本編中を通した、リッカ目線の話。リッカは純粋にとってもいい子なイメージがあります。考えちゃうよりまず人を助けちゃうんだろうし、主人公のことをあまり詮索しなさそうだし。そういういい子だとなかなかお話にはしづらいのですが、彼女もきっと主人公に会ったことで寂しさが和らいだり、主人公の知らないところで心配してたけどそれを見せないようにしてたかな、とか妄想して、それを書いてみました。クリア後話もいずれ書きたいです。
ミミと初めて会った日のことは、一生忘れないと思う。ううん、忘れようがないと思う。本当にびっくりした。滝壺に人が、しかも私と同じくらいの女の子が落ちてきたんだから。
そのときすごい水しぶきの音がしたから、村中みんなが家から飛び出してきた。誰かが、空が落ちてきたかと思った、なんて言ったっけ。そしてみんなで急いで彼女を滝壺から引っ張り出した。見慣れない変わった服装から、村どころか近隣の人ではないって、すぐわかった。だから、どこに運び込むかでちょっともめた。
私は女の子を見つめた。ちょっと見た感じでは気絶してるだけで、大怪我はしてないみたいだけど、でも急がなきゃ死んじゃうかも。そう思ったら、声が出ていた。
「私の家に運んでください」私は、村長さんに言った。「介抱なら慣れてますし、空き部屋もありますから」
村長さんは、村長の務めとして、自分の家に運んだ方がいいだろうと言ったけど、私は頑張って結局言うとおりにしてもらった。おじいちゃんも、快く賛成してくれた。
女の子は、なかなか目を覚まさなかった。時折苦しそうな顔をするのが可哀想だった。うわごとみたいに誰かの名前も呼んだりしたけど、なんて言ってるのかよくわからなかった。
だから、彼女の長い睫毛が動いたときは、とっても嬉しかった。急いで呼びかけたら、目蓋が重たそうに開いて、濃くて澄んだ紫の瞳が私の顔を見つめて、不思議そうな顔をした。もともと綺麗な子だとは思ってたけど、こんな綺麗な瞳、見たことなくて、後になって驚いたけど。そのときは、目を覚ましたことの方に夢中になってて忘れてた。
目を覚ましたばかりでまだ朦朧としてるみたいで、彼女は痛々しいくらい混乱して、震えてた。大丈夫よ、無理しないで、私はそう言って彼女の背中をさするしかできなかった。彼女は、また眠る前に、やっと名前だけ教えてくれた。
ミミ。この村の、守護天使様の名前と同じ。
ミミは、とても優しくていい子だった。動けるようになると、まだ本調子じゃないのに、一生懸命お家のことを手伝ってくれたりして、しかもなかなか上手だった。
「ミミ、すごいね!お家でも、お母さんのお手伝いしてるの?」
私が何気なく尋ねると、ミミの顔が一瞬困ったような表情になって、呟いた。
「お母さん・・・居ないの。お父さんも」
悪いこと聞いちゃったんだ。私は後悔してうつむいた。すると、ミミは慌てて、わたわたしながら私の顔を覗き込んだ。
「違うの、大丈夫なの、私は・・・」
そのときミミは、何か別のことが言いたかったのかもしれない。でも、彼女がとっても優しい笑顔を浮かべて言ったことは、こうだった。
「私は・・・みんなにとっても優しく育ててもらったから、大丈夫なの」
もしかしてミミも、私と同じなのかな?・・・私もお父さんとお母さん亡くして、おじいちゃんと村のみんなに優しく育てられたもの。
あんまり自分のことを話さないミミについて、ようやくちょっとだけ他にわかったことは、ものすごく遠い国から来たらしいこと、何でこの村の滝に落ちることになったのかよくわからないらしいこと、それくらいだった。
ミミはいくつなの?とあるとき聞いたら、リッカくらいか、ちょっと上かな、と返ってきた。もしかして、生まれてすぐにお父さんお母さん居なくなっちゃって、ほんとの年齢もわからないのかな。それ以来私は、ミミのことをあれこれ聞くのはやめた。
ミミの素性、どうでもいいって言うと言い過ぎかもしれないけど、ミミは悪い人じゃない、って不思議なくらい信じられた。守護天使様と同じ名前だから?それだけじゃない、何だかずっと前から知ってたような・・・。
そして、ミミと一緒に喋ったり、ごはんやお菓子作ったり、お掃除や洗濯、そういういろんなことを一緒にするのが、とっても楽しかった。同じくらいの歳の子が家に居てくれる、それがとても楽しくて、嬉しかった。同じ年頃の友達か、お姉さんか妹が居てくれたら、こんな感じかも。そう思った。
おじいちゃんと二人の暮らしも楽しいけど、どこか心細い感じもあった。おじいちゃんまでいなくなっちゃったらどうしよう・・・って。
もしかしたらミミは、そんな私に、守護天使ミミ様が引き合わせてくれたのかもしれない。ニードが聞いたら笑いそうなことを思ったり。・・・ニード、小さい頃は素直で、けっこう優しかったのに、最近どうしちゃったんだろう。
寂しいな。私、これでいいのかな。そんな思いに、守護天使様が応えてくれたみたい・・・なんて。
そして、ミミは。お父さんが隠した宿王のトロフィーを見つけてくれて、それから私の運命は、思いがけない方へ動き始めた。
セントシュタインで始まった新しい生活。それは、幼なじみの思いがけない優しさまでも教えてくれた。そんな日々をくれたミミは、私にとっての守護天使様みたい。守護天使様が、エプロンひらひらさせて配膳してくれたり、立て札持って呼び込みしてくれるなんてあり得ないけど。
ミミは、冒険に出かけてはときどき帰ってきたけど、ベクセリアから戻ってきたときは・・・何だか少し様子が違った。いつもの優しい微笑みだったけど、目を伏せて、綺麗な瞳があまり見えなくて。
「いってくるね」
いつもの挨拶。だけど・・・気のせいか、ミミが寂しさを隠しているように見えた。ミミ、もうここに帰ってこないの?・・・まさか、そんなことないよ。もしミミ、故郷に帰っても、きっとまた来てくれるよ。
「気を付けて、いってらっしゃ~い!」
私はいつもの挨拶を返した。また帰ってきてねと願いを込めて。
私の心配、気のせいだったみたい。ミミはまた帰ってきて、呼び込みも続けてくれて、広い世界の話もしてくれた。今日は、海に行ってきたの。ウォルロの滝くらい大きな滝を見たよ。すごい彫刻を見たの。綺麗なお花がたくさんの町に着いたの。広い世界の話を、たくさん。
それからミミは、長い間留守にすることはあっても、必ず帰ってきてくれて。私はもう、ミミが帰ってこないという漠然とした不安を忘れていた。だけど。
またかなり長い間留守にした後、帰ってきたミミは・・・。隠しきれない悲しい顔をしていた。お父さんが死んだとき、私もきっとあんな顔をしていた、そんな表情だった。
「リッカ・・・いつもありがとう」
ごはんを食べた後、ミミはそう言って、出かけて行った。
「ミミ!」
私は思わず呼び止めた。どうして、今日は「いってくるね」じゃないの?そう聞きたいけど、聞けなかった。代わりに、私は言った。いつものように。
「気を付けて、いってらっしゃい」
ミミが見えなくなるまで見送ってから、私は守護天使様に祈った。祈るしかできなかった。天使様、どうかミミをお守りください。大切な友達ミミを、お守りください。私の、みんなのところに、無事に帰してください。
それから間もなく。星ふぶきが、訪れた。
ミミは、無事に帰ってきた。やっぱり悲しそうだったけど、私たちを見て、あの優しい微笑みで、言ってくれた。
「ただいま、みんな」
神様、ミミを無事に帰してくださって、ありがとうございます。・・・?この感謝の祈り、他の誰かに捧げる筈だった気もするけど、思い出せない。でも、それより、今は。
「ミミ!おかえりなさい!」
私は、とびきりの笑顔で、ミミを出迎えた。〈了〉
ミミと初めて会った日のことは、一生忘れないと思う。ううん、忘れようがないと思う。本当にびっくりした。滝壺に人が、しかも私と同じくらいの女の子が落ちてきたんだから。
そのときすごい水しぶきの音がしたから、村中みんなが家から飛び出してきた。誰かが、空が落ちてきたかと思った、なんて言ったっけ。そしてみんなで急いで彼女を滝壺から引っ張り出した。見慣れない変わった服装から、村どころか近隣の人ではないって、すぐわかった。だから、どこに運び込むかでちょっともめた。
私は女の子を見つめた。ちょっと見た感じでは気絶してるだけで、大怪我はしてないみたいだけど、でも急がなきゃ死んじゃうかも。そう思ったら、声が出ていた。
「私の家に運んでください」私は、村長さんに言った。「介抱なら慣れてますし、空き部屋もありますから」
村長さんは、村長の務めとして、自分の家に運んだ方がいいだろうと言ったけど、私は頑張って結局言うとおりにしてもらった。おじいちゃんも、快く賛成してくれた。
女の子は、なかなか目を覚まさなかった。時折苦しそうな顔をするのが可哀想だった。うわごとみたいに誰かの名前も呼んだりしたけど、なんて言ってるのかよくわからなかった。
だから、彼女の長い睫毛が動いたときは、とっても嬉しかった。急いで呼びかけたら、目蓋が重たそうに開いて、濃くて澄んだ紫の瞳が私の顔を見つめて、不思議そうな顔をした。もともと綺麗な子だとは思ってたけど、こんな綺麗な瞳、見たことなくて、後になって驚いたけど。そのときは、目を覚ましたことの方に夢中になってて忘れてた。
目を覚ましたばかりでまだ朦朧としてるみたいで、彼女は痛々しいくらい混乱して、震えてた。大丈夫よ、無理しないで、私はそう言って彼女の背中をさするしかできなかった。彼女は、また眠る前に、やっと名前だけ教えてくれた。
ミミ。この村の、守護天使様の名前と同じ。
ミミは、とても優しくていい子だった。動けるようになると、まだ本調子じゃないのに、一生懸命お家のことを手伝ってくれたりして、しかもなかなか上手だった。
「ミミ、すごいね!お家でも、お母さんのお手伝いしてるの?」
私が何気なく尋ねると、ミミの顔が一瞬困ったような表情になって、呟いた。
「お母さん・・・居ないの。お父さんも」
悪いこと聞いちゃったんだ。私は後悔してうつむいた。すると、ミミは慌てて、わたわたしながら私の顔を覗き込んだ。
「違うの、大丈夫なの、私は・・・」
そのときミミは、何か別のことが言いたかったのかもしれない。でも、彼女がとっても優しい笑顔を浮かべて言ったことは、こうだった。
「私は・・・みんなにとっても優しく育ててもらったから、大丈夫なの」
もしかしてミミも、私と同じなのかな?・・・私もお父さんとお母さん亡くして、おじいちゃんと村のみんなに優しく育てられたもの。
あんまり自分のことを話さないミミについて、ようやくちょっとだけ他にわかったことは、ものすごく遠い国から来たらしいこと、何でこの村の滝に落ちることになったのかよくわからないらしいこと、それくらいだった。
ミミはいくつなの?とあるとき聞いたら、リッカくらいか、ちょっと上かな、と返ってきた。もしかして、生まれてすぐにお父さんお母さん居なくなっちゃって、ほんとの年齢もわからないのかな。それ以来私は、ミミのことをあれこれ聞くのはやめた。
ミミの素性、どうでもいいって言うと言い過ぎかもしれないけど、ミミは悪い人じゃない、って不思議なくらい信じられた。守護天使様と同じ名前だから?それだけじゃない、何だかずっと前から知ってたような・・・。
そして、ミミと一緒に喋ったり、ごはんやお菓子作ったり、お掃除や洗濯、そういういろんなことを一緒にするのが、とっても楽しかった。同じくらいの歳の子が家に居てくれる、それがとても楽しくて、嬉しかった。同じ年頃の友達か、お姉さんか妹が居てくれたら、こんな感じかも。そう思った。
おじいちゃんと二人の暮らしも楽しいけど、どこか心細い感じもあった。おじいちゃんまでいなくなっちゃったらどうしよう・・・って。
もしかしたらミミは、そんな私に、守護天使ミミ様が引き合わせてくれたのかもしれない。ニードが聞いたら笑いそうなことを思ったり。・・・ニード、小さい頃は素直で、けっこう優しかったのに、最近どうしちゃったんだろう。
寂しいな。私、これでいいのかな。そんな思いに、守護天使様が応えてくれたみたい・・・なんて。
そして、ミミは。お父さんが隠した宿王のトロフィーを見つけてくれて、それから私の運命は、思いがけない方へ動き始めた。
セントシュタインで始まった新しい生活。それは、幼なじみの思いがけない優しさまでも教えてくれた。そんな日々をくれたミミは、私にとっての守護天使様みたい。守護天使様が、エプロンひらひらさせて配膳してくれたり、立て札持って呼び込みしてくれるなんてあり得ないけど。
ミミは、冒険に出かけてはときどき帰ってきたけど、ベクセリアから戻ってきたときは・・・何だか少し様子が違った。いつもの優しい微笑みだったけど、目を伏せて、綺麗な瞳があまり見えなくて。
「いってくるね」
いつもの挨拶。だけど・・・気のせいか、ミミが寂しさを隠しているように見えた。ミミ、もうここに帰ってこないの?・・・まさか、そんなことないよ。もしミミ、故郷に帰っても、きっとまた来てくれるよ。
「気を付けて、いってらっしゃ~い!」
私はいつもの挨拶を返した。また帰ってきてねと願いを込めて。
私の心配、気のせいだったみたい。ミミはまた帰ってきて、呼び込みも続けてくれて、広い世界の話もしてくれた。今日は、海に行ってきたの。ウォルロの滝くらい大きな滝を見たよ。すごい彫刻を見たの。綺麗なお花がたくさんの町に着いたの。広い世界の話を、たくさん。
それからミミは、長い間留守にすることはあっても、必ず帰ってきてくれて。私はもう、ミミが帰ってこないという漠然とした不安を忘れていた。だけど。
またかなり長い間留守にした後、帰ってきたミミは・・・。隠しきれない悲しい顔をしていた。お父さんが死んだとき、私もきっとあんな顔をしていた、そんな表情だった。
「リッカ・・・いつもありがとう」
ごはんを食べた後、ミミはそう言って、出かけて行った。
「ミミ!」
私は思わず呼び止めた。どうして、今日は「いってくるね」じゃないの?そう聞きたいけど、聞けなかった。代わりに、私は言った。いつものように。
「気を付けて、いってらっしゃい」
ミミが見えなくなるまで見送ってから、私は守護天使様に祈った。祈るしかできなかった。天使様、どうかミミをお守りください。大切な友達ミミを、お守りください。私の、みんなのところに、無事に帰してください。
それから間もなく。星ふぶきが、訪れた。
ミミは、無事に帰ってきた。やっぱり悲しそうだったけど、私たちを見て、あの優しい微笑みで、言ってくれた。
「ただいま、みんな」
神様、ミミを無事に帰してくださって、ありがとうございます。・・・?この感謝の祈り、他の誰かに捧げる筈だった気もするけど、思い出せない。でも、それより、今は。
「ミミ!おかえりなさい!」
私は、とびきりの笑顔で、ミミを出迎えた。〈了〉
リッカってほんっとにいい子ですよね~(^v^)
主人公のことについて深くつっこまず、それでもってちゃんと主人公を後押しするっていう…。ようりょうもいいんだろうなぁ(^_^)
ニードもいい女を狙ってますなぁ…(*´∇`*)
って!?なにを!?
ちなみにうちのリッカは公式設定+好奇心旺盛(主に女主人公とイザヤール師匠の進展具合に)のイメージで書いています
そしてどうでもいい話ですが、私の画力や表現力の所為で凄い幼く見えますが
うちの女主人公、見た目年齢は18歳で現在は20歳の設定で書いています
ちなみにイザヤール師匠は見た目年齢24歳で現在26歳の設定
こんにちは☆あくまでイメージなんですが、物語で生き方かっこいいキャラって、人の詮索あまりしない印象あるんです☆そんな訳で、リッカもそうだといいなとこんな感じになりました♪
リッカはほんとにいい女ですよね☆ニードが狙うのも無理もないですね(笑)
こんにちは☆そちらのリッカ、公式プラス女主さん恋路に好奇心旺盛って、元気印可愛い女の子って感じでいいですね☆物語展開もおいしくなりますね~(笑)
リッカは、元気な働き者だけど、身内を亡くしていたり歳の割に苦労が多そうなので、優しさに敏感かな、と思いまして当サイトではこうなりました☆
そちらの女主さんにイザヤール様、いいお年頃ですね~♪
うちは明記してませんが、たぶん皆様のイメージよりイザヤール様若いですw公式絵見てしまいますとね・・・w