神の国

 私
 は
 神
 だ
 が、君は誰だ?

鼠ばかりを食べさせ続けた老人が「もきゅもきゅ」とか喋りだして本当に気持ちが悪いし罪悪感も凄い。

2013年07月16日 20時54分24秒 | 全自動随筆

 

 昨日突然思い立ち、持っているギターの弦を全部切り、その辺でさらってきた顔立ちの良い乙女の髪の毛を三編みにしたものを弦にして一本一本繋いでおったのだがどうも全体からタンスにゴンのにおいがするなと思ったら、顔だちの良い乙女だと思っていたのは全員身寄りのない老婆たちであったからさあ大変。

 私の癇癪(かんしゃく)が爆発し、老婆たち全員の右目に皿洗い洗剤のキュキュットをおもっくそ流し込んで馬鹿笑いしながらアラーを讃える歌とかを即興で歌ったりしてみつつ老婆の左目にジョイを流し込む用意をしていたら、老婆の一人が「・・・私たちは焼野ヶ原だったこの国を、ここまで育ててまいりました。確かにあなたが仰る通り今やこの国は醜いかもしれません、酷いかもしれません。それでも私たちは、この国を、黒煙と血に満ちた穴だらけだったこの国を、浮浪児と傷痍軍人の巣窟だったこの国を、少なくともあなたが飢えることなく今の今まで暮らせる様にしてきたではありませんか。なのに何故、何故、今になってこのような仕打ちを受けねばならないのですか。目が沁みます。目が沁みるのです。私の髪の毛を返して下さい。お願いです。私の髪の毛を返して欲しいんです。何故ですか。何故こんな小さな願いも聞き届けられないのですか」とか言ってきたので、私は「ご令嬢申し訳ない。自分のような一兵卒がお答えできる範疇を超えております。恐縮ですが司令部にお尋ねいただけませんか」と直立不動で答えると、ひみつのアッコちゃんの袋に入った大き目の綿飴で気を惹いている内にその婆ァの即頭部を大き目のペンチで力一杯殴りつけて黙らせた。

 でも、よく考えるとこの老婆の疑問は全くもってその通りである。何故この人たちはこんな目に遭わねばならないのか。これは経済大国日本の不可思議100連発で言うところの3番目ぐらいに不可思議だなと思い、NHKラジオでやってる子供電話相談に電話してみようと思い立った。

 思い立ったが吉日だから、疑問を投げかけた老婆以外の婆ァをコモドドラゴンの餌にする待ち時間に携帯でNHKラジオ子供電話相談の係りに電話してみたのだが、応答したNHKラジオの人が「もしもしー?はーい、お電話ありがとうねー。番組はねー、明日の朝9時からありますからねー。また明日、かけてきて下さいねー」とかふざけきったことを言いやがる。私が「何故ですか、何故なんですか誰か教えてくださいよ、何故ですかああああああああっ!!!」とか叫び散らしてる内に「バイバーイ」とか言われながら一方的に電話を切られてしまい、私はこの電話対応をしたNHKラジオの奴を絶対に探し出して、絶対に絶対に殺そうと思って、そのままトランクに疑義を呈した老婆を押し込んだ軽自動車を時速13キロで爆走させながら京都を国道1号線で出発して東京のNHKラジオ放送局を目指した。到着したのは3日後の午後9時過ぎである。

 受付で「はじめまして。ところで、何故なんですかああああああああああああ!!!」と首に青筋立てて喉が裂けながら血を吐きつつ叫ぶと、案の定、困ったような顔の女は警備員を呼びやがったがそんなことはこっちだって想定済みだ。右手の親指を左手で包む様に隠すと、親指が手から離れて空中浮遊する私自慢の手品で警備員の視線をひきつけている間に、今回の疑問のそもそもの出発点になった老婆が天井から飛び降りてきて、知りたい力で警備員を絞殺、一方私は受付の女を野獣の様に犯している、その直後何処から湧き上がってくるのかは私も知らないが、とにかくどこかしらから出てきたSWAT隊が、大挙してラジオ局内に突入、局員の粛清、臨時政府樹立の放送と米英支蘇四国に対する宣戦の布告、アステカ文明復活の宣言、および、地球空洞説に基づく地底調査隊の結成と派遣、という段取りだったのだが、天井に配置していたはずの老婆が降りてこないので5メートルはあろうかという吹き抜けの天井を見やると、まぁそこはNHKラジオのロビーなのだけれども、入り口の回転扉のまん前ぐらいに明らかに転落死している風情の老婆の遺骸があって、はて? と暫(しばら)く頭をひねったのだが、察するに私の渡した風呂で軽便カミソリをとめておくのとかに使う吸盤(1つ)では老婆の体を支えきれなかったらしく、わずか20センチほど進んだところで落下して大理石のフロアに叩き付けられ死亡した模様なのである。

 私に駆け寄る警備員。

 困った私はとりあえず受け付けの女だけでも犯しておこうと思ったのだが、努力も虚しく警備員に引きずり倒されてしまい、そのまま「警備本部、不審者制圧OKです」とか無線連絡されておった。悔しくて涙がにじむ私はOKとちゃうわダボがと思いつつ何とかなるんじゃないかと一縷(いちる)の望みを託しつつ右手の親指が空中浮遊する手品とかをやってみたのだが誰も見てくれなくて、寂しくて、切なくて、故郷である大連に帰りたくなった。故郷に帰りたくなった力が身体に満ちるのを感じた私は、咄嗟(とっさ)に「もしかして・・・この力をてこの様に使えば苦境を脱出できるかも?」と知恵を巡らし、空間に満ちる「流れ」のままに身体を太極拳の要領で動かすと実に驚くべきことに驚異的な怪力を発揮することができ、私を組み伏せる警備員3人を投げ飛ばすと50キロトンの力で雑巾でも絞るように捩(ねじ)り殺し、受付の女を野獣の様に犯し、NHKラジオの建物を後にした。大連のこととかは女を犯した直後ぐらいに全部忘れた。あと、よく考えたら私の故郷は大連でも何でもなかった。なんかその辺の裏通りとかやった。昭和町商店街の近所とかやった。

 

 

 しかしそれもまた、作られた記憶なのかもしれない・・・

 

 

 

 で。

 私は些事も済んだことだし、NHKラジオに乗りつけた軽自動車に戻ると家に帰ろうと思ったのだが、不慣れな東京だから家の方向を忘れてしまってどうにも分からないから、こういう時に無理して運転をしていると事故に巻き込まれて敵わない。しょうがないから軽自動車は大通りの追い越し車線のど真ん中に停車させ、盗まれないようにしっかり鍵をかけ、厳重に四個のタイヤ全てにU字ロックまでかけて車を後にし、NHKラジオの斜め向かいにある官公庁のすぐ隣にある任意の高級マンションの任意の部屋のカギを手馴れた感じで破壊すると突入。そうすると何でか知らんけど中では馬鹿みたいな家族が馬鹿みたいに談笑しながら高そうな晩飯を食っていたので混ぜてもらおうと思い、「すいません、ドミノピザか、もしくは訪問介護ケアひだまりの者ですけど、自分でもどっちの者だったかちょっと忘れちゃってるんですけど、まぁとりあえず晩飯に私も混ぜて下さいよ」とか言いながらリビングに近づいていったらギャーだーワーだ大騒ぎになって、嫁の方とかなんてもう、半狂乱になりながら飯の乗った皿とかまで投げてきやがって「大樹から離れて下さい!!」とか、そない必死にならんでえぇがなと思うぐらいに必死に叫ぶのだが、そんなことよりお前は飯がもったいなくないのか、とか、一粒の米には七柱の神様がいるんやで、とか思いながら床に広がる飯を皿の破片とかをどけながらクチャクチャ食べつつゲヘヘヘヘと狂った様に笑ったりしていた。そこまでは私も穏やかな気持ちだったのだが、小賢しいことに気付かない内に背後に回りこんだ主人の方が力一杯に金属バットで殴りかかってきたのにはさすがに私の堪忍袋の緒も切れる。怒りに任せた私は鬼の様な形相で右手の親指が浮かぶ手品をやって見せようとしたが間に合わず、主人の方の金属バットがガツンと頭にぶつかる感覚を受けた直後に意識を失った様である。

 目覚めるとそこは病院だった。

 私が目覚めたのを視認した看護婦が「先生、先生」とか言いながらたぶん医者か何かを呼びに行こうとしたんだろうけど、そこは私ですので、もうその隙にベッドのわきにある窓ガラスをハリウッド映画みたいに頭の前で両手を組んで割りながら飛び出し、中庭から脱出しようと思ったのだが、いざガラス突き破って飛び出してみたら其処は地上48階で、私は思わず「何故ですかあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」と叫びながらまっ逆さま地面に叩き付けられ、新聞報道によれば下を歩いていた通行人数名を道連れにして即死したそうである。享年は29歳だったそうだ。ご冥福を心よりお祈り申し上げたい。

 

 

 

 

 

(666kHz)

 


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4 コメント

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青年に新聞紙をかけてあげた (濡れ手に土)
2013-07-16 21:33:00
あと3手で上がるはずだったが、2手目で逆に上がられたので、電動ドライバーを2丁腰にさして放送局に侵入し、テレビカメラを手当たり次第に分解したらADが泣きながら追いかけてきたので、中庭の蟻塚に熱湯を流し込んで茄子の馬をお供えしたら、お盆に蟻の大群が茄子に乗って帰ってきた。おかあさんが「ごはんよー」と言った。
Unknown (ごとう(濡れ手におがくず))
2013-07-17 21:37:05
「ごはんよー」と言われたので階下に下りていくと在日米軍の格好をした父が私をボロクソに殴りながら「ごはんですよーごはんですよー」と号泣して茎わかめを口にありえないぐらい詰め込んでくる。横を見ると絞殺された母の青い顔があった。怒り狂った私は口からありえない量の茎わかめを吐き出すと、反対に父の耳に同量のとろろ昆布を詰め込みながら「パンですよーパンですよー」と両瞼を激しく明滅させ、ダイヤルQ2にある白人女性の喘ぎ声の音声を録音したものをヘッドホンで聴きながらジュゴンを無茶苦茶に犯し続けた。
読ませて頂きました (ウルフです)
2013-07-18 20:43:55
後藤先生、こんばんは。夢野久作を彷彿させる様な創作ですね。ラジオ放送待ってます。
おありがとうございます (ごとう)
2013-07-22 21:00:32
おありがとうございます。
放送も先日youtubeにさせていただきました。
いらいらしてわめき散らすチンパンジーの鳴き声の様な放送です。
お暇ならお聴き下さい。

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