“自分の夢と仲良くしよう”
まずは小栗監督のコメントを読んでください…
“・・・映画の商業性ばかりが強調されていくと、映像はどうしても分かりやすいものへと流れがちになる。
幼児はまず絵本から表現に触れ、親しむ。やがてそこに言葉が入ってくる。
言葉以前に私たちはイメージで世界を見ているといっても過言ではない。
だとすれば、いのちのその最も根本に関わるイメージが人為的に作られた画像というものにとって替わられることについて、私たちはもっと慎重でなければならない。
「埋もれ木」では、見えていることと見ようとしていることがないまぜになっている。
結果として、映画にある程度の抽象性が入ることを避けられなくなった。
もしかしたらそれが観客にうとまれることがあるかもしれないと思う。
でもそれでもなお、一人でも多くの人にこうした作品に触れてほしいと、願うのです。”
どうしてこんなに長い引用をしたかというと、あまりにも美しい映像に圧倒されてしまって、物語のわかり易さなどどうでもよくなってしまったというか・・・確かに、わかり易い娯楽映画もとっても好きなんですが、この映画で描かれている、現実と夢、生と死、人と動物などの象徴的な映像を観ているうちに、なにか根源的なものに触れたような気がして、物語としては説明できないような話なのに目が醒める思いがしたからです。
なんて、ちょっと固い書き方になってしまいましたが、「泥の河」の小栗康平監督の久し振りの新作を楽しみにしていたので、最初のうちは物語としての“へそ”が掴めなくてちょっと困惑していたのですが、そのうち映像そのものに意識が集中してしまい、観終わって小栗監督のコメントを読んでいるうちに、彼の映画作家としての志の高さに涙が出てしまって、こんなこともあまりないので、引用させてもらったというわけで・・・。
どのシーンもため息が出るほど美しくて、ほんとはネットで拾った画像を載せたほうが綺麗な画像が載せられるんですが、パンフに載っていた映像で我慢してと・・・。
キャストも田中裕子、浅野忠信、岸部一徳ほか充実していて、オーデションで抜擢された夏蓮(かれん)の今後にも注目したいと思いました。
あと、これは夢というトンパ文字ですが、映画でトンパ文字が出てきたのは初めてかも?
トンパ文字の本を出している書道仲間がいて、私もトンパ文字で作品を創ることもあるので嬉しくなってしまいました。
あ、トンパ文字の説明をすると長くなるのでここでは書きませんが、検索すると色々出てきますので、興味あるかたは覗いてみてくださいね。
とりあえずこんなサイトもありますので参考までに・・・文字の面白さがわかると思います。
シネマライズBF 19:00~観客7割程/220席
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