ママ研究者~人生まだまだこれから~

製薬会社で新薬開発に挑む研究者。2人の息子(6&0歳)がいます。ママ研究者(今は臨床系)、日々の思いを綴ります!

講演会に参加してきました。

2008-07-27 15:29:07 | お薬、疾患、健康
昨日は、とある疾患の講演会に参加してきました。
(講演会のことについて知ったのは、このブログにコメントを下さった方空の情報がきっかけでした。)
この疾患の講演会が、たまたま夫の実家の近くであることを知り、子供を夫の実家に預け、製薬企業人としてではなく、個人として参加しました。

ウエブで参加対象者は、「この疾患に興味のある方すべて」となっていました。
実際には、会の後半のパネルディスカッションになって気づいたのですが、参加していた方のほとんどが、患者さん、またはそのご家族の方でした。

患者さんに囲まれて座っている、と感じた瞬間、とてつもない緊張感におそわれました。
まだ日本では知名度が高くないその疾患と向き合い、希望を持って生きてらっしゃる方々が、ここにいる。
その方たちに、自分の研究は、どれだけ希望を与えることができるんだろうか、、、医薬品開発の使命の重さを、改めて感じた一日でした。

主催者のNPO代表の方は、私と同年代の方で、とても素敵な女性。この方は、15年間、この疾患と向き合っているそうです。彼女は、とにかく周囲を元気にするオーラを発していました。病気のことを知ろう、勉強しよう。そして、前向きに治療しよう、というメッセージがひしひしと伝わってきました。とても精力的に活動なさっており、「何人もの患者さんに、影響を与えているんだろうな。」と感じました。

50名ほどの参加者に、各地から訪れた講師の医者の方たち5名。参加していた医師の方も、素晴らしい方ばかりでした。
講演の内容は、かなり専門性が高いものでしたが、自分のため、家族のため、と一生懸命メモをとる参加者の心意気を感じました。(こうい会に出席すること自体、とても前向きな方が多いのだと思います。)

以下、強く印象に残ったことを記します。

1)病気のことを積極的に勉強し、治療することで、長期的なQOLはずいぶん変わってくる。

 → この疾患についても、多くの慢性疾患と同様に、根本的に治療する方法はまだ確立されていません。すなわち、現状では、一生、付き合っていかなくてはならない病気です。優れた専門医にすぐにめぐり合える訳でもなく、病名が付くまでに何年もかかってしまうケースもあります。だからこそ、患者さんの積極的な姿勢が、病気をいかにコントロールするか、ということに大きく影響するのだと思いました。
 → 一方で、医療サイドとしては、良い治療法を確立すること(新薬を含めて。)、病気の認知度を広げていくこと、診断方法やキットを開発すること、などなど課題の多さを痛感しました。

2)薬の有効性や副作用の報道のあり方について。
 → この疾患に用いられている薬に対し、有効性の低さや、副作用を述べた報道は、私の記憶にも新しいところでした。しかし、今回の講演会で感じたのは、非常に有効性を感じている患者さんが多い印象でした。演者である医師からは、「実際、我々は、有効性を全く感じなかった例はほとんどない。」と。新聞報道から受ける印象と全く違うものでした。
 → 報道されたからといってうのみにせず、どういうデータに基づき、解釈されたのか、ということをきちんと把握することの重要性を感じました。
 → 誤解を招く報道により、偏見が生まれたり、治療機会の損失が起こったり、誤解を解くために医療従事者が多大なエネルギーを使うことになっていないといいな、と感じました。

3)実際に触れることの重要性
 → ライブでの臨場感、緊張感、は書籍やウエブで得る知識の何倍ものインパクトがありました。体に、心に、刻み込まれたという感じです。

4)薬は、医療の一部である。
 → 当たり前ですが、薬だけが病気を治すのではありません。主役はあくまでも患者さんであり、医療はそのサポートをする、そして、薬は、その一部であるということを感じました。

私にとって、ややエモーショナルな経験でしたが、研究へのモチベーションにつながったことは間違いありません。
一方で、医薬品開発は情熱だけではできず、ビジネスを行うにあたってのニュートラルな心とのバランスの大事さも感じました。

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4 コメント

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Unknown (そーやん)
2008-07-27 22:10:41
私も、その代表の方の話に、すごく影響を受けました!
病気に対して、真っ向から向き合って、同じ病気の人に『一人じゃないよ!』と言うメッセージを送っておられる方だと感じました!
私も医療者として、自分が出来ることを精一杯努力しようと思います!
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改めて思う (myu)
2008-07-27 23:13:17
私も先週、とある疾患のシンポジウムに参加しました。
患者さんの親の体験談を聞いて、
自分の研究が生身の人間につながる研究であることを
改めて認識しました。
基礎研究をしていると
自分の目先の興味に走りがちですが、
患者さんのことを考えるのも大切だと思いました。
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ありがとうございました♪ (きょんタロウ)
2008-07-31 21:33:23
講演会にご参加いただいて、ありがとうございました!
そのように思ってくださって、うれしいです。

私自身のことについては、こっぱずかしい限りでございます…。

新薬については、何よりも安全性を希望します☆
効果が高くて、投与方法が簡便なのももちろんほしいのですが、
やはり、何よりも安全性。

よろしくお願いします!
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Unknown (ママ研究者)
2008-08-01 06:10:35
> そーやんさん

講演会の情報、どうもありがとうございました!
本当に有意義な経験でした。

> myuさん。

そうですね。研究も医療の一部なんだ、という意識が重要なんだなぁと感じる今日この頃です。

> きょんタロウさん。

コメントありがとうございました。
安全性重視ですね!がんばります。
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