尻尾を思いきり振って喜んだ。そこで二人は犬を連れて、毒の沼地のあるカズチィチィ山にまた向かった。
昨日と同じ場所に到着すると、ミミはさっそく錬金した物をその中に投げ込んだ。すると、たちまち沼の中から眩しい光が立ち上ぼり、丸い鏡が浮き上がって宙に漂った!それは、しばらく滞空してから、ゆっくりとミミの手の上に降りてきた。
犬は、早くそれで自分を照らしてくれと言わんばかりにさかんに吠えたので、ミミはさっそくその鏡を犬に向けた。すると、鏡は何かの姿を映した。ミミとイザヤールが映した姿を覗き込むと、それは犬の姿ではなかった。白い仮面を被った顔が映っている!首元は、紫色のマントを赤い宝石で留めてあった。
その姿に見覚えがあったので、ミミとイザヤールがはっとして犬の方を見ると、鏡は粉々に砕け散り、犬は煙に包まれた!そして、煙が薄れると、そこに立っていたのは、闇に堕ちた邪神官、「ようじゅつし」が立っていた!
「善行を施したつもりでいい気になっていたようだが、しょせんは私に利用されていただけだ、愚かな小娘め!」ようじゅつしはあざ笑った。「だが、おかげで忌々しい犬の姿から戻ることができた。その礼に、貴様たちの命だけは助けてやろう。・・・犬の姿になって、恩返しを裏切られた絶望を抱いて惨めに生きるがいい!」
ようじゅつしは杖に禍々しい呪いの力を込め始めた。またミミの優しさを仇で返すような真似の奴がとイザヤールは渋面し、剣を抜いたが、ミミはそんなことより気になったことがあるらしく、首を傾げて尋ねた。
「・・・でも、どうして、あなたは犬になっていたの?」
ミミが犬に魔物としての気配を感じなかったことと、犬が町の結界内に入れたのは、元神官であるのと、犬になった呪いで完全に非力になり邪悪な力が封印されたのであろうからまだわかるとして、誰がこのようじゅつしを犬にしたのかがわからない。むしろそちらの方が脅威ではとミミは考え、イザヤールもすぐにそのことに思い至り、とりあえず怒りは保留した。
「・・・う、うるさい、貴様らの知る必要のないことだ!」何故かうわずった声でようじゅつしは叫んだ。「とっとと犬になってしまえ!」
ようじゅつしは、杖に込めた呪いの念をミミとイザヤールにぶつけた!・・・しかし、何も起こらなかった!ミミとイザヤールは、人間になったとはいえ、呪いが効かないという天使の力の名残は未だに残っている。呪いでは犬になる筈もない。
「そんな・・・まさか、また失敗したのか?」
ようじゅつしの呟きを、二人は聞き逃さなかった。
「また、って・・・。もしかして、犬になっていたのって・・・」
「誰かに呪いをかけようとして失敗したから、か?」
ミミとイザヤールが驚き呆れて尋ねると、ようじゅつしは金切り声で叫んだ。
「うるさいうるさいうるさーい!今のは何かの間違いだ!今度こそ犬になれ!」
ようじゅつしは呪いの念をミミとイザヤールに放った!闇の力が二人を包む!・・・しかし、何も起こらなかった!その後もようじゅつしは、何度も呪いを繰り返したが、結果は同じことだった。
「お人好しの娘を利用したつもりだったようだが、相手が悪かったな」イザヤールは呟いた。「それにミミは、人助けをする際は、酷い目に遭う覚悟を負ってそれでもなお助けることを選ぶ娘だ。おまえが恩を仇で返そうと、絶望など与えるのは千年早いぞ」
「そんな・・・」ようじゅつしはがっくりと膝を着いた。「私の呪いが効かない筈が無い・・・。無いのに・・・。そうか、これは、戻ったばかりで魔力が切れているからだ、そうに違いない!」
ようじゅつしは諦め悪く、たまたまその辺を転がっていたばくだん岩に犬になる呪いを試しにかけてみた!ばくだん岩は犬に変わった!
「あれ、呪いが効くな・・・?」
ようじゅつしが首を傾げている間に、そのばくだん岩の仲間たちがごろごろと集まり、メガンテを唱え始めた・・・。イザヤールはミミを抱き上げて走り、岩影に飛び込んだ。それから間もなく、大爆発が聞こえた・・・。
「因果応報だな」イザヤールが呟く。
「ばくだん岩はとばっちりかも・・・」
「すぐメガンテするのも良くないと思うぞ」
爆発の跡には宝箱が落ちていて、ふしぎなきのみが入っていた。人を呪わば穴二つ。呪いの際にはご用心。〈了〉
そりゃ流石のミミちゃんも飽きれるよね
そして爆発オチw宝箱、よく無事だったなぁw
ミミちゃんが犬になったらトイプードルかな?
イザヤール様は何だろう?
そういえばミミちゃんは以前ワンちゃんになったお話がありましたっけ
リリン「悪い犬にはお仕置きをしないとねぇ」
ククール「躾と称して鞭で引っ叩きそうだ
リリ「ミミも少しは相手を疑うべきよ
クク「ミミちゃんも騙される覚悟はあるさ
リリ「でも取り返しのつかない事になったら」
クク「ミミちゃんの事心配なんだ?
リリ「お人好し過ぎて飽きれてるだけ」
クク「素直じゃないな、リリンちゃん
ミミちゃんには優秀な番犬が付いてるだろ」
リリ「番犬ってミミのイザヤールさんの事?
あの二人、良い意味で犬よね」
クク「まさか犬呼ばわりされているとは思わないだろうな」
リリ「今度ミミに会ったらお手しようかしら?
クク「流石にそれは…(汗)てかシェルルは?
リリ「ダンボールに入れて外に放置してるわ
シェルル(またリリンを怒らせちゃった(T ^ T)
男の子「お兄ちゃん、箱に住んでるの?」
いらっしゃいませこんばんは☆呪っちゃダメ、ゼッタイというお話でした☆(そうだっけか?)
大爆発の後でも宝箱が落ちているのがドラクエスタイルと理解しております(笑)実際は単に実物が(ばくだん石とか特に)落ちているだけのような気もしますが。
おお、けっこう以前のお話覚えていてくださっていてありがとうございます!
イザヤール様は、犬だと何になるんでしょうね〜。大型犬の強そう系は間違いないと思いますが。
なんだかんだ言って心配してくださって、そちらの女主さんこそお人好しでいらっしゃる☆(失礼)確かにお人好しも過ぎると無謀ですよね、まあ最強元師匠と主人公補正で大丈夫?
守り人ってある意味確かに番犬ポジションかも。そういうことじゃなくて、とそちらの女主さんに言われそうです(笑)
彼氏さん、おとなしく箱に入っていらっしゃるのが泣けます。出ていいのでは?!