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物書きひとすじ!時には寄り道、迷ったり、直進したりして、人生は面倒で悲しく楽しくて。

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ海を眺めて哲学者にはなれないのですが、いつも物を考えていますよ。

月の沙漠の子ガメを守る

2020-04-25 13:13:07 | 小説・童話
 その夜、久ちゃんは教室に帰って来ないひかりちゃんを心配してベッドに入りました。うとうとしてると、クローバーの首飾りを下げたひかりちゃんが、にっこりほほ笑んでいました。
「あら、ひかりちゃん、どこにいたの」
「わたしは、ひろういお空を飛んでいましたよ。毎日、おじいさまにお知らせしないといけませんから」
「おじいさまは、どこにいらっしゃるの」
「とても遠い光の国にいます。そこは、しわわせ一ぱいの国です。私のおじいさまは、ひかりの国の王様です」
「それでは、ひかりちゃんは王女様なの。パパやママはそこにいるの」
にっこりうなずくと、ふしぎなお話をするのでした。
「おじいさまは、この世の平和をいつも考えています。今は地球の生き物のしあわせも心配しているのです。私が久ちゃんと知り合いになったのもおじい様の命令なのです。
 月のよい夜にキラキラと光っている砂浜を見たことがあるだろう。ラクダの金と銀のくらに乗って王子と王女が旅をする月の沙漠という歌もある。わしのかわいがっているカメたちは、あの美しい浜辺に卵を産んでいるのだが、浜が人間に荒らされてしまうので子どもが育たないようじゃ。ひかりよ、その浜辺に行ってしらべて来なさい、と言われて、この浜辺に来たのです」
久ちゃんもカメの産卵場所が、九十九里浜にあることを知っていましたが、その浜が荒らされてしまっていることは初めて知りました。
「それでおじい様には、どう報告したのですか」
「ええ、朝早くからカメの卵を守る浜のグループががんばっていますから毎年かわいい子ガメがたくさん産まれて海にかえっていきます」
久ちゃんは、安心しました。