ものつくりおじさんの制作日誌

ものつくり大好きおじさんがいろいろなものを作っていきます。

【溶接】氷割を作る。

2023年03月17日 | 溶接

 えー、雪国の方ならわかると思うのですが…雪を放置しておくと下の層が氷になって超硬くなります。それを割るための道具がいくつかあって、つるはし⛏とかメジャーですが、まぁ危ないので氷割(こおりわり)という道具がホームセンターなどに売ってます。

↓こんなやつね。

これはスプリングが入って割りやすいタイプですが、スライドパイプタイプやただの先端が硬い棒みたいなやつなど、多種多様な製品が販売されています。純粋に地面を覆う氷の層を割るための道具なので、それほど難しいものではないのです。主に2つの考え方があって、先端を鋭利にして力を集中させて割るタイプか、重量あるヘッドでカチ割るタイプがあります。

ホームセンターで安い物でも3千円くらい、高いものだど1万円を超えます…こんなもん作れば無料ですよ!

 

 私の働いている鉄工所では、仕事の時間以外は何作っても怒られません。というわけで昼休みに氷割を作ります。

こんなところにステンレス(SUS304)のパイプとフラットバーがありますね、廃材です。こいつを刃部にしていきます。フラットバーの厚みは9㎜で、このくらいあれば重く頑丈なものが作れるでしょう。

 

パイプを適当な長さに切って、ベビーサンダーのカット刃で溝を作っていきます。

フラットバーをそれっぽい形にカットして、削って整える。ほんで組み合わせると、こうなるわけですよ。

いい感じでしょ。刃といっても物が切れるようにするわけではなくて、力が集中して氷が割れれば良いので鋭くしません。9㎜の平面部を4㎜程度に削って角度をつけます。鋭くしすぎると構造的に凹みができやすいです。ナイフや包丁にするような硬いステンレスならまだしも、今回使っているステンレスSUS304は比較的柔らかいので刃物にできません。もっとも一般的なステンレスで、一般構造材やスプーンなどの多くの製品に使われていますが、焼き入れできないので硬い刃を作れないのです。豆知識ですが、基本的にステンレスは磁石にくっつきません。鉄の割合が多いもの(例えば台所シンク)は磁石に付きますが、基本は磁石に付きません。これは我々溶接工も鋼かステンか見分けるときに磁石で確認しています。

TIG溶接でがっちりと付けました。パイプの延長パーツですが、ちょうどいい長さの同径ステンパイプが無かったので、軟鋼(SS400)パイプを溶接で繋ぎました。ステンレスと軟鋼は異材ですが、専用の溶加材で溶接できます。ただし、鉄はさびるので溶接の境界面は錆びると思います。本当は全部ステンレスで錆びない氷割が作りたかったのですが、廃材でちょうどいいのがなかったんですよね。実際に氷を割る部分だけステンレスなので良しとしましょう。

 

スライドパイプ方式にしたので、中に入れるパイプの先端部にボルトを入れて溶接しました。これでパイプの先端を強化しました。ガンガンと中を突いてもすぐに壊れるということはないでしょう(たぶん)

全長としては1.2mほどで、地面に突き立てて持った時に胸の下あたりに持ち手がくるような寸法です。スライドパイプ内に突き棒(一回り細いパイプ)を入れて、突き棒を落とすと衝撃と重さで刃部が氷を割るという仕組みです。頑固な氷も上から叩きつけるように落とすことで割れます。なんせ重量は8㎏くらいありますからね(笑)

 

というわけで溶接DIYでした!



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