老年

満69歳になった。間違いなく老年であるが諦めがつかない。

プーシキン: ルスランとリュドミラ 25

2006-10-04 22:56:44 | Weblog

 紛失したと思っていた万歩計が出てきた。帰宅して着替えをするときに何気なく本棚の脇に置いて忘れてしまったのだ。年のせいか?でも昔もこんなことがよくあった。

第四の歌

 わたしは毎日、眠りから覚め
心から神に感謝する
われらの時代には
魔法使いがそれほど多くないことを。
加えて ― あのものたちに栄光あらんことを! ―
われらの結婚には危険はないのだ...
あのものたちのはかりごとはそれほど怖くはない
男たちにも若い乙女たちにも
でも、別の魔法使いたちがいる
わたしは嫌いだ:
微笑み、青い眼をして
そして優しい声 ― おお友よ!
あいつらを信じちゃ駄目だ: 腹黒いのだよ!
わたしにまねて、怖がりなよ
あいつらの恍惚を与える毒を
そして静寂の中でおやすみよ

 詩の素晴らしき天才
秘密のまぼろしの歌い手
愛と夢と悪魔の歌い手
墓と天国の忠実な住民
そして気まぐれなわたしのミューズの
寵愛者で世話焼きで庇護者!
北のオルフェウスよ、わたしに許しておくれ
わたしのこっけいな物語の中で
今や、お前の後について治すのだ
わがままなミューズのリラを
美しきものの嘘を暴くのだ

 わが友たちよ、もうすっかり聴いただろう
古き日々に悪者が悪魔に
悲しみから初めにはわが身を委ねる
で、そこには娘たちの魂もある;
惜しまない施し物
祈りと信心と精進
そして、偽りのない懺悔の後に
聖なるもの中に庇護者を見つけるさま
この男の死に様と寝入るさま
男の12人の娘たちが:
そしてわたしたちを虜にして恐れさせる
秘密のこれら夜の光景を
この魅惑なる幻を
この陰気なる悪魔を、この神の怒りを
罪びとの生きながらの苦しみを
そして乙女たちの無垢なる美しさを
わたしたちは男とともに泣き、さまよった
ぎざぎざな城壁のまわりを
そして感激の心をもって愛した
乙女たちの静かな眠りを、静かな囚われのさまを
ワジムの心で呼びかけ
そしてその目覚めを見た
そしてなんどとなく聖なる修道女たちを
父の柩に導いた。
そんなことがあろうか?..ほらをふいた!
でも、わたしは真実を告げている、のか?..

 若いラトミールは南に向かい
性急に馬を走らせながら
考えた。日暮れ前に
ルスランの妻に追いつこうと。
だが、赤紫の日暮れになった;
ただいたずらに勇士は前の
遠くの霧を眺めた:
川の上は一面うつろに見える。
夕焼けの最後の光は輝く
明るく黄金色に染まった針の葉の林に。
われらの勇士は黒いがけの脇を
静かに行き、目を凝らして
木々の中に夜を明かす場所を探す。
谷間を通り過ぎて
見えたのは:崖の上のお城
ぎざぎざの城壁が聳える:
端端に塔が黒ずみ
高い壁をめぐり歩く乙女
海に一羽浮かぶ白鳥のように
歩き、夕焼けは照らす;
そして乙女の歌がかすかに聴こえる
谷は静かに深い。

<つづく>


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