セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

ものすご〜く効く風邪ぐすり

2017年09月23日 00時32分22秒 | クエスト184以降
もうちょいで金曜日更新できたのに惜しい〜(笑)の追加クエストもどき。季節外れっぽさ甚だしい内容ですが、ネタ自体は3DS版DQ11の時渡りの迷宮のサンタローズイベントをやってて、「ロクサーヌさん、相変わらずしっかりしているな〜」と思ったことからできた話なんですが、今回の内容はそのイベントの影で9世界で起きていた話なのか、それとも全く関係ない話なのかはご想像にお任せしちゃいます。くしゃみの精やばくだん岩の粉や特別な命の石はもちろん捏造です念のため。

 ある日のこと、ミミはロクサーヌにとある薬の材料を集めてくれるよう頼まれた。
「あるお客様が、とってもよく効くすごい風邪薬をご所望されていますの」ロクサーヌは説明した。「材料の一つである『せかいじゅのしずく』はそのお客様にお願いしてあるのですけど、実は呪いのような強烈な風邪には、他にもたくさんの材料が必要ですわ。ミミ様、お客様がせかいじゅのしずくを持っていらっしゃるまでに、他の材料集めにご協力頂けません?」
「もちろん!」ミミは力強く頷いた。呪いのように強烈な風邪と聞いては、放ってはおけない。「必要な材料を教えて、ロクサーヌさん」
「ありがとうございますさすがミミ様ですわ!ではさっそく・・・」ロクサーヌは材料のメモ一覧を読み上げた。「大概の病気を一掃できる『超ばんのうぐすり』、毒素を排出させる『特どくけしそう』、喉によく効く『さえずりのみつ』、寒気を追い払う『きつけそう』、そしてくしゃみの呪いを解く効果のある『くしゃみの精祓いの粉末』を集めてきてくださいませ☆」
「え?最後のは何?もう一回言って・・・」
 お馴染みのアイテムばかりだったが、最後のだけは全く聞いたことがなかったので、ミミは戸惑った。ロクサーヌがあまりにもさらりと言ったので、聞き間違いかと思ったくらいだ。
「あら、これは失礼しました。ある地域では、くしゃみが出るのは『くしゃみの精』の仕業と考えられておりまして、その所業を封じるおまじないがありますの。そのおまじないに使う粉末が、くしゃみを止めるのによく効きますのよ☆」
「へえ、そうなんだ」
 ミミは素直に感心し、ロクサーヌがその粉末が取れる場所を教えてくれるのを待った。
「その粉末は、ばくだん岩が持っていますの☆というか、ばくだん岩を叩いた際に出る粉末ですわ」
「え?!何でばくだん岩の破片がくしゃみに効くの?」
 今度こそ聞き間違いかとミミは戸惑い尋ねると、ロクサーヌは相変わらずの極上笑顔で答えた。
「ばくだん岩がメガンテを唱えようとする直前は、誰もが必死で、少しでも刺激を与えないようくしゃみすら堪えますでしょう?そこから、くしゃみ抑えのおまじないに効くと言われるようになりましたの☆実際、よく効くそうですのよ〜」
 それはメガンテが怖くてくしゃみも出せないだけじゃ・・・とか、そんなおまじない的な効果のものも混ぜて大丈夫かなあ・・・とか、いろいろ心配になったミミだが、珍しいアイテム販売のスペシャリストロクサーヌさんが必要と言うのなら間違いないよねと信じることにした。ミミはクエスト「ものすご〜く効く風邪ぐすり」を引き受けた!

 錬金で超ばんのうぐすりとさえずりのみつと特どくけしそうを作り、道具袋からきつけそうを取り出すことで、頼まれた物のうち三つはすぐに揃った。あとはくしゃみの精祓いの粉末、すなわちばくだん岩の粉末だけである。ミミはもはやばくだん岩を一撃で倒せる強さだったのでメガンテを受ける危険はほとんど無かったが、それでもばくだん岩というモンスターは、出会うと心臓に悪いモンスターであることに変わりはないのだった。
「ミミ様だけ危険な目に遭わせるわけにはいきませんわ!私もお供させて頂きます」
 ロクサーヌはきっぱりと言って、服装はいつものロクサーヌのドレスなのだが、武器はハンマー「大陸くだき」を取り出し、気合い満々でカウンターから出てきた。
 そこへ、タイミング良くというか悪くというべきか、出かけていたイザヤールが帰ってきた。
「ただいま、ミミ、今日も質のいい特別な『命の石』が取れて・・・おや、ロクサーヌと出かけるのか?」
 そこでミミが引き受けたクエストのことを話し、これからばくだん岩狩りに行くことを告げると、自他共に認めるミミ限定で過保護気味なところがあるイザヤールは、慌てて今取ってきたばかりの特別な命の石を幾つも取り出した。
 通常の命の石は、錬金の素材でそれ単独の効果は特に無いが、古代の特別な力を残している命の石は、持っている者が即死の呪文や攻撃を受けると、持ち主の身代わりになって砕け散るという効果があるのだ。ミミもイザヤールも、その特別な命の石をアクセサリーにして互いに贈り合っており、壊れる度にせっせと新しい物を作っていた。
 今日もイザヤールは、ミミに似合いそうなアクセサリーにしてやろうとその特別な命の石を取ってきたのだが、今はアクセサリーにしている時間など無いとばかりにミミとロクサーヌに命の石を幾つも渡し、自らも幾つか持って言った。
「これくらい持っておけば、ばくだん岩の大群が一斉にメガンテを唱えても、即死は免れるだろう。さあ、出かけるぞ」
「イザヤール様も一緒に行ってくれるの?」
 ミミが潤んだ瞳で見上げると、イザヤールは頷いた。
「当たり前だろう。おまえだけを、たとえばくだん岩程度とはいえ、危険な場所に行かせるものか」
「イザヤール様・・・」
 花かハートがほわわわんと飛び散りそうな空気になってきたところで、ロクサーヌが極上スマイルのまま口を挟んだ。
「あの〜、お邪魔して申し訳ございませんが、私も同行させて頂きますけれど・・・」
 我に返った二人は慌てて離れ、ミミは赤くなり、イザヤールは気まずそうな表情になった。

 こうしてミミとイザヤール、ロクサーヌの三人で出かけることになった。サンディもついてくるには来たが、ばくだん岩とたくさん戦う必要があるかもしれないと聞いて、明らかにテンションが下がっていた。
「うえ〜、マジで〜?ばくだん岩狩りなんて、超あり得ないんですケド〜。アタシ、ばくだん岩がメガンテ唱え始めたら、マッハで逃げるからね!」
「そうか、では君は、身代わりになってくれる命の石は必要ないのだな?」
「うっ・・・。イジワル言わないで、念のためちょうだいよ〜、イザヤールさん〜!」
 ばくだん岩は、カルバドの北、カズチャ村へ至る地に数多く出没する。ミミたち三人は、揃ってハンマーを装備した。
「剣でスパッと斬ってしまっては、粉があまり出ませんし、そもそも、生きたばくだん岩から落ちた粉でないと、効果が無いと言われておりますの。だから、『ばくだん石』などを磨り潰した粉末ではダメなのですわ」
「そうなんだ・・・やっぱり難易度が高いクエストなのね・・・」ミミが呟く。
 手筈としては、地面に布を敷いてそこにばくだん岩を誘き寄せ、ハンマーで叩き、粉が落ちたところで布の上から退かせる、を辛抱強く繰り返す、それだけだった。それがたいへんに難しいのではあったが。
 そもそも、ばくだん岩を布の上に誘き寄せるのが難しそうだったし、落ちた僅かな粉も風であっという間に吹き散らされる可能性は充分ある。そもそも、ハンマーで叩いた後、布から出てもらうなどという悠長なことをしていたら、命の石が幾つ有っても足りないかもしれない。
 そこはチームプレーで補うことにして、皆でばくだん岩を叩いた後、そのときばくだん岩の前に居るものが囮になって逃げるふりをしてばくだん岩を敷いた布から退かし、その隙に残った者が急いで布を粉を落とさないよう回収する、ということに手筈が決まった。ばくだん岩が一回叩くごとにどれくらい粉を落とすかわからないので、それを何回繰り返せば目的の分量が得られるのかは、ロクサーヌもわからないらしい。
 カズチャ村に至る草地を歩いていると、さっそく三体のばくだん岩がごろごろしているのが見えた。ロクサーヌは素早く大判の防水布(普段は主にキャンプ等に使っている)を取り出し、簡単に飛ばないよう地面に鋲で留めた。
 わざとばくだん岩の視界に入るように三人は前に出たが、ばくだん岩は寄ってくるどころかその場に固まり、ぶるぶると震えだした。ミミたちのレベルが高すぎるのだ。
「そっか・・・。レベルのこと、忘れてたの・・・」ミミはおろおろしながら呟いた。
「どうしましょう、このままでは、布の上まで転がってきてくれませんわ」
 ロクサーヌも珍しく笑顔が消えて、憂い顔で眉をひそめる。
「担いで布の上に置くか?」実際ばくだん岩くらい余裕で担げるであろうイザヤールが言う。
「そんなことしたら、びっくりしてそれこそメガンテ唱えちゃうかも・・・」
 三人はしばらくう〜んと考え込んだが、しばらくしてミミが何かを思いついたらしく言った。
「ダメ元で、平和的手段を試してみるね」
 ミミは震えているばくだん岩たちの前にそっと歩み寄り、言った。
「ねえ、ばくだん岩さん、背中、かゆくない?」
 言われた言葉が意外すぎたのか、ばくだん岩たちは震えるのをやめて、かゆいかもしれないと素直に認めた。
「よかったら、掻いてあげましょうか?」
 そう言ってミミが装備をハンマーからてつのツメに変えると、ばくだん岩たちは意外な展開についていけてない為か、素直に背中?をミミに向けた。ミミはばくだん岩に加減を聞きながらてつのツメでばくだん岩の背中(というか後頭部)を掻き、掻いたときに落ちる粉をさりげなくハンカチに集めた。
 ばくだん岩たちがすっきりさっぱりした顔で行ってしまうと、ミミはロクサーヌに集めた粉を見せた。
「ロクサーヌさん、これ、お薬に使えそう?」
「素晴らしいですわ!さすがミミ様、ムダな殺生をすることなく目的のものを手に入れるなんて!・・・あともう少しあれば、もっと確実なのですけど」
 ロクサーヌが言うと、イザヤールが苦笑して呟いた。
「あと少しどころか、たくさん手に入るかもしれないぞ。見てみろ」
 ミミとロクサーヌが振り返ると、先ほどのばくだん岩たちから評判を聞いたのか、背中がかゆいらしいばくだん岩たちが、行列を作って待っていた!
 通常の冒険者なら血も凍るような恐怖の状況で、実際ミミもちょっとびくっとしたが、モンスターを仲間にできる魔物使いもしくはモンスターマスターに憧れがあるミミと、胆の据わりかたも天下無双のイザヤールと、万年沈着冷静スマイルのロクサーヌの組み合わせは、目に見えるような動揺を起こさなかった。三人は淡々とばくだん岩の背中を綺麗にしてやり、たくさんの「くしゃみの精祓いの粉末」を手に入れたのだった。

 セントシュタインに帰ってくると、ロクサーヌはあまり怖くなさそうな笑顔でこう言った。
「怖かったですわ〜。でも、ミミ様とイザヤール様がご一緒してくださいましたし、たくさん材料も手に入りましたし、結果オーライですわね☆ささやかですが、これをお納めくださいませ☆」
 ミミとイザヤールは、「ちからのたね」と「うつくしそう」をもらった!そしてロクサーヌは、せかいじゅのしずくを受け取って風邪薬ができたら、ミミたちにも分けてくれると約束してくれた。
 後日、風邪ぐすりを頼んだ客は、ミミとイザヤールが留守の間にせかいじゅのしずくを持ってきた。そして、ロクサーヌが調合を終えた頃にまたやってきて、引き取って帰っていった。このものすご〜く効く風邪ぐすりは、2500ゴールドで販売されたらしい。
「お客様に、『材料を持ってきたのにお金取るの?!』みたいな顔をされてしまいましたわ」後ほどロクサーヌは、ミミとイザヤールにそのときの状況を説明した。「でも、ミミ様とイザヤール様にもあんなにご苦労をおかけしたのですもの、2500ゴールドでも安いと思いません?お二人には、今度のお買い物で、還元させて頂きますわね☆」
 そう言ってロクサーヌは、いたずらっぽくウインクした。〈了〉
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3 コメント

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メガンテ (神々麗夜)
2017-09-24 23:46:03
メガンテって説明上は切り札ですけど使用者が必ず死んでしまい下手したら敵を倒せないというハイリスクローリターンな技の為、メガザルやマダンテみたくあまり光が当たらないんですよね〜
9は強力な特技が多いですし、まぁ経験値配分調整の為とか乱数調整とか、主人公死亡時にセリフの変わるNPCに話しかけ、会話内容の変化を楽しむぐらいでしょうねw師匠がPTにいる状態で主人公死亡時にラヴィエルさんに話しかけても「…」、師匠は泣いて良い。
時の迷宮のあの薬、世界樹の雫代は引いてはあるとは思うのですがロクサーヌさんだしなぁ…

シェルル「イザやん‼︎もうカルバトじゃないか‼︎」
イザやん「止め方分かんないw」
シェ「何で桃◯白の真似したんだ⁉︎ん?」
爆弾岩達が何となく一斉にメガンテを唱えた!
\ドッカーン‼︎‼︎‼︎//
シェ、イザ「ヤなかんじー‼︎」(ロ◯ット団?

リリン「遅いわね、シェルル達」
ククール「リリンと二人っきりになれるから良いけど」
リリ「とか言って本当は心配なんでしょ」
クク「してねーよ。…危ないっ!」
ドンガラガッシャーン!
シェ「イテテ…あー!」
クク「大丈夫か?リリン」
リリ「あ、ありがと///」
シェ「ククール、何リリンに顔近付けてんの⁉︎
クク「んだよ…良い所だったのにお邪魔虫」
リッカ「壁に穴が‼︎イザやん‼︎どういうこと」
イザやん「これは爆弾岩達がメガンテを…」
リッカ「岩のせいにするんじゃないっ‼︎
イザやんだけ滅茶苦茶怒られました
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恐怖だけが独り歩き (津久井大海)
2017-09-25 09:32:03
神々麗夜様

いらっしゃいませおはようございます☆確かにメガンテってリスクの方が大きいから、使用頻度ほぼ無いですよね。FC版DQ2のように文字通り必殺だったらまだ使えた・・・かな?

ラヴィエルさんのイザヤール様にも「・・・」は本当に悲しいっ。せめて「おやイザヤール、○○(主人公の名)はどうした?」くらい言ってくれてもいいのにと思います。

ロクサーヌさんの販売価格は適正・・・と思いたいんですが、う〜ん・・・。

あの後カルバドまで飛んで行っちゃったんですか?!何となくでメガンテ唱えるばくだん岩って・・・メガザルロック長老(誰?)「命を粗末にするな!」彼氏さん、お邪魔できてよかった(笑)
師匠は叱られて当然な気がします、そもそも人をぶん投げるから〜。「岩のせいにしない!」名セリフだと思います。
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訂正お詫び (津久井大海)
2017-09-25 09:34:46
神々麗夜様

「岩のせいにするんじゃないっ」でしたね、たいへん失礼致しました!やはり脳機能がやられてます津久井・・・。
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