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What a wonderful day !

日々の感動を綴った記録です。
自作スピーカや、自然農法などにも興味があります。

TV用サウンドプレートの作製(その5、最終回)

2024-04-21 07:12:00 | 自作スピーカたち
6️⃣TV視聴位置でのサウンドプレートの周波数特性
これまでSPLの測定は、便宜上ツイータ軸上30cmの距離で行いましたが、通常のリスニング位置に近い100cmでのSPL周波数特性を確認しておきます。


図9 リスニング位置でのSPL周波数特性

100cmでのSPL周波数特性を、図8の30cm離れた場合と比較すると、多少の違いはありますが、挙動は概ね類似しています。

TVを視聴する通常の位置では、サウンドプレートからの角度は15°程度なので、再生周波数は、±3dBで80Hz〜20kHz程度になっています。TVの音質改善は大いに期待できそうです。

7️⃣まとめ
作製したサウンドプレートを早速設置してみました。図10はその様子です。なかなか高級感があり、部屋の雰囲気にもマッチしています。


図10 TVの下に設置 した自作サウンドプレート

TVのヘッドホン端子から音声信号をとり、FOSTEXのミニアンプAP05を介してサウンドプレートの左右チャンネル端子に接続しました。5W+5Wのアンプですが音量は充分で、自動スタンバイ機能があるので便利です。

これまでのTV音声は、中低音が貧弱で高音が耳につきましたが、大幅に改善されました。全体的にはマイルドな音質で、人の声は聞き取りやすく、低音と高音のバランスも良い印象です。
これまで以上に、音楽番組などを楽しめそうです。

〈終わり〉

TV用サウンドプレートの作製(その4)

2024-04-19 11:52:00 | 自作スピーカたち
5️⃣ ツイータを追加したサウンドプレートの周波数特性

当初の構想では、P650Kの高音域を改善するために、本格的な2wayにしようと思っていました。作製したP650K単独のSPL周波数特性をみると概ねフラットなので、P650Kはスルーとして、ツイータだけにハイパスフィルタ(HPF)を入れた簡易なネットワークにしようと思います。

用いたツイータの主な仕様は、
形式:20mmシルクドームツィーター(ネオジウム磁石)
インピーダンス:6Ω
最低共振周波数:2000Hz
再生周波数帯域:fo~>20kHz
出力音圧レベル:〜87dB/W(m)
入力:30W
です。

図6は、ツイータをケーブル端子に直付けしたときのSPL特性とインピーダンス特性です。P650KのSPL特性も併せて示します。ノーブランド品ですが、良好な特性です。


図6ツイータとP650Kの単独での直付SPL特性とツイータのインピーダンス

ツイータに用いるHPFは、6dB/oct と12dB/oct の2種類を試しました。
Case1 (6dB/oct); ツイータに直列に1μFフィルムコンデンサを接続し、アンプに対してツイータ を逆接続。
Case2 (12dB/oct);  ツイータに直列に 1μFフィルムコンデンサ、並列に 0.047mHコイルを接続して、アンプに対してツイータ を正接続。

ツイータに、Case1 (6dB/oct) とCase2(12dB/oct)のHPFを接続したときのSPL周波数特性変化を図7に示します。なお、P650Kは、何れの場合もケーブル端子に直付の正接続です。


図7  ツイータに6dB/oct、並びに12dB/octのHPFを接続したときのSPL周波数特性

6dB/oct のフィルタの場合には、図6で示したツイータのSPLが大きい1.5kHz以上の周波数で、ツイータ無しに比べると、SPLが2〜4dB程度増加しています。これは、①HPFでの減衰が小さい、②6dB/oct フィルタのシミュレーションによると、1.5〜15kHzの範囲でP650Kとツイータは同位相になる、ためです。なお、15〜18kHzでは逆位相、18〜20kHzでは同位相と変化します。

一方、12dB/oct のフィルタの場合には、8kHz以上でほぼ同位相になります。この場合、フィルタでの減衰が大きいために、12kHz以下の周波数では殆どSPLへの影響は無く、12kHz以上の周波数でSPLの低下を補っています。

6dB/octと12dB/octのどちらのフィルタが良いのか、少し悩みましたが、6dB/octフィルタを採用しました。分割振動の影響でSPLが低下する3.5〜10kHzでの音圧低下を補えるからです。

6dB/octフィルタでの、ツイータ軸からの角度、0°、15°、30° でのSPLの周波数特性とインピーダンス特性を図8に示します。ツイータ軸からの角度によるSPLの大幅な低下は見られません。


図8  ツイータ軸外角度、0°、15°、30° でのSPLの周波数特性(6dB/oct HPF)とインピーダンス特性

図5に示したツイータ無しの単独のP650Kの特性と比較すると、高音域でのSPLの極端な低下は無く、リスニング角度による音圧変化が少ないことが分かります。

ツイータにコンデンサ1個だけ付けた簡単なネットワークですが、高音域での周波数特性を大きく改善できました。
〈続く〉


TV用サウンドプレートの作製(その2)

2024-04-13 06:40:00 | 自作スピーカたち
3️⃣ サウンドプレートの製作
スピーカボックスの材料には、コンクリート型枠材であるコンパネ材を使用しました。この材料は、価格がリーズナブルなだけでなく、シナ合板やランバーコアよりも高密度でエンクロージャー材として優れているように思います。また、板の表面は綺麗なので、合板の木目を活かした塗装もできます。
板厚12mmのコンバネ材から、所定サイズの板を切出し、背面板以外を接着してエンクロージャーを作りました。背面板は、調整、メンテナンスのために、ネジ止めにして脱着できるようにしました。

水性オイルステインのマホガニーを塗った後、ツヤあり透明ニスを4回塗ってエンクロージャーを完成させました。ニス塗装前に比べるとピカピカになり、高級感が出ました。

塗装後、スピーカボックスのバッフル板には、スピーカユニットP650K、ツイータ、ダクト2本を、また背面板には、ケーブル端子を取り付けました。図3に、完成したTV用サウンドプレートの外観を示します。

図3 完成したサウンドプレート(上:表面、下:裏面)

〈続く〉

TV用サウンドプレートの作製(その1)

2024-04-11 13:28:00 | 自作スピーカたち
我家の42型のTVは、中低音が貧弱で高音が耳につきます。そこで、TV専用のスピーカを製作することにしました。
TVは自作のTV台の上に載せてありますが、場所が狭いのでスピーカの置き場所は限られます。市販のサウンドバーであればTV台の上に置けますが、改善したい低音はあまり期待できそうにありません。

1️⃣ TV専用スピーカの構想
そこで、サウンドバーほどの高さで、奥行を広くとったスピーカを作製しようと思います。「サウンドプレート」とでも呼ぶのでしょうか。
イメージとしては、図1のように現状のTV台の上に、自作する左右チャンネルのサウンドプレートを並べて載せ、その上にTVを置こうと思います。


図1 自作するサウンドプレート(茶色)の設置イメージ

2️⃣ サウンドプレートの設計
高さは10cm以下にはしたいので、スピーカユニットはFOSTEXのP650Kを使用することにしました。振動板の直径は5.2cm、最低共振周波数は157Hzのユニットです。このサイズのユニットになると低音域はかなり制限されてしまいますが、高さとの兼ね合いで選択しました。

スピーカタイプとしては、ダブルバスレフ(DBR)型を採用しました。外形サイズは、83Hx440Wx280D(使用状態)、板厚は12mmです。ダブルバスレフを採用した大きな理由は、側板が大きいので、第一キャビネットと第二キャビネットの仕切板を側面の補強材として利用するためです。
SPL周波数特性が出来るだけ平坦になるように、シミュレーションソフトを用いて検討しました。第一キャビネットを2.4L、第二キャビネットを3.4L程度として、第一ダクト、第二ダクトの寸法を決定しました。


図2 シミュレーションによる周波数特性

低音域は90Hz程度から再現できるので、現状のTV音声に比べて、ある程度の音質改善は期待できそうです。なお、第二ダクトは、一本だけだと面積が取れないのでダブルダクトにしました。また、P650Kの高音域特性を改善するために、ツイータを追加して2wayスピーカにします。
〈続く〉

★製作したBLHの最終評価★ 3インチユニットを用いたバックロードホーンBLH-PL-lineの製作〈その9〉

2023-12-25 10:05:00 | 自作スピーカたち

ユニット軸上100cmでの1/3oct smoothing での最終的な SPL周波数特性及びインピーダンス特性を示します。


〈ユニット軸上100cmでの1/3oct smoothing でのSPL周波数特性、並びにインピーダンス特性〉

当初のシミュレーションから予測されたSPL特性と比較すると、最低音域の肩特性以外は、ほぼシミュレーション通りになっています。

200Hz近傍の14dB程度の深いディップ が気になりますが、シミュレーションからも予想されていたものです。これは、今回のパラボリック音道に固有のものではなく、程度の違いはありますが、特に小型のバックロードホーンでは付き纏う特性のようです。FOSTEXのバックロードホーンの作例でも、しばしば見受けられます。

また、3〜8kHzでの幅広いディップも少し気になりますが、これはある意味、スピーカユニット PM-M0841CKの個性かと思います。この周波数帯域では、スピーカユニットの振動板とエッジが逆共振して、発生する音を打ち消し合っているようです。

160〜240Hzでのディップを除けば、 60〜20kHzの周波数範囲でのSPLの変動は、±5dB 程度には納まっています。

実際に音楽を聴いてみると、吸音材のない時に気になった共鳴ピークによるホーン的な響きは全くありません。また、キンキンする音は無く、人の声も自然で、聴きやすい音質です。60Hz程度からの低音の下支えがあるためか、音の広がりや、スケール感さえも感じられます。
ベートーヴェンの交響曲を聴くと、その雄大さが実感出来ました。また、ジャズを聴いても全く不満がありません。

3インチスピーカ、侮る無かれ!

<終わり>

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<補足>
測定データを元に、ユニットと開口部の位相変化 に注目して、200Hz近傍でのディップの生成について考えてみました。


〈ユニットと開口部の位相変化による200Hz近傍でのディップの生成〉

ユニットと開口部からの音の位相を調べると、ユニットの位相は、基音70Hz以下の低周波数から6倍音の450Hz付近まで変わりません。一方、開口部からの位相は、ユニットの位相に対して、基音より低い周波数では逆相、基音から2倍音の150Hz付近までは同相ですが、150Hz付近から4倍音の260Hz付近までは再び逆相になります。このため、基音70Hz以下の周波数でのSPLの低下、更には、2倍音と4倍音の間の200Hz近傍で大きなデップが生じることになります。
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