リッカが、いつも頑張っているみんなに、と、「天使のはね」をたくさん詰めた枕を宿屋スタッフ全員にくれた。もちろん、ミミとイザヤールももらった。
「ふわふわ・・・」
ミミは呟いて、新しい枕に頬ずりをした。目を閉じたそのうっとりした表情に、イザヤールは微笑んだ。よほど気に入ったのだな。
頬を枕に更にぴったり寄せて、そのままミミはくたりとベッドに横たわった。指を枕にゆっくりと這わせ、何度もその指は優しく布の上を往復する。まるで枕を愛撫しているようなその姿に、イザヤールの微笑みは消え、彼は思わず息を呑んだ。
わかっている。ミミはただ新しい枕の感触を楽しんでいるだけだ。わかっている。・・・だが、あのような・・・あんな悩ましい姿を、見せられているのは・・・少し辛い。
「ミミ」
己の気を逸らそうと、彼は努めて明るい声で呼びかけた。呼ばれて彼女は、ぱっちりと目を開けて、グラデーションを描く濃い紫色の瞳で、恋人を見つめた。
「・・・気に入ったか、その枕」
彼の問いに、ミミは幸せそうな笑みを浮かべ、こくりと頷いた。
「羽がたくさん詰まっていて・・・とても気持ちいいです」
「・・・そうか」
イザヤールは呟き、かすかに溜息をついて、椅子に腰を下ろした。
それからミミは、無意識なのだろう、またうっとりとした目を枕に移し、再び指をゆるゆるとそこへ這わせ始めた。それを見つめ、彼はまた切ない思いに捕らわれた。
あの指を。私の背に這わせてほしい。枕などではなく。
「・・・ミミ、抱きしめてくれ、枕の代わりに、私を」
イザヤールは、思わず願望を、否、欲望を、口に出していた。
それを聞いて、驚いたように、目を見開くミミ。彼女は枕から体を離すと、身を起こして、椅子に座っているイザヤールの傍らに近寄り、彼にそっと腕を回した。
「イザヤール様・・・」
ミミは囁きかけて、止めた。
天使のはねの詰まった枕を無意識になでていて、イザヤールの翼を愛撫するまぼろしを描いていたことに、たった今気が付いた。
でも。翼よりも。思わずゆっくりと指を、先ほどしていたように、彼の背中に這わせ始めた。
びくりと、彼の体が一瞬動いた。そこで、はっと我に返るミミ。
「ごめんなさい・・・」
「・・・謝るな」
そうしてくれるよう、密かに望んでいたのだから。
イザヤールもまたミミに腕を回し、抱きしめて囁いた。
「私は・・・枕よりも、おまえをこうして抱いている方が、好きだ・・・」
「イザヤール様・・・」
ミミは、ぴったりと着いた彼の体の感触に、骨格を、筋肉のひとつひとつを感じて、うっとりと瞳を潤ませた。そして、答えた。
「私も・・・イザヤール様の方が、ずっとずっと好き・・・」
「嘘をつくな」彼はからかうように囁いた。「・・・あんなに、うっとりとした顔で枕を抱きしめていたくせに」
「嘘じゃないの・・・」
枕に埋まって、半ば無意識に、イザヤール様の翼に埋まっていたら、あのような感触なのだろうか、と考えたことは、言えない。失ったものを惜しんでいると思われたら、悲しませてしまう。
翼があってもなくても、イザヤール様の体だから、好き・・・。大好き。
「信じて・・・本当に、イザヤール様をこうして抱きしめているのが、一番好き」
「・・・ああ」
僅かにかすれた声で、彼は返事をした。・・・信じる。それは信じている。現に今おまえは、先刻よりももっとずっと悩ましい表情をして、見上げてきている・・・。そんな、そんな顔をされたら。
「・・・ミミ」
熱い瞳が潤んだ瞳を捕らえ、視線が絡まり合った。
その視線を断ち切る、無慈悲な音がした。すなわち、ノックの音だ。その音に我に返り、名残惜しそうに体を離す二人。
緊急の用事で呼ばれて、ミミとイザヤールは部屋を出て行った。後に残された枕は、それぞれ別々のベッドに置かれ、いくぶんつまらなそうに、くたりと毛布の上に横たわっていた。〈了〉
「ふわふわ・・・」
ミミは呟いて、新しい枕に頬ずりをした。目を閉じたそのうっとりした表情に、イザヤールは微笑んだ。よほど気に入ったのだな。
頬を枕に更にぴったり寄せて、そのままミミはくたりとベッドに横たわった。指を枕にゆっくりと這わせ、何度もその指は優しく布の上を往復する。まるで枕を愛撫しているようなその姿に、イザヤールの微笑みは消え、彼は思わず息を呑んだ。
わかっている。ミミはただ新しい枕の感触を楽しんでいるだけだ。わかっている。・・・だが、あのような・・・あんな悩ましい姿を、見せられているのは・・・少し辛い。
「ミミ」
己の気を逸らそうと、彼は努めて明るい声で呼びかけた。呼ばれて彼女は、ぱっちりと目を開けて、グラデーションを描く濃い紫色の瞳で、恋人を見つめた。
「・・・気に入ったか、その枕」
彼の問いに、ミミは幸せそうな笑みを浮かべ、こくりと頷いた。
「羽がたくさん詰まっていて・・・とても気持ちいいです」
「・・・そうか」
イザヤールは呟き、かすかに溜息をついて、椅子に腰を下ろした。
それからミミは、無意識なのだろう、またうっとりとした目を枕に移し、再び指をゆるゆるとそこへ這わせ始めた。それを見つめ、彼はまた切ない思いに捕らわれた。
あの指を。私の背に這わせてほしい。枕などではなく。
「・・・ミミ、抱きしめてくれ、枕の代わりに、私を」
イザヤールは、思わず願望を、否、欲望を、口に出していた。
それを聞いて、驚いたように、目を見開くミミ。彼女は枕から体を離すと、身を起こして、椅子に座っているイザヤールの傍らに近寄り、彼にそっと腕を回した。
「イザヤール様・・・」
ミミは囁きかけて、止めた。
天使のはねの詰まった枕を無意識になでていて、イザヤールの翼を愛撫するまぼろしを描いていたことに、たった今気が付いた。
でも。翼よりも。思わずゆっくりと指を、先ほどしていたように、彼の背中に這わせ始めた。
びくりと、彼の体が一瞬動いた。そこで、はっと我に返るミミ。
「ごめんなさい・・・」
「・・・謝るな」
そうしてくれるよう、密かに望んでいたのだから。
イザヤールもまたミミに腕を回し、抱きしめて囁いた。
「私は・・・枕よりも、おまえをこうして抱いている方が、好きだ・・・」
「イザヤール様・・・」
ミミは、ぴったりと着いた彼の体の感触に、骨格を、筋肉のひとつひとつを感じて、うっとりと瞳を潤ませた。そして、答えた。
「私も・・・イザヤール様の方が、ずっとずっと好き・・・」
「嘘をつくな」彼はからかうように囁いた。「・・・あんなに、うっとりとした顔で枕を抱きしめていたくせに」
「嘘じゃないの・・・」
枕に埋まって、半ば無意識に、イザヤール様の翼に埋まっていたら、あのような感触なのだろうか、と考えたことは、言えない。失ったものを惜しんでいると思われたら、悲しませてしまう。
翼があってもなくても、イザヤール様の体だから、好き・・・。大好き。
「信じて・・・本当に、イザヤール様をこうして抱きしめているのが、一番好き」
「・・・ああ」
僅かにかすれた声で、彼は返事をした。・・・信じる。それは信じている。現に今おまえは、先刻よりももっとずっと悩ましい表情をして、見上げてきている・・・。そんな、そんな顔をされたら。
「・・・ミミ」
熱い瞳が潤んだ瞳を捕らえ、視線が絡まり合った。
その視線を断ち切る、無慈悲な音がした。すなわち、ノックの音だ。その音に我に返り、名残惜しそうに体を離す二人。
緊急の用事で呼ばれて、ミミとイザヤールは部屋を出て行った。後に残された枕は、それぞれ別々のベッドに置かれ、いくぶんつまらなそうに、くたりと毛布の上に横たわっていた。〈了〉
( ´∀`)
ウチの女主人公場合
お酒を飲んで酔ってる状態じゃないと、人前でイザヤール師匠に抱きついたり、凄く甘えたりしないので
さて、私もいい加減小説更新しないと・・・
小説、明日頃には出来ます
ハッ!今何か言いました!?
いやー、うちの師匠なら2秒で【自粛】ですよ。て言うか私が師匠を抱き枕…いや何でもありません
イザヤール様、ぜひミミさんをそのまま育てて下さいね!
当方も両片想い時期設ければ良かったです。もったいない事をした…
…オフライン時、おっさん呼びして下さればあんなのやこんなの描きますんで!
おはようございます☆あはは、当サイトバカップル、人目がないといつもよりイチャつき度が上がるらしいですw
酔ったときに大胆になるそちらの女主さん、可愛いですね☆本音が表れてしまうんですね~♪
きっとイザヤール様は、困りながらも嬉しくて仕方ないんだろうと、失礼な妄想をしてニヤニヤw
おお、いよいよ小説更新が!「おうえん」!でもくれぐれもマイペースでなさってくださいませ☆
おはようございます☆べべべ別ルートぉ~・・・津久井は逃げ出した!ww
ラブラブ過ぎると、いい加減、心優しい読者様も呆れるのではないかとビクビクしつつ、でも書く(笑)
たぶん何回もリミットは来ているであろう当サイトイザヤール様、完全に不運な邪魔が入っている、それだけで当サイトは救われておりますw(朝から何書いてるんだか)
おはようございます☆ますます朝から何書いてるんだコメント返信発動!w
実は同室寝泊まりです当サイトバカップルwただパーティーメンバーやサンディやらが代わる代わる居る為、未遂・・・いえ何事も起こらないだけですww
ロクサーヌ「イザヤール様の胸筋、需要高そうですわ・・・『イザヤールの胴体』販売したらいけるかもですわ・・・」
イザヤール「(衛藤ヒ〇ユキ氏風に)やめてくれ~!」
うん、順調に育ててますねイザヤール様・・・順調に育っちゃってますねうちの女主・・・w
おっさんよび、「よいこはダメ」方面も有効ですかっ♪そりゃ発動しないと!・・・それにはまず自分が書かないとダメか・・・orz