セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

プレプレプラチナクッキー

2014年03月14日 23時57分24秒 | クエスト184以降
今週はギリギリ更新でお送りしますの捏造クエストシリーズこと追加クエストもどき。もちろんホワイトデーネタ&クエスト(笑)クエスト自体は解決しますが別話あるかも?プレプレプラチナクッキーはもちろん捏造ですwww

 バレンタインのチョコレートの数に悩む男子も多いが、お返しに悩む男子も多いらしい。そのおかげかロクサーヌの店の「ごうかなクッキー」も飛ぶように売れている。アクセサリーの売り上げも絶好調だ。
「何を贈ってあげればいいかよくわかんなくて・・・」
 そう当惑気味に店を訪れる悩める男性たちにとって、輝く笑顔で的確にアドバイスするロクサーヌは、まさに天使のように見えるらしい。
「殿方皆様が、イザヤール様のようなステキなプレゼントセンスをお持ちとは限りませんものね」
 ロクサーヌがミミに囁き、囁かれたミミは頬を染めてはにかんだ笑みを浮かべた。ロクサーヌに関してはいつも、本気で言っているのかからかっているのか読みとることができない。逃げるようにミミはそのイザヤールの居る宿屋の厨房に向かった。
 さてその当のイザヤールは、今年は更にスキルアップしたアイシングクッキー作りに勤しんでいて、ミミは瞳を輝かせてデコレーションする様を眺めた。毎年恒例?の、宿屋メンバーたちからの義理チョコへのお礼スイーツだが、メインの目的はミミに見て楽しんでもらうことと、職人技の限界に挑戦することで、今回はスライム属たちを平面ではなく立体的な形で焼き上げたところがバージョンアップなのである。植物由来の着色料を使った色とりどりのアイシングで細かく彩色されたクッキーは、毎度のことながら食べるのが惜しい可愛らしさだ。
 手のかかるスライムナイトやスライムジェネラルを仕上げ、彼は今度ははぐれメタルクッキーにとりかかるところだった。縁の薄い部分を焦がさずに真ん中をぷっくりと綺麗な半球に焼き上げるのが至難の技らしい。
「相変わらずムダにスゴイ職人技なんですケド」サンディが呆れたように呟いて、スライム形のを一つ、ぽいと口に放り込んだ。「それにしても、スライムカラーのブルーって食欲そそらないよねー」
「ならつまみ食いしなければいいだろう」
 そう言いながらもたしなめる様子もなく、イザヤールは笑って、はぐれメタルクッキーにプラチナ箔を被せる作業に注意を戻した。
「うっ・・・プラチナ箔かぶせはぐメタクッキー、ゴージャスだケド、やっぱり食欲わかないワ・・・」
 サンディがそう言って眉をしかめると、ミミがちょっと頬をふくらませて言った。
「いいもん、はぐれメタルクッキーは私がもらうから。いいでしょ、イザヤール様?」
「ああ、もちろん」
 イザヤールは微笑んで答えて、できたてのはぐれメタルクッキーをミミの手のひらにのせてくれた。まだほんのりと温かい気がする。つぶらな瞳で見つめてくるクッキー製はぐれメタルが可愛い。すぐに食べるのが惜しくて、ミミは大切に紙に包んで胸元にしまった。そんな様子をイザヤールは愛しそうに見つめて、新たに別のはぐれメタルクッキーを作ってトレイの上に載せた。
「よし、これで全て完成だ。みんなで飾るなり食べるなり、好きにしてもらおう」
 イザヤールは言って、スライム属クッキーがずらりと並んだトレイを満足そうに眺めた。やがて厨房に姿を現したリッカはじめスタッフたちが、クッキーを見て歓声を上げた。
「イザヤールさん、今年も可愛いスイーツありがとう!やっぱり食べちゃうのもったいないよ。しばらくロビーに飾るからね」リッカが言って、それから彼にだけ聞こえる声で囁いた。「・・・で、あれはミミにいつ渡すの?」
 囁かれて、イザヤールはちょっと照れくさそうな顔になった。
「まあ・・・後で、だな」
 ミミはそんな二人の様子を見て不思議そうに首を傾げたが、そこへロクサーヌが来てミミとリッカを呼んだので、注意がそちらに移った。

 ロクサーヌが、彼女には珍しい困ったような顔でリッカに尋ねた。
「リッカ様、プラチナクッキーは、もう予約のお客様全てにお渡しして、予備も全て出てしまったのですわよね?」
「うん、どうしてもってたくさんのお客様に頼まれて、在庫が本当に無くなっちゃった。申し訳ないけど、『完売しました』って掲示もしたよ。もしかして、どうしても必要ってお客様がいらしたの?」
「ええ、それだけならまだ私のルートでもどうにかなるのですけれど、今いらしているお客様が、プラチナクッキーの中でも更に特別高級で貴重な、『プレプレプラチナクッキー』をご所望してますのよ」
「プレプレプラチナクッキー?」
「プレミアムでプレシャスなプラチナクッキーだから通称プレプレだそうですわ」
「そんなのあったんだ、初耳」リッカが呟き、ミミも私も、と頷いた。サンディは、ソレ客の造語じゃね?と呟いた。
「リッカ様やミミ様がご存知ないくらいですから、相当珍しい物ですわね。だからといってこのロクサーヌ、まだまだ勉強不足には違いありませんわ。ご所望のお客様、本当に困っていらっしゃるようですから、このショップの名にかけても、なんとか用意して差し上げたいのですけど・・・」
 ロクサーヌが溜息をついたので、ミミは元気よく申し出た。
「ロクサーヌさん、そのお客さんにちょっと待って頂けるなら、私が探してみるけれど?聞いてみてくれる?」
「まあ、本当ですのミミ様?!・・・でも、本当によろしいんですの?イザヤール様とごゆっくりホワイトデーデートをされるご予定でいらしたんじゃ?」
「ろ、ロクサーヌさん何で知ってるの?(そりゃわかるとその場に居る全員が思った)・・・す、すぐ探して帰ってくるから。・・・いい?イザヤール様?」
「もちろん。それに、良ければ私も一緒に行こう」
 そう言われて、ほんのちょっとだけ寂しげだったミミの瞳が嬉しそうに輝いた。
「ほんとに?ありがとう、イザヤール様vvv」
 浮わついた気分で出かける訳ではないけれど、彼と一緒なら、ダンジョンに行くのだって幸せだとミミは頬を淡い薔薇色に染めた。ミミはクエスト「プレプレプラチナクッキー」を引き受けた!

 ロクサーヌの話によると、プレプレプラチナクッキーは、やはりゴールデントーテムが持っているらしい。所持しているゴールデントーテムは、普通のゴールデントーテムより心持ちセレブで、輝きがちょっぴりゴージャスらしいというが、どれほど信憑性があるかはわからない。
「それと、プレプレプラチナクッキーは、見た目はプラチナクッキーと変わらないそうですの」ロクサーヌは言った。「味だけが全く違うそうですから、一枚だけ味見して調べてくださいませね。できれば念のため、お二人で」
 ミミとイザヤールはゴールデントーテムの居る自然系の洞窟に向かった。二人をいってらっしゃいと見送りながら、リッカは首を傾げて尋ねた。
「ねえロクサーヌさん、プレプレプラチナクッキーって、そんなにプラチナクッキーに似てるの?わざわざ二人で味見するように念押ししたりして」
 すると、ロクサーヌは澄ました顔で答えた。
「さあ?私、実物を拝見したことはございませんから、実際のところわかりかねますわ」
「え?じゃあ、どうして?」
「プレプレプラチナクッキーは、一枚をカップルで分け合って食べると、プラチナの輝きのように恋が色褪せないというジンクスがあると聞いたものですから。一枚をお二人で味見するなら、当然分け合いますでしょう?ミミ様の友チョコへのささやかなお返しですわ☆」
「そうなんだ!ロクサーヌさんったら、やる~♪後でミミたち帰ってきたら、そのジンクス教えてあげてもいい?きっと喜ぶよ♪」
 一方クエストついでにロクサーヌのそんな粋な計らいが有るとはつゆ知らずのミミとイザヤールは、目的の洞窟に着いて、さっそく真面目にゴールデントーテムを追いかけ始めた。そっと近寄るのはお手のものな二人だが、狙われるのに慣れているゴールデントーテムも逃げる逃げる。
 ゴールデントーテムはメタル系の中では比較的HPが低いので、命中率が二分の一である「いっせん突き」や「まじん斬り」よりも、実は細かくダメージを与えられる「キラージャグリング」の方が逃亡前に仕留められる確率が高い。旅芸人スキルを駆使して二人は次々ゴールデントーテムを気絶させた。
 だが、ゴールデントーテムたちはなかなかクッキーらしい物は落とさなかった。以前宿王グランプリの際にリッカにプラチナクッキーを頼まれた時さえ、手に入れるのはたいへんだったし、今もときどき頼まれる時だってたいへんなのだ。もっとレアなクッキーでは、無理もない。
 ようやくあるゴールデントーテムがプラチナクッキーを落としたので、ミミとイザヤールは一枚だけ半分に割って、分け合って味見してみた。
「おいしい・・・!とてもおいしいけれど、前に食べたプラチナクッキーと同じ味な気がする・・・」
「確かにそうだな」
「じゃあいらないよね?アタシにちょーだい☆」
 ホクホク顔のサンディに普通のプラチナクッキーを渡し(プラチナクッキーだってすごいクッキーだから普通のと言うのもなんだが)、ミミたちはゴールデントーテムを追いかけることを続けた。しばらくして、通路の奥に一体のゴールデントーテムを追い詰め、そのゴールデントーテムは泣き出して叫んだ。
「うわーん、ホワイトデーなんかキライだああー!プラチナクッキーを狙われて、いつもよりもっと追いかけ回されるんだからー!」
 確かにゴールデントーテムにとっては気の毒な話だとミミとイザヤールは少し反省し、ミミはせめて彼らの涙を拭いてあげようと胸元からハンカチを取り出そうとした。そのとき、しまっていたイザヤールの作ったはぐれメタルクッキーの包みがぽろりと落ちて、慌てて手で受け止めたが、ミミの手のひらの上ではらりと開いて中身が見えた。それを見てゴールデントーテムは泣き止んだ。
「何これ?はぐれメタルのフィギュア?」
「ああこれ?はぐれメタル形のクッキーなの」
 ミミが答えると、ゴールデントーテムたちは驚きはしゃいでテンションが上がった。
「すごーい!しかもプラチナ箔コーティングでセレブだし!・・・ねえねえ、それとボクたちの持ってるプレプレプラチナクッキーと交換してくんない?」
 思いがけない展開にミミは目を丸くした。確かに交換なら平和的解決だし申し分ない。でも、イザヤール様の手作りクッキー・・・とミミはためらったが、帰ったらまた作るとイザヤールが囁いて、ようやく交換に応じた。
 ゴールデントーテムが行ってしまうと、ミミは交換したクッキーを見つめた。見た目は通常のプラチナクッキーと変わらない。
「ゴールデントーテムはプレプレだって言ってたけれど・・・念のため、味見してみた方がいいの・・・かな?」
「だろうな。本当に違うか気になるしな」
 プレプレプラチナクッキーは、綺麗に半分に割れて、どうしてもそれ以上に割れなかった。かじって分けるからとミミはごねるサンディを説得して、イザヤールとそれぞれ口に運んだところ、あっという間に口の中でほろほろと絶妙に崩れて溶けてしまった。
「サンディ・・・ごめん。でも、何これ、プレプレプラチナクッキー・・・とってもおいしい・・・!」
「ああ、形容しようが無いくらい・・・旨いな・・・」
「マジで?!ズルーい、アタシも味見したかったー!一枚ちょーだい!」
 サンディを何とかなだめ、ミミたちは急いでセントシュタインに戻った。

 ロクサーヌにプレプレプラチナクッキーを渡し、ロクサーヌはお礼にとホワイトデーにちなんで「白いエナメルぐつ」と「エナメルのヒール」をくれた!
「で、そのクッキーを依頼したお客様って?」
 とミミが尋ねると、ロクサーヌは内緒ですわよとミミとイザヤールにだけ囁いた。
「実は国王様ですの。お妃様に贈りたいってお忍びでいらっしゃいましたのよ」
「わあ・・・すてきね♪」
「それで思い出した」イザヤールが呟いた。「ミミ、私もおまえに贈り物がある。部屋まで来てくれないか」
 ミミはイザヤールと自室に行き、思いがけない嬉しい贈り物に瞳を輝かせることになるのだが、それはまた別のお話。〈了〉
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2 コメント

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ぷれぷれ! (神々麗夜)
2014-03-15 19:26:47
プレミアムでプレシャスなプラチナクッキー…食べてみたいです。ちょっとゴールデントーテム狩ってきます。
どの地図にしようかな?
昨日はホワイトデーだったんですよね。男性にとってはセンスが問われる日だったりもしますね。
私の所は男パラディンと男僧侶はアクセサリーや花束をクッキーと一緒に女主に渡したのですが男バトマスは…
女主『何ですの?このダンベルは…?』
男バト『女みてぇにナヨナヨしやがって。男らしく筋肉付けろ』
女主『誰が男ですって!』
男パラ『僕の女主の何処が男だっていうんだ』
男僧侶『っていうかレディへのプレゼントがダンベルかよ。』
ちなみに女性がエクササイズなどに使う可愛いサイズではなく筋骨隆々な人が持ち上げられるかどうかの巨大なダンベルです。

男バトマスはいつも強く前を向いてというより弱者は踏み躙るタイプです。男パラディンと男僧侶が女主に優しいので。優しさは甘さと言う考えです。きっとガナン帝国のあのイベントに鉢合わせていたら『たかがそれぐらいで』とか女主に罵声を浴びせ男僧侶の怒りを買っていたかもしれないです。女主はそんな気力無いでしょうし。間違いなく。ってパラディン何やってんだ…




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男子もたいへん (津久井大海)
2014-03-16 14:34:00
神々麗夜様

珍しくこんばんは☆ではなくこんにちは~☆(寝オチのせいですすみません)
プレプレは捏造ですが、プラチナクッキーの味は気になりますよね~♪リッカの宿屋ではグランプリでなくても出してもらえるのかしらんw

日本独自習慣ホワイトデー、確かにセンスも問われる男はツライよ・・・ですね~。お花とお菓子はやっぱりステキ~♪
バトマスさん、ほんとにレディになんてこと・・・!全く女性らしいオトメに男らしくしろって言われてもwww力が全てでも限度というものが~!
傷ついた時に思いやり抜きの厳しい言葉は辛いですよね(涙)ガナサダイ戦の時にいらっしゃらなくてよかった~。パラディンさん、叱ってあげてください!
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