セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

マ剣を作ろう!

2013年04月26日 23時58分01秒 | クエスト184以降
本日はギリギリ間に合った更新捏造クエストシリーズこと追加クエストもどき。今回はスライムマデュラやモンスターズでお馴染みのマデュライトのお話です。マ素やマデュライトのことを調べたり考えたりしましたが、やはりいまいちよくわからないので、文中のマ素やマデュライトの設定半分妄想ですすみません。マ素って悪いだけのものじゃないような気がするのです。特にスライムマデュラの平和な顔を見ていると。そういえばもしかして10にもマデュライト登場するのでしょうか?検索中どこかで見かけたような?10でマ素の謎解けてたらどうしよう(汗)

 錬金材料探しにとある鉱脈を訪れたミミとイザヤールは、これまでなかった小さな坑道があるのを見つけた。特に出入り禁止の指示もないので、用心しつつ入ってみると、奥の行き止まりの壁には、ルビーの原石を産する物に似た、巨大な紅い結晶の柱があった。
「綺麗・・・」
「良いものが見られたな」
「でもイザヤール様、これって」
「ああ、ルビーではないな」
 二人はしばし堪能してから帰ろうとすると、いつの間に現れたのか、とても小柄だが、体つきはがっちりと逞しい男が立っていた。まるでサンディの連れて行ってくれる市場で見かけるドワーフのようだ。いや、ほぼ間違いなく、ドワーフなのだろう。
「おまえたち、この結晶を持って帰ろうとしないのか?」彼は不思議そうに言った。
「私たちは、鉱石は自然に落ちているカケラだけを採取するんです」ミミは説明した。「知らない坑道をやたらに採掘すると、落盤する危険があるかもしれませんし」
 ミミの答えを聞いて、男は感心した。
「おまえたちは欲が無いなあ。人間には珍しい。そのうえ用心深い。なかなかの冒険者と見た」それから、彼はちょっと苦笑した。「こういう心根が良くて一流の冒険者に限って、テストにひっかかってくれないんだよな」
「テスト?」
 ミミとイザヤールが怪訝そうに首を傾げたので、男は説明した。
「実は俺は、この結晶を折り取れる程のハンマー使いを探しているんだよ。この結晶は、ハンマースキルを極めた者でないと、キズ一つ付けられないのさ」
「そうね」ミミは頷いた。「これはマデュライトの塊、そうなのでしょう?」
「良く知っているな。そう、これは巨大なマデュライトの結晶さ。こういう珍しい物を見たら、大概の冒険者は、一部分でも持ち帰ろうとするだろう?ひとカケラでも落とせる者が居たら、頼みたいことがあってこうして待っていたんだ。おまえたちも、挑戦してみてくれないかい?」
 二人は頷いて、まずミミが「大陸くだき」を装備して、呼吸を調えて思いきり振った。たちまち坑内に凄まじい衝撃と振動が響いた。ドワーフたちの熟練の技術で落盤対策をした坑道でなければ、辺りは崩れ落ちていただろう。
 衝撃に反して、ぽろりとひとかけだけ、クルミくらいの大きさの結晶が落ちた。
「これだけなんて・・・ごめんなさい」
 ミミはしょんぼりして謝ったが、男は目を丸くして言った。
「いや、充分過ぎさ!これだけ純粋なマ素の塊には、キズを付けることさえたいへんなんだぜ!お嬢さんあんた、華奢なくせにえらいチカラだな!」
「そういうものなの?じゃあイザヤール様は、私よりもっと力があるから、もっと凄いと思うの」
 そう言ってミミがにっこり笑ってイザヤールを見ると、ハードルが上がったなと苦笑してから、彼は無駄のない滑らかな動きで大陸くだきを振るった。やはり凄まじい衝撃、そして、先ほどより僅かに高い音がして、鶏卵くらいの大きさのマデュライトのカケラが地面に転がった。
「・・・こんなところか」
 イザヤールが肩をすくめると、男は口をあんぐりと開けていた。
「いやあ、大したもんだぜ!こんな凄腕ハンマー使いが二人も居れば、マ剣の完成も夢じゃなくなる!」
「魔剣?」ミミとイザヤールは表情を硬くして警戒モードに入った。
「世界に何か害を為すつもりなら、協力するわけにはいかない」
「恐ろしい破壊武器を作るお手伝いはできないわ」
 すると男は、とんでもない、とぶるぶると首を振った。
「魔剣じゃないぜ、マ剣!マ素でできた剣さ!」
「マ素が何なのか私たちは未だによくわからないけれど、モンスターの力の源になるものとも言われているでしょう?やっぱりあまり魔剣と変わらないじゃない」
 ミミが強い意思を秘めた眼差しで男を見つめると、男は参ったなと言いたげに頭を掻いた。
「おまえたち、強いだけじゃなくてちゃんと立派な心も持っているなあ。信じてもらうのは難しいが、マ素自体は、必ずしも邪悪なものじゃない。聖でも邪でもない、一種の魔力としか表現しようのない力さ。れっきとした魔物なのに悪いヤツじゃないモンスターもたくさん居るだろう?要は使い方だ。実は幻魔石も近い成分なんだぜ。
俺たちは、マデュライトを剣の形にすることで、刃の先からスライムマデュラの出すのと同じ光線を出して、通常では歯が立たない神々の金属や宝石を加工したりしている。スライムマデュラのバイトもときどき使うんだが、あいつらどうもやる気にムラがあってなあ。それでマデュライトの剣は重宝なんだが、めったに作れない。なあ頼むよ、加工を手伝ってくれないかい?」
 男の言うことに嘘は無さそうだ。だがミミとイザヤールは顔を見合わせ、目でどうする?どうしようか?と会話を交わし、引き受けて大丈夫そうだと相談はまとまったが、それでも一応警戒は怠るなとイザヤールが頷き、それでミミは用心深く言った。
「それなら、条件があります。マ剣が完成したら、実際にその剣でオリハルコンやオーブを加工して見せてくれませんか?それで本当にきちんとした加工ができたら、完成した剣をお渡しします。できなければ、マ剣は私たちが持ち帰り、悪用できないよう壊します」
「ああいいぜ!じゃあとにかく加工は手伝ってくれるんだな、助かるよ!」
 ミミはクエスト「マ剣を作ろう!」を引き受けた!

 とりあえずさっそく、マデュライトを加工することになった。
「まずはこの結晶を折り取ってくれるか?『ライドインパクト』を三回やればこれくらいのは折れるだろう。俺もできるから、おまえたち、それぞれ一回ずつやってくれないかい?」
 男は言って、巨大な結晶の柱の中で、比較的細くて折りやすそうなものを指した。
 二人は頷き、三人はそれぞれ一回ずつライドインパクトを放った。男の言った通り、三回目で結晶の一本がポキリと折れた。
「比較的折れやすい目が根元走る結晶を選んだからな、うまくいったぜ。じゃ、外に運び出すぞ」
 結晶を運び出す途中、ミミは首を傾げて尋ねた。
「あなたも凄いハンマー使いなのね。私たちの助け、必要ないんじゃない?」
「やってできなかないけどさ、すんげえ疲れるし、腹も減るし、時間もものすごいかかるんだよ。一人でずっとマデュライト叩いてみろ、腕のスジ傷めちまう。おまえたちも、叩いてる途中やばいと思ったら、無理すんなよ」
 男はそう答えて、片目を閉じてにやっと笑った。
 外に出ると、男は近くの資材置き場に置いてあった大きくて厚めなゴームの板を出してきた。
「この上で叩くと、なまじ固い場所でやるより、地面への衝撃が減るし、より結晶そのものに力が加わるのさ」彼は説明した。「じゃあ行くぜ!後に着いて、俺が叩いた通りの場所を叩いてくれ」
 男がハンマーを振り上げ、ゴームの板の上に寝かせた紅い結晶に打ち下ろす。その後にミミが打ち、イザヤールが打ち、また男が打ったところでぱきりと音がして結晶に僅かに斜めにひびが入る。軽くコン、と音がして、余分な板状のマデュライトが転がり落ちた。
 それからの数時間は、その繰り返しだった。ときどきの休憩と(弁当時間含む)、ゴームの板のおかげで肉体への衝撃は最小限に抑えられていたが、それでも一同はさすがに疲労した。
「鍛冶屋さんてたいへんなの、こんなことをして、しかも暑いなんて」
 ミミがぼやいて大陸くだきをひと振りすると、イザヤールが笑った。
「こんな厄介な物を叩く鍛冶屋も、まあめったに居ないだろうがな」
「俺も人間にはまあ無理だと思っていたけどよ」男も口を挟んだ。「おまえたちみたいのも居るんだな、見直したぜ!」
 無理はしないで何日かけてやってもいいと男は言ったが、ミミが振り下ろした一撃が、いいところに入ったのか、結晶は一気に綺麗に割れて、おおよそ剣の形になった。
「いいぞお嬢さんよ!じゃあ仕上げするから、ちょいと待ってくれよ!」
 男はハンマーを握り直すと、体力と気力を振り絞って結晶を叩きまくり、仕上げた。仕上がった時には、肩で息をして汗だくだった。
「じゃあ、さっそく、俺の自宅兼工房に戻って・・・ぜえぜえ、オリハルコンを加工して見せてやるぜ・・・はーはー」
「あの・・・大丈夫?」
「大丈夫さ!女房の焼いたさえずりの蜜入りロックケーキを食えば疲れなんか吹っ飛ぶぜ!・・・ぜえぜえ」

 仕上がった剣はイザヤールがバスタードソードのように背に背負い(さすが様になっていた)、ミミとイザヤールは男に着いて行って彼の言うことに嘘がないのを確認することにした。
 男がキメラの翼を放り投げて行った先に、二人は少々驚き、安堵した。
「あ、ここって」
「ひょっとして、妖精たちの定期市場の近くではないのか」
 二人が言うと、男はまた目を丸くした。
「なんで市のことを人間のおまえたちが知ってるんだ?!おまえたち、いったい・・・」
「サンディという仲間の妖精?が居てな、彼女がたまに連れてきてくれる」
「イザヤール様、『美少女妖精』って言っておかないと、後でサンディに怒られちゃうの」ミミが本気で心配そうに言う。
「いいさ、怒らせておくさ」あっさり答えるイザヤール。
「おまえたち、会話ずれてんなあ・・・。ん?サンディ?サンディって、もしかしてあの方のっ・・・?!何だよ、サンディさんの友達ってのはおまえたちのことか、早く言ってくれよう」
「サンディの知り合いだったの?なんだ、早く言ってくれればいいのに・・・」
 それはともかく、と、男は二人を自宅兼工房に連れて行き、オリハルコンのカケラを用意し、イザヤールにマ剣を構えさせて、剣から出た光線でオリハルコンが綺麗に切れたところをミミとイザヤールに見せた。
 それで納得した二人がマ剣を渡すと、男はマ剣でオリハルコンや宝石を細工して、一見そうは見えない優美なデザインの「かんぜんぐつ」を大小それぞれ作って、二人にくれた。何故かんぜんぐつ?と一瞬首を傾げたミミとイザヤールだったが、かんぜんぐつの材料の一部が、オリハルコンとまもりのルビーであることを思い出して、納得した。ミミは「かんぜんぐつ」を二足手に入れた!
 それから二人は、男の言うところのおいしい「さえずりの蜜入りロックケーキ」とお茶をごちそうになり、帰路に就いた。
 帰り道、ミミはいたずらっぽく笑ってイザヤールに尋ねた。
「イザヤール様、イザヤール様も、自分の『マ剣』欲しいって思ってない?」
 問われて彼は、にやりと笑って答えた。
「ミミ、おまえこそ」
 今度自力でいいマデュライトを見つけたら作ってみるかと、半ば真剣に相談を始めた二人だったが、とにかく今夜は、疲れを取るのが先だ。
 よく干されたマットレスのふわふわ暖かいベッドと、それより更にずっと心地よいお互いの腕の中を思って、二人は微笑みを交わしてリッカの宿屋の敷居を跨いだ。〈了〉

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