セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

世界一可愛い仮装衣装

2012年10月05日 23時52分40秒 | クエスト184以降
今週はギリギリ更新間に合いました嬉しい~(ハードル低!)の捏造クエストシリーズこと追加クエストもどき。10月ということでハロウィン関連話。今回も相変わらずバカップルぶり健在な二人でございます。仲良くクエスト攻略に行ってます。そしてドラクエ10やってないのに、こっそり10アイテム混ぜてみるフライング(笑)また、「天使のレオタード」は、ドラクエ5に登場の装備品。個人的に旧デザインの方が好きです。9では特に出してほしかったのになあ。

 ロクサーヌがハロウィンフェアを始めると、いよいよ秋も本番である。セントシュタインの城下町でも、様々な店が収穫祭に向けての準備を始め、子供たちやそして一部の若者たちは、どんな仮装をしようかと胸を躍らせる。
 ミミも、今年は何の仮装をして呼び込みに行こうかと、楽しい悩みを抱えていた。
「じゃさ~、イザヤールさんに『さまようよろい』の仮装してもらって、アンタは『ホイミスライム』の仮装してついてったら?」
 爪を念入りに「デコって」いるところなので、口調も発想もかなり投げやりなサンディが言った。
「ホイミスライムの着ぐるみかあ・・・作るのたいへんそう・・・」
 真面目に検討するミミ。
「作るの楽なら着るんかい!・・・まあミミ、作んなくてもちょーどイイのあるじゃナイ☆」
 思わずツッコミを入れて、サンディは危うくラメストーンの位置がズレそうになった。
「え?ホイミスライムスーツなんてないけれど?」
「違うワヨ、『イザヤールの服』をワンピ風に着ればそれでオッケーじゃん☆水色だし、たくさん付いてるビラビラがちょーどホイミスライムの足っぽいし☆」
「サンディひどいの・・・それに誰もホイミスライムの仮装なんて気付いてくれないものっ・・・」
「げ、ミミ、珍しくマジで怒ってる!でも怖くない!・・・と、とにかくゴメンミミ~、ネイル超可愛くデコってあげるから、許して~」
 本当にとても可愛いネイルのデコレーションをしてもらったので、ミミは機嫌を直し、嬉しそうに微笑みながらロビーに下りていった。そろそろイザヤールが帰って来る頃だからだ。と、彼女の姿を見つけたロクサーヌが、笑顔を更に輝かせて声をかけてきた。
「ミミ様、ハイパーグッドタイミングですわ!クエスト依頼が起こりそうですのよ☆」

 ミミが歩み寄るとロクサーヌは、目の前に立っているとても高そうな毛皮のコートを着ている男に向き直り(秋仕様のコートとはいえ、とても暑そうだった)、説明を始めた。
「彼女は、超一流の冒険者ですのよ☆きっとお客様の望みを叶えてくれると、私は信じておりますわ!」そしてミミには、彼が一代で財を築き上げた、超レアな武器を扱う武器商人だと紹介した。
 男は、一瞬怪訝そうにミミを見つめたが、太鼓腹の上で腕組みをし、にやっと笑った。すると、一部の成金の間で流行していると言われる、金と宝石でできた歯のデコレーションをする装身具がキラリと光った。
「ロクサーヌちゃんの言うことはいつも間違いないからねえ、とりあえず相談してみようかな。君がミミちゃん?頼みがあるんだけど、聞いてくれるとおじさん助かっちゃう!お金ならいくらでも出すよ」
 ミミは、引き受けるかどうかはとりあえずお話を伺ってから・・・と念を押してから、頼み事の内容を聞くことにした。
「うちにはミミちゃんと同じくらいの娘が一人居てねえ。もう可愛くて可愛くて、おねだりにはつい負けちゃうんだよ。で、もうすぐハロウィンだから、世界一可愛い仮装をさせてあげたくて!
それでね、とってもキャワイイ小悪魔ちゃんな衣装を作らせようと思っているんだけど、それにはピンク色の『こうもりのはね』が必要なんだ。染めたのなんかダメダメ、天然モノのね」
 さすがのミミも、ピンク色の「こうもりのはね」があるとは知らなかった。男は、説明を続けた。
「実はね、『ピンクモーモン』は、ごく稀に全身ピンク色のレアなヤツが居るんだよ。そしてそれを恥ずかしがって、気合いと根性で黒い新しい羽と尻尾を生やして、古い羽と尻尾は隠し持っている。そのピンク色の羽と尻尾を、取ってきてくれないかな?お金ならいくらでも出すよ!」
 お金はともかく、ミミは考えた。そういえばイザヤール様、この頃どういう訳か、最近流行りの新しいデザインのレア武器の、スライムをあしらった可愛い杖を探していたっけ・・・。
「スライムステッキを譲ってくださるなら、喜んでお引き受けします」ミミは言った。
「そんなのでいいのかい?もちろんお安いご用だよ!」
 こうしてミミはクエスト「世界一可愛い仮装衣装」を引き受けた!
「いや~ありがとう!実はおじさんには、ギャフンと言わせてやりたいヤツが居てねえ。十五代続いてるとかいう古クサイ防具屋の主がムカつくヤツでね。そいつにも娘が居て、うちの娘が世界一!なんていうから、そんなの間違いだって教えてやりたいのさ!」
 依頼人は呟くと、大きな石の指輪を全部の指にはめた手で、テーブルをドンと叩いたのだった。

 その頃、今日も無事旅の商人の護衛を終えたイザヤールは、報酬を受け取ると、さっさと愛しいミミの待つリッカの宿屋に帰ろうとした。すると、その商人に呼び止められた。商人とはいえ、旧家の威厳とその独特な雰囲気を持っている人物で、身につけた物は全て一見シンプルに見えて実はとても高価な物ばかりだ。
「見事な働きであった。一つその腕を見込んで、もうひと仕事してもらいたい」
「せっかくのお言葉ですが」イザヤールは慇懃に、しかしきっぱりと言った。「大切な者を待たせてあります。一刻も早く帰ってやりたいので、ここで失礼します」
「まあ待て。待たせている者とはおそらく、貴殿にとって世界一可愛い恋人、そうだろう。だがワシにも、世界一可愛い娘が居てな。その娘の願いなら、なんでも叶えてやりたいのだ。愛しい者の願いを叶えてやりたい気持ち、男ならわかるだろう」
 その言葉にイザヤールはちょっと立ち止まり、話だけ聞いてみることにした。
「ワシの娘は、親バカと言われようが世界一可愛らしい。しかし、十五代も続く由緒ある防具商人の我が一族に敵うわけがないのに、やたらに張り合ってくる鬱陶しい成金の武器商人が居てな。そいつにも娘が居て、いやいや、うちの娘が世界一!と言い張りおる。
相手をするのもバカらしいが、一方的に言われっぱなしも腹に据えかねる。そこで、もうすぐ来たるハロウィン(彼が言うとハロウィンも厳めしい言葉に聞こえた)で、我が娘に世界一素晴らしい衣装を着せて、その可愛らしさを存分に引き立ててやりたい。そこでだ。
貴殿ほどの冒険者ならば、スターキメラという魔物は知っておろう。スターキメラの翼の一部には桃色の羽があるが、その羽を使って衣装を作ったら、素晴らしい物ができるだろう。たくさんのスターキメラと戦わなくてはならぬからかなり難儀だろうが、頼まれてくれぬか」
 イザヤールは少し考え、ふと、ミミが「天使のレオタード」と呼ばれる珍しい防具を、理由はわからないが欲しがっていたことを思い出した。
「こちらの要求する報酬をご検討頂けるのなら」
 彼は言い、交渉を始めたのだった。

 ミミが冒険の仕度を終えてしばらくして、イザヤールが帰ってきた。
「おかえりなさい、イザヤール様」
 輝く笑顔と共に抱きつかれ、彼は幸せな吐息をついたが、ミミが冒険仕様な装備なことに気付いて呟いた。
「クエストを頼まれて、出かけるのか」
 イザヤール様はなんでもお見通しなの。ミミは頬を彼の頬にすり寄せながら思った。
「はい。行く前に、イザヤール様におかえりなさいだけは言いたかったの」
「・・・そうか」
 ありがとう。囁いて、彼は腕の中のやわらかな体を更に強く抱きしめた。
「・・・だがな、実は私もこれから、すぐに出かける用事ができたから、行ってくる」
 イザヤールは言って、護衛をしていた防具商人から更なる依頼を受けたこととその内容を話した。報酬の内容だけは、嬉しい驚きをさせたかったので言わなかったが。ミミも、クエストの内容をイザヤールに知らせた。彼女も、嬉しいサプライズをさせたいと思ったので、報酬が何かだけは内緒にした。
「もしかして、私たち、それぞれライバル同士の依頼を引き受けてしまったみたいですね」
 そう呟いてミミは楽しそうに笑った。
「どうやらそのようだな」イザヤールも楽しげに笑う。そして僅かにいたずらっぽい顔で囁いた。「二人で協力してそれぞれの依頼をこなしたら、負担が少ないのではないか」
「え・・・でも、イザヤール様、お帰りになったばかりでお疲れですよね」ミミの顔もいたずらっぽくなり、囁いた。「では今夜はゆっくり休んで、明日一緒に参りましょう」
 二人は顔を見合わせて微笑み、ミミは装備したばかりの旅用のマントを脱ぎ捨てた。
 翌日、二人はまずピンクモーモンからピンク色のこうもりのはねを手に入れる方から始めることにした。扇子でくすぐられたり棍でつつかれたりして、ピンクモーモンは牙をむいて怒ったが、なかなかピンク色のこうもりのはねを落とすものは居なかった。
 それでも辛抱強く粘った結果、イザヤールの鎧に噛みついたもののノーダメージで凹んでうずくまったピンクモーモンが去っていった跡に、何かが残されていた。ミミは、「ピンク色のこうもりのはね」を手に入れた!
 次は、スターキメラのピンク色の羽集めだ。こちらは、危険の度合いは高いものの、スターキメラの羽のピンク色の部分を狙って散らす攻撃を続けて数をこなせばいいので、ある意味楽だった。
 サンディが数えるのも飽きたくらいの数のスターキメラと戦って、ついに必要な量のピンク色の羽を手に入れた!
 二人は互いに律儀に礼を言い合って、それぞれの依頼人に手に入れた物を渡しに行ったのだった。

 ミミがピンク色のこうもりのはねを依頼人の武器商人に持って行くと、彼はおおげさなほど喜んだ。
「ありがとう、ミミちゃん!おじさんとっても助かっちゃう、これで今年のハロウィンクイーンはうちの娘に間違いナシ!アイツの娘がなんだい!」
 依頼人は約束のスライムの形をあしらった杖と、オマケと言って「げんませき」をくれた!
 一方イザヤールも、依頼人の防具商人にスターキメラの羽を持って行って、天使のレオタードという珍しい防具を手に入れた!依頼人は非常に満足そうだった。
「かたじけない。これでワシの娘の可愛らしさ美しさが一段と引き立つ衣装ができる!あの成り上がりモノの娘など、足元にも及ぶまい!」
 ミミとイザヤールは、それぞれのお礼の品を持ち帰って、互いに驚いた。そして、意外な事実が判明した。
「え・・・イザヤール様がスライムステッキ欲しかったのって、私が欲しいって言ったから、プレゼントしてくれるつもりだったの?」
「お・・・おまえが天使のレオタードを欲しがったのは、着たら私が喜んでくれると思ったから・・・だと?」
「ごめんなさいイザヤール様・・・サンディが、絶対喜んでくれるってアドバイスしてくれたから」
「・・・。サンディー!!・・・まあ、否定はしないが・・・」
 こうして、ミミは新しいちょっと悩ましい装備品と可愛らしい杖を手に入れ、イザヤールの目を大いに保養させたのであった。
 余談だが、この年のセントシュタイン城下町ハロウィン仮装クイーンは、どちらの商人の娘でもなく、普段のドレス姿にパンプキンヘッドを合わせるという大胆極まりない格好をして楽しんでいたロクサーヌが選ばれ、審査員の判断力を巡って大いにもめたという。
「うふふ、でもね皆様」ロクサーヌはパンプキンヘッドの奥から美しい笑い声を響かせ言った。「私の靴、今日だけパンプキンカラーのハイヒールで、バックルにコウモリモチーフをあしらっておりましたのよ☆きっとそこが、優勝ポイントだったに違いないですわ☆」〈了〉

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