わかってはいるけど 外に出てみる
やっぱり いえ それ以上に 夜の世界は ひんやりとしている
それでも 振り返ることはなく どことなく 道を 進んでいく
いつしか 思い出せないぐらいに どこに向かっているのかを
わからなくなってしまっていて それでも 進んできたけれど
どこか どこに向かうのか・・・
ふと おもわず 氣づくところに
物静かな階段の端のほうに 座っている ひとりの子ども
なんとも 風呂に入っていないような ふるくさい香りのする 子ども
いつもなら なんにも氣にもせずに 通り過ぎる場面
それだけのこと・・・ なのに・・・
なぜだか 今夜だけは ちがっていた
なにが そうさせたのか だれが そうさせたのか わからないけれど
今夜は そんな夜であることを・・・ 空を見上げて思う
「どうしたの?」
うつむいたままの あきらかに きれいではない その子
応えないものだから・・・
「あ、なにもするつもりはないんだけどね。ただ・・・」
そこまで言ったら すぐに いや すぐだったかな
「待てるんだよ」
と 思いがけず 明るい声で 言ってくる
だから 思わず 次の言葉が 出てこなかった
きっと そんなに時間は経っていないはずだけれども
長くたって いるように 思ってしまう
いや・・・ 本当のことをいうと わからなくなっている
ふと とりもどして
「誰を?」 と 子どもだから どことなく優しく
なにやってんだと おもいながら・・・ 「まあ 遊んでみるか」
そしたら ふと その瞳に すい込まれるかのように
その 純粋ともいえるような 透き通る瞳に・・・
引き込まれる
すると ふと微笑ながら 「あなたには見えないよ」
そして 「今のあなたには 見えないだろうね」
そう言って 夜の空を ゆっくりと 見上げる
こんなことは しないのに 思わず・・・
その 子どもの隣に ゆっくりと 座る そして・・・
ひんやりとした 夜の空を見あげる
「見えないと思うよ」
「なんで そう思う」 思いがけず反応してしまう
「見えないと思ってるからさ」
大人げなく むきになって
「なにが見えるんだよ 自分は 見えると思ってんのかよ」
ひんやりとした 夜を見つめていた
その子は そのまま
だけど さっきよりも 微笑んで
「そりゃあ そうさ ずっと ずっと 見えると信じてるんだ」
「なにを見ようとしてるんだよ」
と 半分聴きたくて 半分帰ろうと思っていて
すると・・・
突然 真剣な顔になって それでも 夜の空を見つめて
「信じてる人をだよ」
そして 続ける・・・
「前の父さんが言ってたんだよ 信じている人には見えるんだよって」
そして 続ける・・・
「前の父さんを 信じてるから 見えるんだよ」
なんとなく 誰のことなのか・・・ この時期だから 察しはつくけれど
「みんなさ それは親だって言ってるんだけどさ・・・ 信じてるんだよ」
小さい頃のことを この子と向き合っていると まるで この前のことのように蘇る
父さんが 言ってたっけ・・・
「いいかい 信じている人にだけ 見えるんだよ」
いつのまにか なにかもを 信じられずにいた
自分のことも 自分の可能性も・・・ 大人のことも・・・
それでも いま・・・
この子といると なんとなく なにかを 取り戻せてくる
「なんだろう この 懐かしい感じ」
「明日の朝が 待ち遠しいような そんな 夜」
「ぜったいに 寝らないで 逢うためにまってようと おもってた夜」
ひんやりとした 空を見つめ続ける・・・
どれくらいの時間なのかなあ 氣にもならないくらい 待っていた・・・
そしたらさ あの子が いつのまにか・・・
そして なぜだか わからないけれど
もう一度 ひんやりとした 空を見上げる
信じるために
やっぱり いえ それ以上に 夜の世界は ひんやりとしている
それでも 振り返ることはなく どことなく 道を 進んでいく
いつしか 思い出せないぐらいに どこに向かっているのかを
わからなくなってしまっていて それでも 進んできたけれど
どこか どこに向かうのか・・・
ふと おもわず 氣づくところに
物静かな階段の端のほうに 座っている ひとりの子ども
なんとも 風呂に入っていないような ふるくさい香りのする 子ども
いつもなら なんにも氣にもせずに 通り過ぎる場面
それだけのこと・・・ なのに・・・
なぜだか 今夜だけは ちがっていた
なにが そうさせたのか だれが そうさせたのか わからないけれど
今夜は そんな夜であることを・・・ 空を見上げて思う
「どうしたの?」
うつむいたままの あきらかに きれいではない その子
応えないものだから・・・
「あ、なにもするつもりはないんだけどね。ただ・・・」
そこまで言ったら すぐに いや すぐだったかな
「待てるんだよ」
と 思いがけず 明るい声で 言ってくる
だから 思わず 次の言葉が 出てこなかった
きっと そんなに時間は経っていないはずだけれども
長くたって いるように 思ってしまう
いや・・・ 本当のことをいうと わからなくなっている
ふと とりもどして
「誰を?」 と 子どもだから どことなく優しく
なにやってんだと おもいながら・・・ 「まあ 遊んでみるか」
そしたら ふと その瞳に すい込まれるかのように
その 純粋ともいえるような 透き通る瞳に・・・
引き込まれる
すると ふと微笑ながら 「あなたには見えないよ」
そして 「今のあなたには 見えないだろうね」
そう言って 夜の空を ゆっくりと 見上げる
こんなことは しないのに 思わず・・・
その 子どもの隣に ゆっくりと 座る そして・・・
ひんやりとした 夜の空を見あげる
「見えないと思うよ」
「なんで そう思う」 思いがけず反応してしまう
「見えないと思ってるからさ」
大人げなく むきになって
「なにが見えるんだよ 自分は 見えると思ってんのかよ」
ひんやりとした 夜を見つめていた
その子は そのまま
だけど さっきよりも 微笑んで
「そりゃあ そうさ ずっと ずっと 見えると信じてるんだ」
「なにを見ようとしてるんだよ」
と 半分聴きたくて 半分帰ろうと思っていて
すると・・・
突然 真剣な顔になって それでも 夜の空を見つめて
「信じてる人をだよ」
そして 続ける・・・
「前の父さんが言ってたんだよ 信じている人には見えるんだよって」
そして 続ける・・・
「前の父さんを 信じてるから 見えるんだよ」
なんとなく 誰のことなのか・・・ この時期だから 察しはつくけれど
「みんなさ それは親だって言ってるんだけどさ・・・ 信じてるんだよ」
小さい頃のことを この子と向き合っていると まるで この前のことのように蘇る
父さんが 言ってたっけ・・・
「いいかい 信じている人にだけ 見えるんだよ」
いつのまにか なにかもを 信じられずにいた
自分のことも 自分の可能性も・・・ 大人のことも・・・
それでも いま・・・
この子といると なんとなく なにかを 取り戻せてくる
「なんだろう この 懐かしい感じ」
「明日の朝が 待ち遠しいような そんな 夜」
「ぜったいに 寝らないで 逢うためにまってようと おもってた夜」
ひんやりとした 空を見つめ続ける・・・
どれくらいの時間なのかなあ 氣にもならないくらい 待っていた・・・
そしたらさ あの子が いつのまにか・・・
そして なぜだか わからないけれど
もう一度 ひんやりとした 空を見上げる
信じるために