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What a wonderful day !

日々の感動を綴った記録です。
自作スピーカや、自然農法などにも興味があります。

ダイアトーン DS-66EXのレストア(12) 最終回 <ネットワークの最適化>

2023-04-30 09:33:00 | 往年の銘スピーカのレストア
<ネットワークの最適化>
レストアしたDS-66EXのネットワークを最適化したら、音圧周波数特性がどうなるかを検討してみました。

エンクロージャーにウーハー、ミッドレンジ、ツイーターの各ユニットを取付けて、ネットワークの無い状態で Far field特性 を測定しました。測定基準軸(design axis) は、ツイーターとミッドレンジの中点の軸上で、前方60cmとしました。なお、ウーハー特性はNear field特性を4π空間に変換して、350HzでFar field特性 とマージしています。得られた各ユニットの周波数特性を示します。

各ユニットの音圧レベルはほぼ同じで、殆ど差があまりません。

ウーハー、ミッドレンジ、ツイーターの各ユニットに対してネットワーク設計を行いました。クロスオーバー周波数は、オリジナルと同じ700Hzと5000Hzとし、アコースティックスロープは4次のLinkwitz-Riley型(LR4)としました。
シミュレーションで得られた総合周波数特性を示します。

比較的フラットな周波数特性が得られました。
このときのネットワークを示します。

位相の整合性を見るために、Reverse nullを確認したところ、対象的な深いディップが得られました。

今回、シミュレーションによってネットワークの最適化を行ったところ、周波数特性は下図のようでした。

元々付いているネットワークと比べると、
① 再生周波数帯域は、60Hz〜20kHz(±3dB)程度で余り変わらない、
②数百Hz付近の音圧低下も変わらない、
③数千Hz近傍での音圧レベルは平坦になり、音圧低下は解消されている、
ことが分かります。

既存のネットワークに比べると、音圧特性はかなりフラットになっている印象はありますが、費用対効果を考えると躊躇してしまいます。暫くはネットワークはそのままにして、本来の音を取り戻したDS-66EXで音楽を楽しもうと思います。
<完>

ダイアトーン DS-66EXのレストア(11) レストア後の総合特性編(2)

2023-04-08 06:09:00 | 往年の銘スピーカのレストア
レストア後の総合特性編(2)
<最終総合特性>
スピーカの最終的な総合特性は、 ツイーターとミッドレンジの中点の軸上60cmでのFar field特性と、バッフルステップを考慮して4π空間に変換したNear field特性とを350Hzでマージして表示しました。

数百Hz近傍、及び数千Hz近傍で2〜5dB程度の音圧低下が見られるものの、思っていたよりはずっと平坦な周波数特性が得られました。
最終的な再生周波数帯域は、
60Hz〜20kHz(±3dB)、
40Hz〜20kHz(±10dB)
となりました。
姉妹機のDS-77EXでは、公表されているの音圧周波数特性から、55Hz〜20kHz(±3dB)、40Hz〜20kHz(±10dB)程度と推察されます。従って、今回のレストアしたDS-66EXの周波数特性は妥当のように思います。

DS-66EXの真価を実感するには”音量を出せる空間”が必要かとは思いますが、しばらくは、お気に入りのバッハ、モーツァルトなどのクラッシックを中心に楽しんでみたいと思います。

>>続く
DS-66EXのネットワークを最適化したらどうなる?

★ユニットプランジの手入★
所有するDS-66EXのエンクロージャーは比較的きれいですが、アルミダイキャスト製のウーハー、ミッドレンジ、ツイーターの取付フランジは、サビが出て見苦しい感じです。研磨剤の入ったコンパウンドで擦っても取れません。そこで、思い切って耐水ペーパーでサビを取ることにしました。
①#1200の耐水ペーパーで、水を付けながらサビが削れて無くなるまで気長に磨く。
②耐水ペーパーの傷が残るので、ピカールラビングコンパウンドを布につけて磨く。
③最後に、ピカールネオで仕上げ磨きをする。
こうすると、光の反射によっては磨き傷は多少残りますが、見違えるように綺麗になりました。各ユニットをエンクロージャーに取り付けると、遠目で見るせいか更に綺麗に見えます。プランジが輝いて新品のスピーカのようになりました。


ダイアトーン DS-66EXのレストア(10) レストア後の総合特性編(1)

2023-04-06 13:18:00 | 往年の銘スピーカのレストア
レストア後の総合特性編(1)

エッジの柔軟化を主体としたウーハーとミッドレンジ、ツイーターに対する初期特性の回復の試みは、一通り終了しました。そこで、元の密閉型エンクロージャーに各ユニットを戻して周波数特性を測定してみました。ネットワークはそのまま使用しています。

はじめにインピーダンスの周波数特性を示します。

レストア前に比べると、ウーハーによるピークが、102Hzから56Hzへと大幅に低くなっていることが分かります。レストア後のスピーカシステムの共振先鋭度Qtc は、Qtc=0.78でした。密閉型エンクロージャーでは、通常周波数特性が最大平坦となるQtc=0.707程度で設計することが多いようですが、10%程度大きな値になっていました。ツイーターによるピークは素直な山形ですが、ミッドレンジによるインピーダンスピークピークは少しイビツな形状でした。

出力音圧レベル(SPL)の周波数特性を示します。

黒線で示したレストア前の周波数特性は、ツイーター軸上を測定基準軸(design axis) として、前方30cmでの測定です。青緑色の曲線は、レストア後に同じ位置関係で測定した結果です。
①エッジの軟化によって低音域が広がっていること、
②3700Hz近傍の鋭いディップがやや小さくなっていること、が分かります。
3700Hz近傍のディップが気になるので、測定基準軸をツイーター軸上から、ミッドレンジとツイーターの中点の軸上、30cmに変更してみました。赤線で示すように、3700Hz近傍のディップは更に小さくなり、500Hz以下の中低音域での5dB位の音圧低下も解消傾向にあります。このことから、DS-66EXのdesign axis(聴取位置)はツイーターとミッドレンジの中間くらいの位置に設定して、ネットワークが設計されているように思います。当初、先入観からdesign axisをツイーター軸上に取りましたが、間違いだったようです。当時の別売スピーカスタンドの高さは20cmなので、リスニング位置としては床から60〜70cmになります。床或いは畳に座って聴くことを想定していたのでしょうか??
>> 最終総合特性に続く 

ダイアトーン DS-66EXのレストア(9) ツイーター編

2023-04-05 12:53:00 | 往年の銘スピーカのレストア

<ツイーターの調査>

エンクロージャー から取り出したツイーターの画像です。金属ネットは外してあります。



ツイーターの振動板には、比弾性率の大きなドーム型チタン金属が採用されています。この振動板を覆うように、頑丈な金属カバーがネジ止めされた構造になっています。この独特の構造は、薄くて脆いチタン金属を保護する目的のようですが、こんなにシッカリ金属に覆われていて、キチンと音が出るものなのでしょうか?

ツイーターのインピーダンス特性を示します。共振周波数fsは3100Hzでした。


ネットワークを付けずにユニット軸上30cmでのSPL(出力音圧)の周波数特性を測定してみました。

振動板が頑丈な金属カバーに覆われていても音は出ています。 5000Hzより低い周波数では、音圧が大きく低下しています。

>> レストア後の総合特性編に続く


ダイアトーン DS-66EXのレストア(8) ミッドレンジ編(2) <ミッドレンジユニットのエッジ軟化>

2023-04-03 06:16:00 | 往年の銘スピーカのレストア
<ミッドレンジユニットのエッジ軟化>
溶剤系のダンピング材で接着した積層クロスであれば、カチカチのエッジの柔軟性は、ウーハーで使用した「軟化剤」で回復できるように思います。そこで、「軟化剤」を試してみました。エッジ幅 は5mmと狭いので、はみ出さないように塗りました。
インピーダンス変化を示します。

塗布一日後には、メインの振動系の共振周波数fsは389Hzに下がり、「軟化剤」の効果が認められました。そこで、「軟化剤」の塗布を3回行い、最終的にはfs=361Hzとなりました。なお、第ニ振動系では、共振周波数は変化せずインピーダンスは相対的に小さくなりました。
ネットワークを付けずにユニット軸上30cmでのSPL(出力音圧)の周波数特性を測定してみました。500Hzより低い周波数では、音圧が大きく低下しています。

「軟化剤」を塗布することにより、カチカチだった振動板は、エッジが細いこともあり大きくはありませんが、やや動くようになりました。今回のエッジの軟化処理によって、本来のユニット特性にだいぶ近づいたように思います。
>>ツイーター編に続く