セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

抱きまくら

2011年08月27日 23時28分52秒 | クエスト163以降
 リッカが、いつも頑張っているみんなに、と、「天使のはね」をたくさん詰めた枕を宿屋スタッフ全員にくれた。もちろん、ミミとイザヤールももらった。
「ふわふわ・・・」
 ミミは呟いて、新しい枕に頬ずりをした。目を閉じたそのうっとりした表情に、イザヤールは微笑んだ。よほど気に入ったのだな。
 頬を枕に更にぴったり寄せて、そのままミミはくたりとベッドに横たわった。指を枕にゆっくりと這わせ、何度もその指は優しく布の上を往復する。まるで枕を愛撫しているようなその姿に、イザヤールの微笑みは消え、彼は思わず息を呑んだ。
 わかっている。ミミはただ新しい枕の感触を楽しんでいるだけだ。わかっている。・・・だが、あのような・・・あんな悩ましい姿を、見せられているのは・・・少し辛い。
「ミミ」
 己の気を逸らそうと、彼は努めて明るい声で呼びかけた。呼ばれて彼女は、ぱっちりと目を開けて、グラデーションを描く濃い紫色の瞳で、恋人を見つめた。
「・・・気に入ったか、その枕」
 彼の問いに、ミミは幸せそうな笑みを浮かべ、こくりと頷いた。
「羽がたくさん詰まっていて・・・とても気持ちいいです」
「・・・そうか」
 イザヤールは呟き、かすかに溜息をついて、椅子に腰を下ろした。
 それからミミは、無意識なのだろう、またうっとりとした目を枕に移し、再び指をゆるゆるとそこへ這わせ始めた。それを見つめ、彼はまた切ない思いに捕らわれた。
 あの指を。私の背に這わせてほしい。枕などではなく。
「・・・ミミ、抱きしめてくれ、枕の代わりに、私を」
 イザヤールは、思わず願望を、否、欲望を、口に出していた。
 それを聞いて、驚いたように、目を見開くミミ。彼女は枕から体を離すと、身を起こして、椅子に座っているイザヤールの傍らに近寄り、彼にそっと腕を回した。
「イザヤール様・・・」
 ミミは囁きかけて、止めた。
 天使のはねの詰まった枕を無意識になでていて、イザヤールの翼を愛撫するまぼろしを描いていたことに、たった今気が付いた。
 でも。翼よりも。思わずゆっくりと指を、先ほどしていたように、彼の背中に這わせ始めた。
 びくりと、彼の体が一瞬動いた。そこで、はっと我に返るミミ。
「ごめんなさい・・・」
「・・・謝るな」
 そうしてくれるよう、密かに望んでいたのだから。
 イザヤールもまたミミに腕を回し、抱きしめて囁いた。
「私は・・・枕よりも、おまえをこうして抱いている方が、好きだ・・・」
「イザヤール様・・・」
 ミミは、ぴったりと着いた彼の体の感触に、骨格を、筋肉のひとつひとつを感じて、うっとりと瞳を潤ませた。そして、答えた。
「私も・・・イザヤール様の方が、ずっとずっと好き・・・」
「嘘をつくな」彼はからかうように囁いた。「・・・あんなに、うっとりとした顔で枕を抱きしめていたくせに」
「嘘じゃないの・・・」
 枕に埋まって、半ば無意識に、イザヤール様の翼に埋まっていたら、あのような感触なのだろうか、と考えたことは、言えない。失ったものを惜しんでいると思われたら、悲しませてしまう。
 翼があってもなくても、イザヤール様の体だから、好き・・・。大好き。
「信じて・・・本当に、イザヤール様をこうして抱きしめているのが、一番好き」
「・・・ああ」
 僅かにかすれた声で、彼は返事をした。・・・信じる。それは信じている。現に今おまえは、先刻よりももっとずっと悩ましい表情をして、見上げてきている・・・。そんな、そんな顔をされたら。
「・・・ミミ」
 熱い瞳が潤んだ瞳を捕らえ、視線が絡まり合った。

 その視線を断ち切る、無慈悲な音がした。すなわち、ノックの音だ。その音に我に返り、名残惜しそうに体を離す二人。
 緊急の用事で呼ばれて、ミミとイザヤールは部屋を出て行った。後に残された枕は、それぞれ別々のベッドに置かれ、いくぶんつまらなそうに、くたりと毛布の上に横たわっていた。〈了〉

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6 コメント

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ひゃあ~ (ちいはゲーマー)
2011-08-27 23:51:16
ミミさんとイザヤール師匠いつにも増してラブラブですね~
( ´∀`)

ウチの女主人公場合
お酒を飲んで酔ってる状態じゃないと、人前でイザヤール師匠に抱きついたり、凄く甘えたりしないので



さて、私もいい加減小説更新しないと・・・

小説、明日頃には出来ます
返信する
うふうふうふ (鈴山まさこ)
2011-08-28 00:14:15
さあ、オフラインで別ルートを描くんだwラブラブ過ぎて羨ましいでごぜぃます。いつか師匠のリミットブレイク(FF7)が来そうw
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抱き寄せ抱き枕 (しそ)
2011-08-28 01:12:21
あ゛ー不慮の事故とかその時奇跡が起こったとかで一緒の部屋に泊まれよぉぉぉ~~~!師匠の胸筋触りてぇ!!
ハッ!今何か言いました!?

いやー、うちの師匠なら2秒で【自粛】ですよ。て言うか私が師匠を抱き枕…いや何でもありません
イザヤール様、ぜひミミさんをそのまま育てて下さいね!
当方も両片想い時期設ければ良かったです。もったいない事をした…

…オフライン時、おっさん呼びして下さればあんなのやこんなの描きますんで!
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あはは(多少汗) (津久井大海)
2011-08-28 08:38:24
ちいはゲーマー様

おはようございます☆あはは、当サイトバカップル、人目がないといつもよりイチャつき度が上がるらしいですw

酔ったときに大胆になるそちらの女主さん、可愛いですね☆本音が表れてしまうんですね~♪
きっとイザヤール様は、困りながらも嬉しくて仕方ないんだろうと、失礼な妄想をしてニヤニヤw

おお、いよいよ小説更新が!「おうえん」!でもくれぐれもマイペースでなさってくださいませ☆
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はぐメタのように (津久井大海)
2011-08-28 08:53:34
鈴山まさこ様

おはようございます☆べべべ別ルートぉ~・・・津久井は逃げ出した!ww

ラブラブ過ぎると、いい加減、心優しい読者様も呆れるのではないかとビクビクしつつ、でも書く(笑)

たぶん何回もリミットは来ているであろう当サイトイザヤール様、完全に不運な邪魔が入っている、それだけで当サイトは救われておりますw(朝から何書いてるんだか)
返信する
もう朝からw (津久井大海)
2011-08-28 09:05:27
しそ様

おはようございます☆ますます朝から何書いてるんだコメント返信発動!w

実は同室寝泊まりです当サイトバカップルwただパーティーメンバーやサンディやらが代わる代わる居る為、未遂・・・いえ何事も起こらないだけですww

ロクサーヌ「イザヤール様の胸筋、需要高そうですわ・・・『イザヤールの胴体』販売したらいけるかもですわ・・・」
イザヤール「(衛藤ヒ〇ユキ氏風に)やめてくれ~!」

うん、順調に育ててますねイザヤール様・・・順調に育っちゃってますねうちの女主・・・w

おっさんよび、「よいこはダメ」方面も有効ですかっ♪そりゃ発動しないと!・・・それにはまず自分が書かないとダメか・・・orz
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