ミミ、ルイーダ、ロクサーヌ、イザヤールの四人は、冒険を終えてリッカの宿屋に戻ってきた。
「じゃ、私とロクサーヌは仕事に戻るわね」
ルイーダが言い、カウンター内に入っていくと、ミミは軽く欠伸をして言った。
「それでは悪いけど、私たちは先に休ませてもらいましょうか、イザヤール様」
「ああ、そうするか」
こうして二人が階段を上がっていくと、リッカがふと気が付いて呟いた。
「そういえば…だいたい毎晩二人きりだよね、ミミとイザヤールさん…」
「え?」
ルイーダとロクサーヌが首をかしげると、リッカは続けて言った。
「同じパーティーメンバーだから、深く考えずに同じ部屋にしてたけど、よく考えたら私たち宿屋のお仕事あるから、ほとんど部屋に居ないじゃない?
…ミミも一応女の子だし、いくらお師匠さんだからって男の人と同室二人きりはまずかったかな、って…」
困惑気味の顔のリッカに、ルイーダはくすりと笑って言った。
「いいんじゃない?間違いがあった方が」
「!…ルイーダさんっ…!」
リッカが顔を真っ赤にすると、ロクサーヌはやや驚いた表情で会話に入ってきた。
「ええ?お二人の恋路を応援するためにわざとこういう部屋割りにしてたのではないんですの?…さすが宿王って思ってましたのに」
「ろ、ロクサーヌさんまでっ」
暫しリッカは赤くなってあたふたしていたが、やがてロクサーヌがぽつりと呟いた。
「でも…起きませんね間違い…」
すると顔色が戻ったリッカが続けて言った。
「確かに…そんな気配は全然…」
「おかしいわ…あの二人、絶対相思相愛のはずなのに…」
腕組みしてそう言ったルイーダは、私の目に狂いが?と更にぶつぶつ呟いた。
さてこちらは、その噂のぬし二人の部屋。入浴を終えて寝室に入ってきたイザヤールは、溜め息をついた。
…喧しい。
「やっぱー、ラヴィエルさんは、黒にシルバーのクロスで決まりデショ」
「ネイルアートかー。面白そうだな」
サンディと自分の妹が、爪の装飾の話題で盛り上がっている。
そして、その二人の脇に腰かけているミミは、トークに必死に参加しようとしていたが、疲れのあまり、かくかくと半分船を漕いでいた。
「あッ!でもブルーに羽根モチーフもアリかも!」
「ほう。今度試してみるかな」
「てゆうかー、ラヴィエルさんもギャルメイクしなよー。絶対イケるって」
「…んあ…ふにゃあ」
最後のは、猫の鳴き声ではなく、トークに参加しているつもりのミミの寝ぼけ声である。
ついに堪りかねて、イザヤールは低いが迫力のある声で呟いた。
「いい加減に寝ろ、おまえたち。うるさいぞ」
パーティーメンバーの気遣いも虚しく、全然二人きりになれていないミミとイザヤールだった。〈了〉
「じゃ、私とロクサーヌは仕事に戻るわね」
ルイーダが言い、カウンター内に入っていくと、ミミは軽く欠伸をして言った。
「それでは悪いけど、私たちは先に休ませてもらいましょうか、イザヤール様」
「ああ、そうするか」
こうして二人が階段を上がっていくと、リッカがふと気が付いて呟いた。
「そういえば…だいたい毎晩二人きりだよね、ミミとイザヤールさん…」
「え?」
ルイーダとロクサーヌが首をかしげると、リッカは続けて言った。
「同じパーティーメンバーだから、深く考えずに同じ部屋にしてたけど、よく考えたら私たち宿屋のお仕事あるから、ほとんど部屋に居ないじゃない?
…ミミも一応女の子だし、いくらお師匠さんだからって男の人と同室二人きりはまずかったかな、って…」
困惑気味の顔のリッカに、ルイーダはくすりと笑って言った。
「いいんじゃない?間違いがあった方が」
「!…ルイーダさんっ…!」
リッカが顔を真っ赤にすると、ロクサーヌはやや驚いた表情で会話に入ってきた。
「ええ?お二人の恋路を応援するためにわざとこういう部屋割りにしてたのではないんですの?…さすが宿王って思ってましたのに」
「ろ、ロクサーヌさんまでっ」
暫しリッカは赤くなってあたふたしていたが、やがてロクサーヌがぽつりと呟いた。
「でも…起きませんね間違い…」
すると顔色が戻ったリッカが続けて言った。
「確かに…そんな気配は全然…」
「おかしいわ…あの二人、絶対相思相愛のはずなのに…」
腕組みしてそう言ったルイーダは、私の目に狂いが?と更にぶつぶつ呟いた。
さてこちらは、その噂のぬし二人の部屋。入浴を終えて寝室に入ってきたイザヤールは、溜め息をついた。
…喧しい。
「やっぱー、ラヴィエルさんは、黒にシルバーのクロスで決まりデショ」
「ネイルアートかー。面白そうだな」
サンディと自分の妹が、爪の装飾の話題で盛り上がっている。
そして、その二人の脇に腰かけているミミは、トークに必死に参加しようとしていたが、疲れのあまり、かくかくと半分船を漕いでいた。
「あッ!でもブルーに羽根モチーフもアリかも!」
「ほう。今度試してみるかな」
「てゆうかー、ラヴィエルさんもギャルメイクしなよー。絶対イケるって」
「…んあ…ふにゃあ」
最後のは、猫の鳴き声ではなく、トークに参加しているつもりのミミの寝ぼけ声である。
ついに堪りかねて、イザヤールは低いが迫力のある声で呟いた。
「いい加減に寝ろ、おまえたち。うるさいぞ」
パーティーメンバーの気遣いも虚しく、全然二人きりになれていないミミとイザヤールだった。〈了〉
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