当初は、もしもイザヤール様がガナサダイを倒してエルギオス様を助けに行っていたらどうなってたのか?とか考えていたネタなんかが、いろいろ融合してこの話となりました。イザヤール様は結局、エルギオス様と再会できないまま現在に至る訳で、当サイトでは絶望と憎悪の魔宮で戦うことで気持ちの整理はしたけど、そういえばまだちゃんとお別れはしてないなと。泣くイザヤール様が無しの方はご注意を!
ガナン帝国城の更に奥深く。閉ざされた牢獄の最深部に、ミミとイザヤールは居た。
堕天使エルギオスは救われた。閉ざされし牢獄に渦巻く彼の憎悪の念も、やがて消え去ると、ガナン帝国城の神父の霊は言った。だが、それは遠き未来のことであるとも。
その日まで、この神父さんは、迷い込むかもしれない旅人たちの為に、この牢獄の入口を守り続けるつもりなんだ。ミミはそう感じた。彼は何も言わないが、生きている囚われの者が誰も居なくなった今でも、それでもここに居続けるというのは、そういうことなのだろう。
「竜の涙」も見つけてアルマトラに返した今、もうここを訪れることはないとミミは思っていた。だが、そんな神父の姿を見て、エルギオスの憎悪の念の浄化を少しでも早めたいと思った。
それで時折ここを訪れて、祈りを捧げたり、邪悪な念より生まれた魔物を退治したりすることにした。気休め程度にしかならないかもしれない。それでも、僅かずつでもエルギオスの負の念を減らしたかった。
イザヤールは、そんな彼女に、いつもの冒険と同じように付き合ってくれた。心の中では、色々な思いが渦巻いているであろうに。彼はいつものように油断なく戦い、足場の悪い場所等ではミミに手を差しのべたり、場合によっては抱き上げてくれたりした。
それでも、彼が意識していつものようにふるまっていると、ミミは漠然と感じていた。それも、彼女の為にだ。それがわかっているだけに、余計に辛かった。
そんな彼の心の奥底に踏み込めないし、踏み込んではいけないと思ってしまう。それがもどかしく、切ない。
ミミは息を吐いて頭を振った。今日は祈りに来たのだから、と懸命に気持ちを切り替えた。イザヤールと二人、最深部で心を込めて祈り、ルディアノ城でしているような浄化の作業もした。大火に水を一滴垂らしているようなものだろうか。それでも。
リレミトで城の外に出ると、ミミはそっとイザヤールの手を握りしめた。
人骨が散らばる檻を、乱暴に開け放つ。ここにも、師は居ない。暗く長い廊下を走り、階段を駆け降り、奥へ奥へと進む。頼りなく揺らめく壁灯だけが頼りだ。水路から滲み出した水は、ひび割れた床を濡らし、瘴気を増やしている。
どれくらい階段を降りたのか。ここは、地下六階の筈だと、逸る気持ちを抑え込む。これまでにも増して長い、おおよそ一本道の廊下を、ひたすら駆けた。飛んだ方が早いかもしれないということさえ、忘れていた。
エルギオス様。もうすぐ、もうすぐ貴方を。・・・貴方を助け出そうと決意してからの時間は、三百年の中で一番長かった。でも、ようやくそれも終わります。
遂に、行き止まりにたどり着いた。閉ざされた牢獄の、最深部。そこに師は、鎖の戒めを受け、うずくまっていた。あれほど美しかった髪も翼も、顔も。見るかげもなく汚れ、やつれ、荒んでいた。だが、師に、エルギオス様に間違いない。
駆け寄って鎖を解こうとした時だった。部屋に、虚ろな、しかしそれだけではない声が響いた。
「イザヤールよ・・・。おまえは、人間は守る価値はあると思うか?」
エルギオス様!何を言っておられるのです!今はそんなことより、この鎖を・・・
「答えろイザヤール!おまえはどう思っているのだ!」
語気が荒げられた。その問いに構わず彼の戒めを解くと、汚れた長い髪の隙間から、憎しみに満ちた瞳が覗き、激しい動揺が走った。
「答えろ!人間は守る価値などあるのか?」
長い囚われの日々のせいだ。構わず連れ帰ろうと近寄ると、師の声が鞭のように耳を打った。
「答えろ!」
エルギオス様。人間を信じたいとおっしゃったのは、貴方ではありませんか。
「・・・イザヤール、おまえもか。おまえも私を裏切り、神と、人間の味方をするのだな。・・・ならば」
体が動かない!天使の理を?!エルギオス様・・・!
ここで、イザヤールは跳ね起きた。しばらく混乱し、状況が飲み込めなかった。目が闇に慣れてきて、もう一つのベッドに寝ているミミの姿のおぼろげな輪郭と、見馴れた壁や調度品を見て、ようやく夢を見ていたのだと覚った。
身体中を冷や汗が流れ、息は荒くなっていた。額の汗を手の甲で拭い、そのまま目を覆い、呼吸を調えた。
閉ざされた牢獄に残った負の残留思念の影響が、こんな夢を見させたのだろう。イザヤールは口の中で呟き、気持ちも落ち着けようとした。
実際のところ、私は。人骨が散らばる入口付近の牢獄にさえも、たどり着けなかったのだ。彼は自嘲気味に思った。そこにも至らずに、ガナサダイの玉座の間で、力尽きた。
ここで彼は、抱きしめられたのを感じて、目を覆っていた腕をどけた。
「・・・ミミ」
すぐ傍に、ミミの心配そうな、切なそうな顔があった。泣くのを堪えるような顔をしていた。
「・・・すまない、起こしてしまったか。少々悪夢を見ただけだ」
ミミは頷いた。だが、彼の体に回した腕は、ほどかなかった。むしろ更に強く、優しく抱きしめてきた。
「・・・おまえは、初めて閉ざされた牢獄に行ったとき、おそらくあんな思いをしたのだな・・・。夢を見て初めてわかった・・・。辛かっただろう」
そう言われて彼女は首を横に振った。そして思った。もしもガナサダイを倒しエルギオス様を救いに行ったのがイザヤール様だったら、それこそどんなに辛い思いをしただろう。長い間探し求めた師匠が、神に叛き、堕天するところを見なければならなかったとしたら。
「ミミ。・・・明日、もう一度、閉ざされた牢獄に行ってみたい。構わないか?」
彼女が頷くと、イザヤールは自らも彼女に腕を回し、固く抱きしめた。彼女の首筋に顔を埋め、彼は半ば独り言のように呟いた。
「・・・夢の中で、エルギオス様を助けに、閉ざされた牢獄を走っていた」
ミミは頷いた。
「・・・人間は守る価値があるかと聞かれた」
そう言われて彼女はまた頷き、ほとんど声を出さないで呟いた。
「私も・・・聞かれました・・・そのようなことを」
「そうか。・・・今の私だったら、守ると答えただろうが・・・あのときの私だったら・・・どうしただろうな・・・まあ考えても仕方ないことだ」
それにはミミは答えず、ただイザヤールの額に、頬に、優しく唇を付けた。そして顔を上げた彼の唇にも、想いの全てを込めてキスを落とした。
翌日、二人は前日と同じように閉ざされた牢獄を奥へと進んでいった。特に障害もなく最深部に着くと、イザヤールは部屋の中央にたたずんだ。ミミは黙ってその背中を見つめていた。
あのときの私だったら。どうしたのだろう。堕天しようとする師匠エルギオス様を。
絶望と憎悪の魔宮でも思ったことだから。それは迷わずに言える。私も止めようとしただろう。ミミと同じように。ミミが、女神の果実を奪おうとした私を止めたように。
人間の為、神の意思に叛くからという理由以前に。エルギオス様を、ようやく会えた師を、堕天させたくない、その思いで。・・・だが、天使であったあのときは。ミミのように、昨夜の夢のように、天使の理を使われ、為す術もなく、見送るしかできなかっただろう・・・。
三百年もの長い間の憎悪は、エルギオス様の弟子への信頼すら奪っていたかもしれない・・・。ここにずっと閉じ込められていたら、そうなるのも当然だ。そして結局私は、その苦い再会すらできなかった。
しかしエルギオス様は。ミミのおかげで、私の知っている師匠に戻ったエルギオス様は。そんな不甲斐ない弟子の私を、ご自分の星としての永遠に近い命を引き換えにして、救ってくれて・・・夜空から消えてしまった・・・。
感謝も、長い間救い出せなかった謝罪も、別れも告げられないままに。
ミミは、目を見開いてイザヤールの背中を見つめた。大好きな背中が、大きく逞しい背中が、僅かに震えている。そして、彼の足元にぽたぽたと滴が落ちていた。彼女は自らも瞳から涙を溢れさせ、嗚咽を出さないように両手で口を覆った。
エルギオスと再会できないまま命を落とし、そして再び得た命はそのエルギオスによって与えられたものだった。だから、別れも喪失感もあやふやなままだったイザヤールは、今こうして泣くことで師との別れをしているのだと、ミミにはわかった。・・・そして、泣くことができるほど心が癒えてきたのだと。自分も、そうだったから。それでも、イザヤールの泣く後ろ姿が痛々しくて、彼女の涙も止まらなかった。
しばらくして、イザヤールは静かに指で涙を払い、微笑んで振り返り、呟いた。
「ありがとう、ミミ。絶望と憎悪の魔宮のときもそうだったが・・・今回はもっとちゃんと、エルギオス様とお別れができた気がする」
ミミが頷くと、彼は歩み寄ってきて、彼女の涙を拭った。
「・・・すまないな、おまえまでこんなに泣かせてしまって」
彼女は首を振り、イザヤールの胸に頬を寄せ、優しく抱きしめた。すぐに彼の腕も回される。愛しい人の悲しみを消すことはできなくても、こうして寄り添うことはできる。悲しみを、共有することはできる。
「ありがとう、ミミ・・・」
彼はもう一度呟き、二人はしばらくそのまま動かなかった。彼らは気付かなかったが、僅かに、本当に僅かに、辺りを覆う禍々しさに、かすかに優しい光が射した。
悲しみが僅かずつ癒されていくように、この牢獄に巣食う憎悪も、きっといつか、消え去るだろう。年月はかかっても、必ず。〈了〉
ガナン帝国城の更に奥深く。閉ざされた牢獄の最深部に、ミミとイザヤールは居た。
堕天使エルギオスは救われた。閉ざされし牢獄に渦巻く彼の憎悪の念も、やがて消え去ると、ガナン帝国城の神父の霊は言った。だが、それは遠き未来のことであるとも。
その日まで、この神父さんは、迷い込むかもしれない旅人たちの為に、この牢獄の入口を守り続けるつもりなんだ。ミミはそう感じた。彼は何も言わないが、生きている囚われの者が誰も居なくなった今でも、それでもここに居続けるというのは、そういうことなのだろう。
「竜の涙」も見つけてアルマトラに返した今、もうここを訪れることはないとミミは思っていた。だが、そんな神父の姿を見て、エルギオスの憎悪の念の浄化を少しでも早めたいと思った。
それで時折ここを訪れて、祈りを捧げたり、邪悪な念より生まれた魔物を退治したりすることにした。気休め程度にしかならないかもしれない。それでも、僅かずつでもエルギオスの負の念を減らしたかった。
イザヤールは、そんな彼女に、いつもの冒険と同じように付き合ってくれた。心の中では、色々な思いが渦巻いているであろうに。彼はいつものように油断なく戦い、足場の悪い場所等ではミミに手を差しのべたり、場合によっては抱き上げてくれたりした。
それでも、彼が意識していつものようにふるまっていると、ミミは漠然と感じていた。それも、彼女の為にだ。それがわかっているだけに、余計に辛かった。
そんな彼の心の奥底に踏み込めないし、踏み込んではいけないと思ってしまう。それがもどかしく、切ない。
ミミは息を吐いて頭を振った。今日は祈りに来たのだから、と懸命に気持ちを切り替えた。イザヤールと二人、最深部で心を込めて祈り、ルディアノ城でしているような浄化の作業もした。大火に水を一滴垂らしているようなものだろうか。それでも。
リレミトで城の外に出ると、ミミはそっとイザヤールの手を握りしめた。
人骨が散らばる檻を、乱暴に開け放つ。ここにも、師は居ない。暗く長い廊下を走り、階段を駆け降り、奥へ奥へと進む。頼りなく揺らめく壁灯だけが頼りだ。水路から滲み出した水は、ひび割れた床を濡らし、瘴気を増やしている。
どれくらい階段を降りたのか。ここは、地下六階の筈だと、逸る気持ちを抑え込む。これまでにも増して長い、おおよそ一本道の廊下を、ひたすら駆けた。飛んだ方が早いかもしれないということさえ、忘れていた。
エルギオス様。もうすぐ、もうすぐ貴方を。・・・貴方を助け出そうと決意してからの時間は、三百年の中で一番長かった。でも、ようやくそれも終わります。
遂に、行き止まりにたどり着いた。閉ざされた牢獄の、最深部。そこに師は、鎖の戒めを受け、うずくまっていた。あれほど美しかった髪も翼も、顔も。見るかげもなく汚れ、やつれ、荒んでいた。だが、師に、エルギオス様に間違いない。
駆け寄って鎖を解こうとした時だった。部屋に、虚ろな、しかしそれだけではない声が響いた。
「イザヤールよ・・・。おまえは、人間は守る価値はあると思うか?」
エルギオス様!何を言っておられるのです!今はそんなことより、この鎖を・・・
「答えろイザヤール!おまえはどう思っているのだ!」
語気が荒げられた。その問いに構わず彼の戒めを解くと、汚れた長い髪の隙間から、憎しみに満ちた瞳が覗き、激しい動揺が走った。
「答えろ!人間は守る価値などあるのか?」
長い囚われの日々のせいだ。構わず連れ帰ろうと近寄ると、師の声が鞭のように耳を打った。
「答えろ!」
エルギオス様。人間を信じたいとおっしゃったのは、貴方ではありませんか。
「・・・イザヤール、おまえもか。おまえも私を裏切り、神と、人間の味方をするのだな。・・・ならば」
体が動かない!天使の理を?!エルギオス様・・・!
ここで、イザヤールは跳ね起きた。しばらく混乱し、状況が飲み込めなかった。目が闇に慣れてきて、もう一つのベッドに寝ているミミの姿のおぼろげな輪郭と、見馴れた壁や調度品を見て、ようやく夢を見ていたのだと覚った。
身体中を冷や汗が流れ、息は荒くなっていた。額の汗を手の甲で拭い、そのまま目を覆い、呼吸を調えた。
閉ざされた牢獄に残った負の残留思念の影響が、こんな夢を見させたのだろう。イザヤールは口の中で呟き、気持ちも落ち着けようとした。
実際のところ、私は。人骨が散らばる入口付近の牢獄にさえも、たどり着けなかったのだ。彼は自嘲気味に思った。そこにも至らずに、ガナサダイの玉座の間で、力尽きた。
ここで彼は、抱きしめられたのを感じて、目を覆っていた腕をどけた。
「・・・ミミ」
すぐ傍に、ミミの心配そうな、切なそうな顔があった。泣くのを堪えるような顔をしていた。
「・・・すまない、起こしてしまったか。少々悪夢を見ただけだ」
ミミは頷いた。だが、彼の体に回した腕は、ほどかなかった。むしろ更に強く、優しく抱きしめてきた。
「・・・おまえは、初めて閉ざされた牢獄に行ったとき、おそらくあんな思いをしたのだな・・・。夢を見て初めてわかった・・・。辛かっただろう」
そう言われて彼女は首を横に振った。そして思った。もしもガナサダイを倒しエルギオス様を救いに行ったのがイザヤール様だったら、それこそどんなに辛い思いをしただろう。長い間探し求めた師匠が、神に叛き、堕天するところを見なければならなかったとしたら。
「ミミ。・・・明日、もう一度、閉ざされた牢獄に行ってみたい。構わないか?」
彼女が頷くと、イザヤールは自らも彼女に腕を回し、固く抱きしめた。彼女の首筋に顔を埋め、彼は半ば独り言のように呟いた。
「・・・夢の中で、エルギオス様を助けに、閉ざされた牢獄を走っていた」
ミミは頷いた。
「・・・人間は守る価値があるかと聞かれた」
そう言われて彼女はまた頷き、ほとんど声を出さないで呟いた。
「私も・・・聞かれました・・・そのようなことを」
「そうか。・・・今の私だったら、守ると答えただろうが・・・あのときの私だったら・・・どうしただろうな・・・まあ考えても仕方ないことだ」
それにはミミは答えず、ただイザヤールの額に、頬に、優しく唇を付けた。そして顔を上げた彼の唇にも、想いの全てを込めてキスを落とした。
翌日、二人は前日と同じように閉ざされた牢獄を奥へと進んでいった。特に障害もなく最深部に着くと、イザヤールは部屋の中央にたたずんだ。ミミは黙ってその背中を見つめていた。
あのときの私だったら。どうしたのだろう。堕天しようとする師匠エルギオス様を。
絶望と憎悪の魔宮でも思ったことだから。それは迷わずに言える。私も止めようとしただろう。ミミと同じように。ミミが、女神の果実を奪おうとした私を止めたように。
人間の為、神の意思に叛くからという理由以前に。エルギオス様を、ようやく会えた師を、堕天させたくない、その思いで。・・・だが、天使であったあのときは。ミミのように、昨夜の夢のように、天使の理を使われ、為す術もなく、見送るしかできなかっただろう・・・。
三百年もの長い間の憎悪は、エルギオス様の弟子への信頼すら奪っていたかもしれない・・・。ここにずっと閉じ込められていたら、そうなるのも当然だ。そして結局私は、その苦い再会すらできなかった。
しかしエルギオス様は。ミミのおかげで、私の知っている師匠に戻ったエルギオス様は。そんな不甲斐ない弟子の私を、ご自分の星としての永遠に近い命を引き換えにして、救ってくれて・・・夜空から消えてしまった・・・。
感謝も、長い間救い出せなかった謝罪も、別れも告げられないままに。
ミミは、目を見開いてイザヤールの背中を見つめた。大好きな背中が、大きく逞しい背中が、僅かに震えている。そして、彼の足元にぽたぽたと滴が落ちていた。彼女は自らも瞳から涙を溢れさせ、嗚咽を出さないように両手で口を覆った。
エルギオスと再会できないまま命を落とし、そして再び得た命はそのエルギオスによって与えられたものだった。だから、別れも喪失感もあやふやなままだったイザヤールは、今こうして泣くことで師との別れをしているのだと、ミミにはわかった。・・・そして、泣くことができるほど心が癒えてきたのだと。自分も、そうだったから。それでも、イザヤールの泣く後ろ姿が痛々しくて、彼女の涙も止まらなかった。
しばらくして、イザヤールは静かに指で涙を払い、微笑んで振り返り、呟いた。
「ありがとう、ミミ。絶望と憎悪の魔宮のときもそうだったが・・・今回はもっとちゃんと、エルギオス様とお別れができた気がする」
ミミが頷くと、彼は歩み寄ってきて、彼女の涙を拭った。
「・・・すまないな、おまえまでこんなに泣かせてしまって」
彼女は首を振り、イザヤールの胸に頬を寄せ、優しく抱きしめた。すぐに彼の腕も回される。愛しい人の悲しみを消すことはできなくても、こうして寄り添うことはできる。悲しみを、共有することはできる。
「ありがとう、ミミ・・・」
彼はもう一度呟き、二人はしばらくそのまま動かなかった。彼らは気付かなかったが、僅かに、本当に僅かに、辺りを覆う禍々しさに、かすかに優しい光が射した。
悲しみが僅かずつ癒されていくように、この牢獄に巣食う憎悪も、きっといつか、消え去るだろう。年月はかかっても、必ず。〈了〉
こんばんは☆ご安心を、一通目コメント削除させて頂きましたが、せっかくの可愛い顔文字タイトルが(涙)こちらこそいつもすみません。
天使の理、きっと上級天使が善なる者前提の力だったのでしょうが・・・使い方間違うとえらいこっちゃですよね・・・。
当サイトバカップル、支え合ってると思って頂けて嬉しいです♪イザ主に限らず、互いに与えられるカップルってステキですよね☆
わあ~、イザヤール様泣かせたことで三人目の乙女まで泣かせてしまったー!あたふたしつつ頑張って書いてよかったうっうっ。
DQ9映画ですか~。確かに壮大な物語になりそうですよね☆主人公女の子だと、やはりピンク髪のあの姿になるんでしょうね☆
こんばんは☆実は当初イザヤール様を慟哭させようか悩んでおりましたが、やはりイザヤール様なら声を堪えるかなと。
あわわ、鈴山様に続き乙女二人目泣かせてしもうた・・・!(焦)
いえいえ、ちい様のエルギオス様とお話できたパターンも、あたたかくて、イザヤール様の救いになって、とてもステキだと思います!
こんばんは☆おおう、貴重な休憩時間に読んでくださってありがとうございます♪
ええ話になってましたかよかったー☆イザヤール様泣かしちゃって大丈夫だったか、ドキドキしてたのでございますよ///
うぎゃー(;□;)!!
またやっちったぁー(泣) 顔文字事件… また消しといて下さい(泣)すみません。
はじめドキドキしながら読んでました(-_-)天使の理ってほんっとに酷いですよね…(ToT)
天の箱舟の中や閉ざされた牢獄のところで天使の理を使われたときはショックでした…(-_-;
はぁ~(*^^*) やっぱりミミちゃんとイザヤール様は支え合っているんだなぁ…と(照)
ひゃー(;□;)イザヤール様が涙を…
…(;_;)
感動話です…(泣)
それにしても本当にドラクエ9映画にならないかな~って思ってたり。もちろん主人公は女の子で(o^-^o)
(T^T) グスッ
うちのイザヤール師匠はセレシア様によってエルギオス様に会ってちゃんとお話出来たのですが
もうちょっとシリアス系にしてもよかったかもと若干後悔しています・・・orz