ママ研究者~人生まだまだこれから~

製薬会社で新薬開発に挑む研究者。2人の息子(6&0歳)がいます。ママ研究者(今は臨床系)、日々の思いを綴ります!

革新的新薬について・・・~その4:課題の整理~

2008-07-20 09:57:22 | お薬、疾患、健康

その3:私にできることは何か、を書いたことでだいぶ頭が整理されてきました。

シンプルに言うと、革新的新薬創出を実現するため重要なことは、以下の4つに絞られました。
① 現場のニーズを把握すること。
② ターゲットとする標的遺伝子を定めること。
③ 前臨床の研究を行い、候補化合物を見出すこと。
④ 競合他社の進行状況や、市場性(患者数、治験期間)などを加味し、適応症を決めること。


私も含めて、周囲の研究者を見ていると、「上記のことを、全て自分で行わなければならない。」と考えている人が多いです。

上記の項目に関し、もし、現在の自分でできる範囲のみで行おうとすると、
① 学会や患者さんの会などに参加し、患者さんや医療従事者の「不便」「不満」を知る。
② 学会や文献情報を収集したり、自ら行った基礎実験に基づき、疾患のターゲットとなりそうな遺伝子を定める。
③ 薬理、合成、分析、動態、安全性、基礎研究の部署と共同し、テーマを推進する。
④ 医薬品データベース(有料のもの)や、文献情報に基づき、適応症を決める。
が精一杯かなぁと思います。

こうやって整理してみると、現状の課題は明らかです。
○ 学会、文献、データベースなど、誰でも入手できる情報に依存していること。
○ 一人の力、あるいは、研究所内でできる範囲に限られていること。

誰でも入手できる情報で、限られた技術範囲で行うのはとてもグローバルに生き残れる戦略的とは言えないし、運に依存する部分が大きいといえましょう。(もちろん、研究においては、運も重要な要素と私は考えてますが。)

また、一人の力に大きく依存するということは、
 ・情報、技術、アイディアが限定されてること。
 ・個人への肉体的、精神的負担が増加すること。
という点で、大きなデメリットがあります。
(実際、我が研究所でも、メンタルヘルス上の問題で、休職する方が急増中であります。)

つまり、上記の①~④の課題を解決するためのアイディアを考えるのが私に求められていることといえます。
特に、研究所の範囲を超えたアライアンスが必要となる①、②、④に関しては、どうやったら実行できるかも含めて考えなくてはならなさそうです。


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4 コメント

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癌の既往歴 (メイ)
2008-07-23 21:48:21
ママ研究者さん、はじめまして。
リウマチ歴8年目のメイです。
私は7年前に大腸がんの既往歴があるため、主治医がレミもエンブレルも禁忌とのことですが、ブログで乳がんのホルモン療法を受けながら、レミの治療をしている方が驚いています…どう思われますか?  ご意見お願いします。             ちなみに私の癌は大腸内視鏡でポリープを切除して、その中に納まっている初期の癌でした。   s 
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Unknown (ママ研究者)
2008-07-24 15:24:36
メイさん。
はじめまして。コメントありがとうございます。
リウマチを患ってらっしゃるとのこと、さぞ、ご苦労も多いかと思います。

私は、医療従事者ではないので、意見を述べることはできません。
ただ、非常に興味深い事柄ですので、レミケードとエンブレルの添付文書を調べさせていただきました。
レミケードの添付文書
http://di.mt-pharma.co.jp/file/rev/b_rec01.pdf
エンブレルの添付文書
http://www2.takedamed.com/content/search/doc1/126/tenpu/tenp126.html#02

以下、メイさんのケースに該当しそうな箇所を抜粋します。
(エンブレルの添付文書より)
【警告】
1. 本剤投与により、結核、敗血症を含む重篤な感染症及び脱髄疾患の悪化等が報告されており、本剤との関連性は明らかではないが、悪性腫瘍の発現も報告されている。本剤が疾病を完治させる薬剤でないことも含め、これらの情報を患者に十分説明し、患者が理解したことを確認した上で、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。

生物学的製剤が悪性腫瘍に影響を与えるかどうかは、まだ因果関係がはっきりしないそうです。つまり、禁忌(投与禁止)ではなく、慎重に使用するように、となっているようです。

添付文書には、ベネフィット>リスクの場合に使用するように、となっております。患者さんの病気の進行度や、お医者さんの方針(積極的に治療していこうという方と、リスクを回避し、慎重に用いようという方など)により、異なってくるのかなぁと思いました。

ちなみに、先日参加した日本炎症・再生医学会では、
「リウマチ患者さんは、全般的に悪性腫瘍の罹患率が高いというデータがあり、生物学的製剤が悪性腫瘍の発生率に関与している可能性は低い」という発表がありました。
今後、5年間で追跡調査が行われるようです。
疫学的データが蓄積し、薬剤が、より安全かつ有効に使用されるようになることを願ってます。

以上ですが、少しは参考になりましたでしょうか。。。
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有難うございます (メイ)
2008-07-24 16:48:57
沢山の資料をありがとうございます。とても参考になりました。
主治医を信用して認可されたばかりのアクテムラで、治療していくことに決めました。

お子様も小さくて夜泣き、急な発熱とかあって大変かと思いますがお身体大切にしてくださいね。
これからも、更新楽しみにしています♪
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Unknown (ママ研究者)
2008-07-24 21:17:24
アクテムラも、効く方にはとてもいい効果を発揮しているようですね。メイさんにも良い結果となることを、お祈りします。
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