漢方医薬学を勉強して60年の翁の肩の凝らない漢方の話

漢方薬にまつわるあれこれを、気の向いた順に語っていきます。

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重要な生薬 生姜

2020-09-03 14:06:52 | 薬食同源
★薬食同源★ 胃腸を丈夫にし、風邪をぶっ飛ばせ!生姜のききめ。
生姜はショウガ科のショウガの根茎を使います。香辛料として有名ですが、漢方薬としても重要な薬物です。
霜の降りる頃地上部が黄褐色に為ったころ掘り起こしたものが「ひね生姜」です。これが漢方薬の生姜(しょうきょう)です、保存ため刻んで乾燥したものは乾生姜です、普通はこちらを使用します。生のままを使うのは真武湯など特殊な薬方です。
皮を剥いて湯通しして乾燥させたものが乾姜(かんきょう)です。生姜は鎮嘔、健胃の働きが強く、乾姜は胃腸を温める力が強く、冷え、下痢、嘔吐などに使います。
李杲(中国の金の時代の人1180~1251)が著した「食物本草」によれば、「生姜の味は辛くまた甘く、性質は少し温である。皮を去ったものは熱である。寒邪による発熱、頭痛、鼻詰り、咳、のぼせに働く。肺に入り、胃のつかえをなくし、脾(消化吸収をする働き)の働きを益す。風寒の邪による咳をなくし、嘔吐を止める特効薬である。心の働きをたかめ、穢れや邪気を除く。病気のない人は夜間に食べてはいけない。夜には気は静なのが良いが、薑は良く気を動かすからである。」と書かれています。
胃腸の働きを益し、消化を良くし、風邪の咳、嘔吐を止める作用があります。
「生姜湯に顔しかめけり風邪の神」(虚子)
おろし生姜に砂糖、蜂蜜を加えて熱湯を加えたものが生姜湯です、風邪のひき始めに服用すると効果的です。
また胃を温める働きが有るので「胃腸の弱い冷え症」の人は常食すると良いでしょう。スライスした新生姜を蜂蜜につけておいて、食後に食すると良いと云われています。前記の「食物本草」にあるように、冷えていない元気な人が夜寝るまえに食すると身体に熱が籠って眠れなくなることがあります。
咳には生姜と陳皮(蜜柑の皮)各5g位を煎じて砂糖か蜂蜜を加えて飲むと良いでしょう。痰の多い咳には、生姜を黒く焼いて刻み、蜂蜜を加え熱湯を注いで飲みます。
スライスした生姜を黒く焼いて、口に咥えているだけで「つわり」が治まります。
風邪の熱にはおろした生姜と刻みネギに熱湯を注いで飲用すると汗が出て解熱します。葱たっぷり載せて生姜汁を絞り込んだうどんは風邪の特効薬と云われています。
生姜は葛根湯、桂枝湯、桂枝加芍薬湯、小柴胡湯、柴胡桂枝湯、などに大棗、甘草などと一緒に配合されています。漢方薬には無くてはならない生薬です。
乾姜はお腹を温めるために使います。下利に使われる人参湯、四逆湯、お腹が冷えて起きる片頭痛、強い嘔吐に使う呉茱萸湯、指先まで冷えがおよんで紫色になるレーノー病に通脈四逆湯。風邪のこじれによく使われる柴胡桂枝乾姜湯など多くの薬方に配合されています。ショウガがこの世になければ漢方医学はどうなっていたか想像できません。
 田植えの頃になると葉生姜はじかみが出回ります。そのかたちから矢生姜と書くそうです。
「はじかみの薄紅みゆる厨かな」(青青)とか「一束の葉生姜ひたす野川哉」(子規)と読まれています。
 焼き魚などに添えられて美味しくいただくことができます。
私には判りませんがお酒呑みにははじかみががあるとお酒を思うようです、「葉生姜や手に取るからに酒の事」(白雄)
 などと云われています。
 はじかみだから、端っこだけかじるのがマナーだと云う人が居ますが、薄紅色の茎の硬い所を残して白い生姜の部分をしっかり食べてください。
 
 先日の新聞にこの夏の天気のグラフが掲載されていました。雨の日が2日、曇りが9日、晴が32日だったそうで酷暑の夏だったことがはっきりしました。
 夏の暑さと熱中症対策で冷たい物を飲んだりして胃腸も酷使されています。まだまだ暑い日が続きそうです。ショウガを上手に使って胃腸を守り、免疫力を上げていってください。
 冷や麦に生姜、冷奴に生姜まだまだいけそうですね。


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暑気ばらい

2020-07-14 18:17:49 | 薬食同源
梅雨が明けて本格的な夏になりました。
熱中症厳重警戒とか、熱中症指数が予報されるようになりました。
 日本の夏は高温多湿で中国の揚子江以南のような気候と言われています。
今年はこれに加えて新型コロナウィルス騒ぎです、テレビではエアコンを上手く使って熱中症対策をと云い、コロナ対策では、エアコンは密閉に繫がるのでなるべく使用せず、窓を開けて風通しを良くして、と云っています。どちらを優先しましょう?
 とりあえず熱中症対策としては。
山嵐=山に発生する悪い気 瘴気=湖沼地帯に発生する悪い気が体に侵入していろいろ悪さをするそうです
 湿気、暑気、熱気などや、ノロウィルス、ジカ熱のウィルス、日本脳炎ウィルス、新型コロナウィルスなどがそれにあたるようです。
 湿気がからだの中に入り込むと、体の節々が痛むリウマチや、水分の調節が上手くいかない為の吐き下しを起こしたりします。暑気や熱気にやられるといわゆる熱中症になります。
 また暑気にやられて水を飲み過ぎると胃酸が薄まり感染症にやられやすいとも言われています。
 熱中症は高温の環境に居ることによって、体内の水分やナトリウムなどのミネラルのバランスが崩れたり、体内の調節機能が衰えたりして起こる障害です。
 そうなるキッカケは大量の発汗です。
 夏の日本に住んでいる以上この高温多湿による危険性は覚悟して如何にこれを避けるかです。
マスクの使用も水分不足を判りにくくするようです。
コロナ対策と熱中症対策ではマスクについても正反対です。どちらを優先するか各自で判断しなくてはなりません。
 次のような症状が出たら熱中症にかかっている危険性があります。
①めまい・たちくらみや顔のほてり、一時的に意識が遠のいたり、腹痛がでることもあります。
②筋肉痛や筋肉の痙攣、手足の筋肉がつる、筋肉がピクピクと痙攣する、筋肉が硬くなることもあります。
③身体がだるく力が入らない、吐き気やおう吐、頭痛などを伴うこともあります。
④汗のかき方がおかしい。汗が噴き出るようにでる、反対にまったく汗をかいていないなど、汗のかき方に異常が有る場合は熱中症にかかっている危険性があります。
⑤体温が高く皮膚を触るととても熱い、皮膚が赤く乾いているなども熱中症のサインです。
⑥呼びかけに反応しなかったり、おかしな返答をする場合。身体がひきつけを起して真っすぐ歩けないなどの異常があるときは重度の熱中症です。すぐ医療機関を受診しましょう。
⑦呼びかけに反応しない、自分で水分補給が出来ない場合は大変危険な状態です。むりやり口から水分を飲
ませることは止めて、医療機関を受診しましょう。
 医療機関に受診するまでに応急処置として必要なポイントは次のようなことです。
①涼しい場所に移動します。クラーの効いた部屋や車中。風通しのよい日陰に移動します。
②衣服を緩め、風通しをよくして身体の熱を放出します。保冷剤などで、首の両側、腋の下、足の付け根など太い血管が通っている所を冷やします。皮膚に水をかけて風を送ることでも身体を冷やすことが出来ます。
③塩分や水分を補給しましょう。水分と塩分を同時に補給できるスポーツドリンクなどを飲ませると良いでしょう。嘔吐の症状が出たり、意識の無い場合、水が飲めない状態のときは、むりやり飲ませず医療機関に水分補給もお願いしましょう。
子どもは体温調節能力が未熟です、汗びっしょりかいていても遊びに夢中になって脱水症状を起こし易いので要注意です。
 高齢者は温度の変化が判りにくいし、咽喉の渇きが判りにくく、筋肉量が少ないため体内水分が少なく脱水症状になりやすいのと、小便が近くなるので水分を取るのを躊躇する人が多いので要注意です。
 上手に水分を補給してこの酷暑を乗り切ってください。
 漢方薬には暑気を冷まして元気を益すと云う薬方「清暑益気湯」が有ります。上手く使えば暑気を乗り越えられます。相談ください。


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梅雨に似合うアジサイ

2020-06-15 14:18:04 | 薬食同源
★薬食同源★ 紫陽花
 ◆紫陽花◆ マラリアの解熱剤?
 梅雨に入り、雨に濡れて生き生きしているのがアジサイです。園芸品種が多くて色とりどりのアジサイが花屋の店頭に並んでいます。
 本州関東南部、伊豆半島、伊豆諸島の暖かい海岸近くに自生するユキノシタ科の落葉低木のガクアジサイが原種です。シーボルトの「日本植物誌」で欧米に紹介され、その原種から品種改良された様々な園芸品種が逆輸入されてきた変わり種です。今では日本でも品種改良されて毎年数種の新品種が販売されているようです。
 花のように見えるのは萼片で花はその真ん中に小さく咲いています。
 コロナと梅雨で気鬱になりがちな気分を少しは明るくしてくれているようです。
「紫陽花や藪を小庭の別座敷」(松尾芭蕉)
「傘重し紫陽花どきの出歩きに」(遠藤正年)などと先人も詠じています。
 薬用としては瘧(おこり)と云われたマラリアに応用されたようです。葉又は花10gを煎じて滓を濾し、一晩夜露に当ててから服用します。服用すると吐いた
り下したりしますが治癒するそうです。生薬としては劇薬的です。服用には注意が必要です。戦後南方から復員して来た人たちが随分マラリアで苦しんだ時キニーネの代用として使われたようです。
 ちなみにお釈迦様の誕生日の「花祭り」「灌仏会」でお釈迦様に濯ぐ甘茶はアジサイの仲間のアマチャから作られます。
 9月中旬に葉を採取して天日で干して乾燥させ、これに水を加えて湿らすか、一晩水に漬けて置いたものを手で揉んで青汁を絞り出した葉を乾燥させたものが甘茶です。仏様に濯ぐだけでなく、免疫力を高め健康を増進すると皆が戴いたようです。
甘茶にする過程で発酵が進んで甘味成分の「d―フィロズルチン」の含量が多くなるようです。ショ糖の千倍の甘さがあるので、糖尿病の人の甘味料として応用されます。また醤油、歯磨きなどの甘味料として、小児用の薬剤の矯味料として添加されています。
ズルチンはサッカリンなどと戦後砂糖の代りに良く使われていました、私も食べたことがありますが美味しくは無かったです。
民間では乾燥した葉を解熱薬として使っていたようです。中国ではアジサイと同じくマラリアの解熱に使われていたようです。
ただ紫陽花は花を、甘茶は花祭りの飲み物として愛でているのが無難ですね。
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桜のきせつです

2020-04-01 11:21:56 | 薬食同源
◆さくら◆ 古来花と云えば梅と桜でした。
 何時からか、梅と云えば実、桜と云えば花になってしまいました。梅の花は梅花、桜の実はさくらんぼ(桜のぼぼ)と多分桜の代表の「そめいよしの」は実生では繁殖しないためと、パット咲いてパット散る桜は日本人の感覚に合っていたからでしょうか。日本には約30種の桜の品種があります。薬用にするのは山桜系統のものが多いようです。
桜の樹皮は薬用として応用されます。
「あす来たらぶてと桜の皮をなめ」と云う古川柳があります。初鰹なのに古い物を売りつけられて下痢して桜の皮を嘗めている情景だそうです。食中毒、下痢の薬として江戸時代には民間的に使われていたようです。
 有名な華岡青洲も桜皮を煎じて飲めば食中毒、食傷、痢疾に効果が有ると述べています。
 また桜皮に殺菌作用のある成分が含まれていて、おできや蕁麻疹に煎じて飲むと良いそうです。
 かなり広く使われていたようで、一茶は「山桜皮を剥がれて咲にけり」と呼んでいます。
 樹皮から生成した「ブロチン」は鎮咳去痰薬として知られています。
 青洲の創生した「十味敗毒湯」は桜皮に柴胡、茯苓などの生薬を配合していて、化膿性疾患、蕁麻疹などに使われています。
 「桜湯に部屋の空気が虹になる」とか「飲みのこす湯に桜漬ひらきけり」とほのぼのし
た句があるように。桜の花弁を塩漬
けにした物にお湯を差して桜湯とし
て、結婚式などのおめでたい席に提
供されていました。この桜湯は二日酔いにも効果が有ると云います。
 この桜の季節出てくる和菓子に桜餅が有ります。お餅に塩漬けにした桜の葉を巻いたものです。
江戸時代に長命寺の門前で振舞われたのが始まりと聞いています。一種独特の香味があって春を感じさせるお菓子です。この香味は桜の葉に含まれるクマリンと云う殺菌成分によるものです。成分は知らなくても、餅を長持ちさせる効果は判っていたようです。
 桜餅には関東風の長命寺と関西風の道明寺が有ります。餅の原料が違うそうです。長命寺は小麦粉、道明寺は道明寺粉(干飯を粉にした物)だそうです。
 さて皆さんは桜餅の葉は食べますか?食べませんか?塩はゆくて美味しいとゆう人、モソモソして食べれないと云う人さまざまですね、私は歯にこまるので太い葉脈だけ外して食べています。
 桜餅の葉は山桜のものが多いそうです。
「葉桜も見事なるらん吉野山」濡遺文前に読んだ拙句です。
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秋の味覚 栗

2019-10-29 13:16:30 | 薬食同源
 ◆庶民的な秋の味覚◆
  秋の味覚のうち、松茸は高根の花ですが、栗なら手が届きそうです。
美味しい栗金団を求めて中津川へ走る季節になりました。私の好きな栗菓子は干し柿の中に栗金団を詰めたものです。ちょいと贅沢でこの秋はまだ口に入っていません。
 クリ=ブナ科の落葉性高木で、日本と朝鮮半島に分布しています。6月頃黄白色の細長い花穂が垂れてきて開花すると独特の臭いがします。臭いだけで栗の木が在るのが判ります。花穂の基部の方にある雌花の総苞片が毬(いが)になって栗の実を包みます。
 実にはビタミンCやβカロチン、などのビタミン類、タンニン、カリウムなどが豊富です。
 ビタミン類は免疫機能を高め風邪などの感染症を予防し美肌を作るとされています。肌が乾燥しやすいこれからの季節に出て来る栗の実は実にタイミングが良い食べ物です。
 タンニンやカリウムは動脈硬化を予防し、高血圧症を改善します。
 乳腺炎や乳首の傷に生の実をすりつぶしてつけると良いと言われています。乾栗を粉にして水で練ってつけても良いようです。
 栗の葉にはタンニンが多く含まれていて、うるしカブレや、アセモ、アトピーの痒み止めに、煎じた液で洗います。
 樹皮や毬も葉と同じように痒み止めに使います。
 葉は成分の充実しいる夏の間に採取して陰干しにしておきます。
 毬の黒焼きをゴマ油でつけると毛はえ薬になります。髪が黒々と濃くなり、抜け毛も少なくなるそうです。
 空き缶のふたのあるものに毬を入れ、火の上に置き、黒土のように黒こげになったら降ろし、冷めてから粉にします。毬10個分の黒焼きにゴマ油180ccで練っておきます。1回に茶さじ1杯くらいづつ、1日2~3回地肌に擦り込むと良いそうです。
 熱病などで頭髪の抜けた人にも良いそうです。抗がん剤での抜け毛にも良いのかも。
 実の黒焼きはゴマ油で練って火傷の薬にしたり、馬の噛み傷に良いとされますが、噛まれる程馬の近くに寄る機会が無い私たちには無用かも知れません。
 それよりも、今から出回る美味しい栗のお菓子や栗ご飯で思いっきり賞味したいものです。勿論血糖値や体重に気を配りながらですが。
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