セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

夢の為にトレーニング

2012年01月24日 23時27分33秒 | クエスト163以降
だいまじんの項目を見て、前から漠然と思っていたネタを話化してみました。ネタの延長なので短めです。だいまじんのつり革云々は、モンスター図鑑178「だいまじん」の二ページ目をご参照くださいませwドラクエシリーズは、モンスターたちのどこかコミカルな私生活?の部分も垣間見えて、その独特のゆるい空気感も大好きです。

 ここはアルマの塔の一角。窓から入る冬の木枯らしは冷たかったが、モンスターたちは相変わらず元気だ。まあ自分たちが棲息しやすいダンジョンに棲みついているのだから、それも当然だろう。
 その中でも一際元気なのが、山のように巨大なモンスター、「だいまじん」だ。彼は今日も熱心にイメージトレーニングに励んでいる。
 彼には野望があった。塔の窓から時折見える、金色の弧を描いて空を翔ける天の箱舟。他のモンスターたちに言うと笑われるから言わないが、かっこいいなと見る度に思う。
 いつかその天の箱舟に乗って、つり革につかまるんだ。天の箱舟につり革があるかどうか定かではないが、彼は勝手にあるものだと信じていた。その日の為に、今日も腕を上げて、トレーニングに励む。つり革につかまった時の腕の角度を細かく調整して、絶妙な角度で腕をキープする練習だ。
 他のモンスターたちは、そのトレーニングを、腕を降り下ろして強烈なパンチを繰り出す為の練習だと思っている。その熱心さに感心したギガンテスなど、自らも棍棒を降り下ろすトレーニングを始めたほどだ。
 と、ここで、だいまじんはトレーニングを中断して、ぎろりと目を光らせた。何者かが、階段を上がってくる。塔に人間どもがやってきた、それなら普通に蹴散らすので別に構わない。違うのだ。・・・憎らしい奴が来た。
 だいまじんの憎らしい奴とは、華奢な体格のくせに(もっともだいまじんから見れば大概の者は華奢になってしまうだろうが)やたらに強い、愛らしい少女だった。
 遥かに巨大な自分に臆する事なく、グラデーションを描く紫水晶のような瞳で見つめてくる彼女を、敵ながらあっぱれと思うが、それでも憎らしいのは憎らしい。攻撃して返り討ちに遭うだけではない。彼なりのちゃんとした理由があった。
 この娘は、天使なのだ。だいまじんを含め、魔物たちは皆、ちゃんと天使たちのことは覚えている。天使たちは、人間以上に厄介な存在だった。最近はさっぱり見かけないと思っていたのに、この少女はたまにこの塔に現れる。
 最近彼女の気配が人間のものに変わってきた気がするが、そんなことはどうでもよかった。何せ、彼女は。

 あの天の箱舟を乗り回しているのだ。だから、憎らしくてたまらない。

 昔むかし彼は、噂話で聞いたことがあった。天使どもは、天の箱舟で神に送迎してもらえるらしい。羨ましい。羨ましいったら羨ましい。
 どうして彼女が天の箱舟を乗り回していることを知っているのかと言うと、それを知ったのは偶然からだった。
 いつものように窓から箱舟を見ていたら、着陸して彼女が降りてきたところを見た。そしてしばらくして、用事を済ませた彼女がアルマの塔を出て、笛を吹き鳴らしたら、なんと天の箱舟が迎えに来たのだ!
 そんな次第で、羨望と何でおまえがー!という妬みを込めて、彼女が塔を訪れる度に攻撃をしかけるだいまじんだったが、先ほども述べた通り、いつも返り討ちに遭うのだった。
 そして、今日は更に、だいまじんを怒り狂わせる出来事が加わった。これまでは妖精みたいな者と二人でここを訪れていた娘が、今回はもう一人連れてきていたのだ。やはりどこか天使の気配を漂わせる、精悍な男を。
 天使の気配があるということは、こいつも天の箱舟に乗れるのかー!くそー!・・・と、いう訳で、だいまじんは今日も全力で、いつもにも増して猛突進したが、案の定返り討ちに遭ってしまった。

 ミミとイザヤールは、戦闘を終えると、不思議そうに首を傾げた。
「気のせいかなあ・・・ここのだいまじん、何だかいつも怒っている気がするの・・・」
「まあ魔物たちは、人間の侵入者を快くは思わないだろうがな」
「イザヤール様、たいへんなところにお連れしてごめんなさい」
「いいや、別にたいへんではないし、魔獣アルマトラに会うのは興味があるからな。・・・間接的に、エルギオス様を助けてくれようとしてくれたそうだしな。その礼も言いたい」
 すると、ここでサンディがニヤニヤしながら口を挟んだ。
「ミミはさ~、ぶっちゃけ、世界中の友達に、カッコイイ彼氏見せびらかしたいだけじゃないの~?」
「さ、サンディ!・・・あ、でも、みんなにイザヤール様を紹介したいって思うのは、やっぱりそうなのかな・・・」
「認めちゃうのかよー!」
 それから一同は階段の方に向かったが、サンディはのびているだいまじんを振り返ってから、ミミとイザヤールに囁いた。
「アンタたちなら絶対大丈夫だと思うけど、くれぐれもだいまじんだけには負けないでよ!ヤツらは、天の箱舟に乗りたいって野望持ってんだから。アイツらが乗った日には、箱舟絶対また墜落してバラバラんなっちゃう!」
「ね、サンディ、その話、ホントなの~?」
「ナニ疑ってんのよ!『みやぶる』でちゃんと調べたデショ!」
「しかし、なあ・・・。モンスター図鑑を読む度に信じられない。そもそも、箱舟につり革なんてあったか?」
「イザヤールさんまで疑うワケー!?そもそも、天の箱舟は普段は三両編成なんだケド、女神の果実が実ったあの日は、天使全員大人数お迎えだったから、臨時で車両増やして、それにはつり革付いてたの!」
「そ・・・そうなのか?何だか微妙な気分だな・・・」
「じゃあだいまじんは夢絶対叶わないのね。・・・ちょっとかわいそうかも・・・」
「ミミー!くれぐれも同情して乗せたりしちゃダメだかんねー!」

 そんな会話がされていたとはつゆ知らず、傷を癒しただいまじんは、今日もまたトレーニングに励むのだった。〈了〉

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4 コメント

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「みやぶる」も楽し☆ (津久井大海)
2012-01-25 09:35:21
オディール様

引き続きおはようございます☆だいまじん、おうえんされたよ、よかったね!しかし、勝ち目は薄い&倒せたとしてもサンディが断固乗車拒否です。道は遠い・・・w

箱舟車両増設ネタは、以前どこかで「天の箱舟って、オープニングのときもっと車両多くなかった?」という疑問を拝見して、それで考えてみたつじつま合わせですw

ああ、DSとソフト親御様預かりの刑ですか(涙)なんてこと・・・!
もしかしてお嬢様の睡眠不足と学業をご心配故の苦渋の選択かも・・・?ここは親御様が安心してDS返還気分になれますよう、オディール様を「おうえん」!
くれぐれもテレビゲーム禁止令されちゃってる津久井のようなダメ大人にならないようお気を付けて!
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そういえばあったかも☆ (津久井大海)
2012-01-25 09:21:31
Sepia様

おはようございます☆おお~、ファ○通であったんですねそういう記事!もしかしたら読んでるかもです♪バリバリファミコン世代津久井w
ではドラクエ開発スタッフさんも、フ○ミ通読者さんで、そこからネタ来ているのかしらwww

特にファミコンDQ3のうごくせきぞう&だいまじん、あの腕の上げ方といい、ちょうどよくウィンドウに手が隠れてる様子といい、まさにつり革スタイル☆懐かしいです~♪
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だいまじんにおうえん! (オディール)
2012-01-25 00:32:04

だいまじん…
がんばれ(T_T)
でも相手がミミちゃんとイザヤール様となると…かなりかなりかなりきついかも。
ていうかサンディ…まさかの車両増えるんですね_(._.)_たしかにあれだけの天使を3両に詰め込むのか謎でしたが…

みやぶるって面白いですよね(^w^)
魔物全てみやぶるコンプリート目指してますが… このまえ戦歴みたらグレイナルみやぶっててドロザラーみやぶるの忘れてました(T_T)
それと今はDSとカセット、Wでとりあげの刑です。わはは…
ドラクエ~(ノ△T)

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つり革ww (Sepia)
2012-01-25 00:21:32
こんばんは。


つり革ネタ懐かしいです~。
FC版3の戦闘画面で、うごくせきぞうの左手がウインドウにかかっていてそう見える、というのが何かに載ってました。ファミ通だったかな…。
…歳がバレますねww
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