セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

呪われた海底都市〈前編〉

2017年09月10日 14時19分52秒 | クエスト184以降
更新遅い上に続き物になってしまい続きはまた後ほどです、すみません〜。でもドラクエっぽい?ストーリー展開になりそうですのでお楽しみに?!今回の話の洞窟や海底の町はもちろん捏造ですが、DQ6みたいに海中や海中都市散歩ができたら、9の海底にも何かいろいろアイテムやイベント(笑)が沈んでいるんじゃないかな、そんなふうに思います。リメイクがもし出たら、海中マップとかも加わらないかなあ。やっぱり無理かな〜。

 ツォの浜の近くの漁場で漁師を魔物たちから助けたミミとイザヤールは、お礼にと濃い紫紺のガラスでできた瓶をもらった。引き上げた網に入っていたそうで、綺麗だと思ってとっておいたのだという。
 その瓶は栓も同じガラスでできていて、しっかりと封がしてあった。何か入っているらしいが、色が濃すぎて外からは見えない。振った感触から察するに、丸めた紙らしきものと思われた。
「手紙か、もしかしたら宝の地図かもしれんよ」瓶をくれた漁師は頷きながら言った。「その瓶からは、何か不思議な気配を感じるんだ」
 中身が何であっても綺麗な瓶が嬉しいとミミは喜んで受け取り、イザヤールはミミが喜んだことと古代の文書かもしれないという興味でテンションが上がり、二人はわくわくした気分で持ち帰った。だが、リッカの宿屋に入ろうとして、ミミはふと心配そうに呟いた。
「漁師さんは手紙か地図と言ってたし、液体の感触じゃないけれど、建物の中で開けて嫌な臭いのするものだったり、魔物が封印されていたりしたら困るよね・・・」
「確かにそうだな。では、町の外で中身の安全確認をするか」
 そこで二人はとりあえず、セントシュタイン城下町に入る前に開けてみることにした。口元はかげのターバンで覆い、目はサングラスをかけて、わざしのてぶくろを装備し、皮膚の露出しない長袖の服を羽織って、危険物対策ばっちりの格好で挑んだが、端から見ると少々怪しい人物にも見える。スライムベスが遠巻きに、不思議そうに見ていた。
 それはともかく、短剣などを器用に使い、二人はしっかり固められていた栓を壊さずに取ることに成功した。何か特別な樹脂で固めていた為、中には一滴も海水が入らずに済んだらしい。中から出てきたのは漁師の言った通り紙片で、しかも洞窟の在処を示す地図のようだった。相当古いものらしい。地図の方は炭か何かで描かれていてしっかり残っていたが、地図に書かれたメモ書きらしいインクの跡は、薄れてほとんど読めなかった。
「地図みたいですね、イザヤール様」
「地図みたいだな」
「この場所、気になりますね」
「とても気になるな。だが私は、このメモ書きに何が書いてあったかも気になる。セントシュタイン城のイロホン殿に頼んで、消えかけた文字を浮かび上がらせる薬品を分けてもらって、調べてみてもいいか?」
「はい♪もちろん」
 ミミとイザヤールはセントシュタイン城の図書室に行き、イロホンに消えたインクの文字の再生をしてもらった。すると、そのメモはこう書かれていることがわかった。
『これは、海底都市に続く洞窟の在処を示す地図也。明日の来ない町の呪いを、私は遂に解くこと叶わず。願わくば、誰かが我が遺志を継ぎ、人々の魂を解放せしめんことを』
「これは、セントシュタインの隠された歴史書なみに凄そうな文書じゃのう。これは、地図の場所に行ってみるしかなかろう、若者たちよ!」
 イロホンがものすごくわくわくした顔で言った。確かにこれは行ってみるしかない。ミミとイザヤールはクエスト「呪われた海底都市」を引き受けた!

 宿屋メンバーは旅芸人のパレード隊が飛び込みで泊まりに来て大忙しだったので、ミミとイザヤールは二人(サンディを入れれば三人)で出かけることにした。手強そうなダンジョンなら、下見にしておいて引き返せばいい。
「とか思ってると帰れなかったりして〜」
「さ、サンディ、やめてよ〜」
 地図によると、その洞窟はツォの浜の海辺の洞窟の近くにあった。印の場所に行くと、砂が崩れて、なんと洞窟の入口が表れた!
「やはり宝の地図の洞窟みたいだな」イザヤールが呟く。
 洞窟の中は水タイプの宝の地図の洞窟と同じような感じで、出てくる魔物も似たような感じだった。しびれくらげやガマキャノン、ぐんたいがになどが多い。どれも今の二人の敵ではなく、こそこそと逃げていった。
 そんなわけで洞窟内は苦もなく歩けたのだが、驚くほど深かった。フロアを二十階層ほど下っても、まだ続くらしい。
「ね〜、ミミ、イザヤールさん、まだ着かないの〜?アタシもう飽きたんですケド〜」
「海底都市に続くんだもの、これくらい歩くのも無理無いよ。もう少ししたら休憩してお弁当食べよう、ね?」
 ミミの言葉に、ごねていたサンディは機嫌を直したが、イザヤールがまるで子供だなとからかってまたむくれた。
 だが、結局三人は休憩のことなど忘れることになった。少し進んだ先から光が漏れている。出口に着いたのだ。

 洞窟を抜けると、崖の上になっていて、眼下には美しい町並みが広がっていた。海辺の町といった風情のサンマロウにどこか似た雰囲気の建物が並び、市場では人々が買い物を楽しみ、広場では子供たちが駆け回っている。町はとても高い壁に囲まれていて、出入口の他に一ヶ所だけ巨大な門があり、開いた門の向こうには、青い広大な海だけが見えた。
「これのどこが呪われた町なワケ?」
 サンディが首を傾げた。「とりあえず、町まで行ってみましょう」
 ミミの言葉にイザヤールは頷いたが、巨大な門を見て、呟いた。
「あれは、どうやら水門のようだな。・・・昔、水門のある町に関する古い文献を読んだ気がするが、思い出せない・・・」
 町に着くと、崖の上から見たときよりもっと賑やかに思えた。市場は、日用品や食料品を主に売っているらしく、ミミたちが用のありそうな店はほとんど無かった。見習いの小僧が果物の山をうっかり崩してばらまいて親方に叱られていたり、犬が骨付き肉をくわえて逃げているのを追いかける屋台の店主が居たり、買い物に来たメイドが釣り銭を落としたりと、どこの町でも見られそうな光景が広がっている。
 サンディにせがまれて串焼きの魚を買い、食べながら歩いていると、やがて広場に出た。広場では崖の上から見た通り、子供たちが元気に遊んでいた。広場の隅を通りかかったとき、ミミは、小さな男の子と女の子が、木箱の上に腰かけて遊んでいるのを見た。男の子は、女の子に、首飾りのように鎖に下げた鍵を渡してやっている。女の子は、宝石で飾られた美しい鍵にはしゃいでいた。
「わあキレイ!でも、ホントに借りてもいいの?町長さんに叱られない?」女の子ははしゃぎながらも心配そうに尋ねる。
「パパはママの宝石箱めったに見ないし、ママはパーティーの日まで宝石箱を開けないから、こっそり返しておけば大丈夫だよ!水門の儀式ごっこして遊ぼう!」
 男の子は自信たっぷりに答えた。会話の内容から察するに彼は、町長である親に黙って大事な鍵を持ち出して遊んでいるらしい。
「げげっ、これってヤバイフラグじゃね?」
 サンディが言ったそばから、事は次々に起こった。
 女の子が木箱に上り、鍵を手に持って掲げた。冠のつもりらしい花輪を男の子が彼女の頭に恭しく載せてやろうとしたところへ、先ほど骨付き肉をくわえて逃亡していた犬が突進してきた!犬は木箱にぶつかり、その拍子に女の子は鍵を取り落とした。犬は、鍵をくわえて、あっという間に走り去った。
 男の子と女の子は呆然としていたが、やがて二人とも、激しく泣き出した。ミミは急いで二人に駆け寄り、優しく尋ねた。
「大丈夫?怪我はない?」
 ミミの優しい声に、子供たちはしゃくりあげながらも、答えた。
「痛いとこないけど、鍵が、水門の鍵が・・・。どうしよう・・・」
 確か犬が持ち去った筈とミミとイザヤールが犬を探そうとしたところへ、人々がばらばらと走ってきた。
「たいへんだ!巨大な波が迫っているぞ!町長に報せろ、早く水門を閉じなければ!」
 海鳴りが不気味な気配をはらんで大きくなっていた。
「何この激ヤバ急展開!フラグがあったにしてもピンチにも程があんでしょ!」
「大丈夫よサンディ、私たちがどうにかする!」
 ミミとイザヤールは水門に向かって全速力で走った。水門の付近には何人かの男たちが集まっていて、水門の向こうの遠い沖に、巨大な壁のように盛り上がる波が迫ってくるのが見えた。
「もう時間が無いぞ!町長は何をやっているんだ!」
「それが・・・水門の鍵がどうしても見つからないと・・・」
「なんだと?!」
 イザヤールは門に駆け寄り、バトルマスターの怪力で水門の巨大な金属扉を閉めようとした。だが、扉は少し動いたものの、閉まらなかった。
「無理だ旅の方よ!この水門は、鍵の魔力で動く仕組みなんだ!海の魔物が勝手に開閉できないようにな!鍵の無いことには、どうにも・・・」
 ならばやはり犬を探しに行くしか無いのかと二人は思ったが、巨大な波の迫ってくる速度は思ったより速そうだ。犬を探している時間は無い。その場に居た者たちは、高台に避難を始めた。ミミとイザヤールは顔を見合わせて頷き合い、ダーマのさとりを使って、魔法使いに転職した!そして、開いてる水門に向かって、マヒャデドスを放った!水門は凍りつき、巨大な氷の壁になった!
 やがて水門の外に迫ってきた巨大な波が押し寄せる度に、ミミとイザヤールはマヒャデドスを使い、凍った巨大な波はそのまま防波堤へと変わった。どれくらいの時間そうしていただろうか、やがて巨大な波は来なくなり、潮もすっかり引いて、水門の向こうの海は穏やかさを取り戻した。
 やがて、おそるおそるといった感じで町の人々が集まってきた。そして、ミミとイザヤールが巨大な氷の壁で波を防いだことを知り、口々に驚きや感謝の言葉を述べた。
「めったに訪れない旅の方が町を救ってくださるとは、まさしく神の思し召し!感謝します」町長が代表で礼を述べた。「・・・だが、水門の鍵は厳重にしまってあった筈・・・。無くなってしまうとは、いったい、誰が・・・」
 すると、罪の意識いっぱいの顔をしている町長の息子が、ミミとイザヤールに慌てて駆け寄り、言った。
「おにいちゃんおねえちゃん、町を助けてくれてありがとう!せめてものお礼に、うちに泊まっていってよ!」それから彼は、二人にだけ聞こえるように、小声で囁いた。「お願い、僕が鍵を持ち出したこと、黙ってて!パパやみんなにばれたら僕、うんと叱られちゃう!もう二度としないから!」
 確かに、悪気は無かったとはいえ、大切な鍵を持ち出しおもちゃにし無くして、それで町を滅亡の危機に遭わせたと知れたら、子供といえどもただでは済まないだろう。ミミは頷き、イザヤールは仕方ないなと肩をすくめた。
 その晩は本当に町長の家に泊まることになり、豪華な魚介料理のもてなしを受け、客用寝室に案内された。休む前に、鍵を持った犬の行方が気になって、探しに出ようとした二人を、町長はやんわりと止めた。
「この町は、夜は皆寝静まってしまって、何も見るべきところはございませんぞ。また明日ゆっくりご案内させて頂きます」
 仕方なくミミとイザヤールとサンディは休むことにした。

 そして夜が明けた!

 確かに、町長宅の豪華なベッドで休んだ筈だった。それなのに、ミミとイザヤールは、気が付くと町を見下ろす高台に立っていた。嫌な予感を抱えつつ、二人は町に下りた。昨日と同じように市場を歩くと、小僧が果物をばらまいて親方に叱られていた。犬が骨付き肉をくわえて走り、追いかけられていた。メイドが、同じ店で同じ額の釣り銭を落としていた。つまり、昨日と全く同じ光景が繰り返されていた。
 更に嫌な予感がしつつ広場に向かうと、やはり木箱の側で男の子と女の子が遊んでいる。
「わあキレイ!でも、ホントに借りてもいいの?町長さんに叱られない?」女の子が言う。
「パパはママの宝石箱めったに見ないし、ママはパーティーの日まで宝石箱を開けないから、こっそり返しておけば大丈夫だよ!水門の儀式ごっこして遊ぼう!」男の子が答えた。〈続く〉
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