セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

めいてい

2015年09月06日 03時29分43秒 | クエスト163以降
タイトル一見なんのこっちゃですが、めいてい、すなわち酩酊ってことですのイザ女主話。漢字でもよかったんですが漢字だとあまりめろめろ感が出ないもので。酩酊とはいっても、今回は泥酔まではいかないけどほろ酔いよりはかなり酔っているイメージです。書いてる時間のせいか、それとも脳の腐敗の為なのか、かなりの重症度のきょーふの真夜中テンションな内容になってしまいました~。でも酔っていてもいなくても結局イチャ度がたいして変わってないような気もする二人(笑)

 今年のドミールの新酒も、やはり強烈だった。火酒と呼ばれるに相応しく、口中を喉を体内を、文字通り灼くように駆け巡った。しかも少し量が過ぎたか、と、イザヤールは階段をゆっくり上りながら思った。足取りはしっかりしているが、頭は少しぐらぐらしている。
 少々飲み過ぎたのはミミも同様らしく、彼女にしては珍しいことに今イザヤールの腕にくたりと抱き上げられて眠っていた。ルイーダの酒場で新メニューの試飲も兼ねて酒に比較的強い者たちが集まって飲んでいたのだが、ドミールの火酒の前にも試作品をかなり飲んでいたミミは、途中でイザヤールの肩に頭を預けるようにして眠ってしまったので、こうして自室まで運んでいるというわけだった。
 頬が淡い薔薇色に染まった彼女の寝顔が愛らしい。頬だけでなくよく見ると白く華奢な首筋や鎖骨もほんのりと淡い淡い紅色が掃かれていて、それがなんとも艶かしかった。そして、いつもにも増してしっとりとやわらかそうな唇は、頬よりも更に紅く、罪作りに視線を誘う。
 場所も考えずその唇を盗んでしまいそうで、抱き上げてくるのではなく背負ってくるのだったと、彼は自嘲気味な苦笑を浮かべた。やはり今日はかなり酔っている。自室までほんの少し我慢すれば、この腕の上の可愛い恋人を恣にできるというのに。階段が、廊下がもどかしい。
 だが、ようやく部屋にたどり着くと、かなり酔っていても理性の方が勝って、起こしては可哀想だと、彼女をそっとベッドに横たえた。それからイザヤールはその傍らに腰を下ろし、ミミの寝顔を飽かずに眺めた。
 今頃どんな夢を見ているのだろう。自分の夢を、見てくれているだろうか。内心呟いて、彼は思わず淡い薔薇色の頬に手を伸ばし、そっと触れた。ベルベットよりやわらかく滑らかなその肌に触れてしまえば、せっかくの良心も敢えなく陥落して、もっと、もっとと己の全身が要求する。その要求のままに屈み込み、優しいキスを落とした。
 すると、キスで目を覚ましたのか、ミミが濃い紫の瞳をゆっくりと開いた。長い睫毛が影を落としてより深い陰影を作り、熱を湛えて潤んでいることでいっそう星のような煌めきを浮かべている。愛しいもの、美しいものを見つめるときの常のグラデーションを描くその瞳が、じっと恋人を見つめ、微笑みが浮かんできた。
 その愛らしくも艶かしい微笑みを浮かべて、ミミは囁いた。
「イザヤール様・・・。私のこと、好き?」
 何故そんな当たり前のことを、そう言う代わりにイザヤールは、彼もまた優しくも艶かしい微笑みを浮かべ、囁き返した。
「ああ、大好きだ」
 それを聞いてミミは、蕩けるような笑みを浮かべ、腕をそっと彼の首に巻き付けて顔を顔に引き寄せ、天真爛漫なだけにかえって無意識の蠱惑を感じさせる表情で、告げた。
「私も・・・イザヤール様が、大好き・・・」
 囁いて、きゅうと愛しい男を引き寄せる。しなやかな体に逞しい体の重量がかかって、その心地よい重さに彼女は幸せそうに吐息し、その心地よいやわらかさに彼は息を飲んでから、小さく笑って呟いた。
「いけない子だな」
 そんないけない子のおまえも大好きだと耳元で囁きながら、ふっくらとした花びらのような耳朶に、唇で触れる。ミミはぴくんと身を震わせて、小さくいじわる、と呟いた。・・・でも。
 私だって・・・ちょっと意地悪なイザヤール様も大好き・・・だから。全部ぜんぶ、好き、大好き、愛している・・・。酔いも手伝って大胆に愛の言葉を囁くミミに、酩酊させられていく。ああ、おまえの全て、何もかも、大好きで、愛している・・・。イザヤールも酔いに委せて想いの丈を臆面なく囁き続けた。酒はとっくに、醒めている筈なのに。〈了〉
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