Seriously?

ひとりごとです

映画 ◼️◼️せかいのおきく◼️◼️

2023年05月02日 | 映画
予告編見て面白そうだったので
レビューが高いかどうかも
チェックせずに
勢いで見に行った
 
 

映画 ◼️◼️せかいのおきく◼️◼️

 
⭐︎
 
私がこの映画の
言わんとするところを
ちゃんと受け止めたかどうか
自信がなくて⭐︎一つ欠けてる
 
なんだこりゃ?
と腑に落ちない人
金返せと怒る人もいるのでは…
「これで終わり?」
と意外に思う終わりだった
 
 
排泄物がずっと出てくるのだけど
モノクロ映画なので
いい感じに汚さや嫌悪感は
ぼかされていた
(受け止め方は人それぞれ
私はそんなに気持ち悪くはなかった)
 
そんな
汚ったなーい
臭ーい世界なのだが
嫌悪感は全然感じないのだ
 
食べたら出す
その自然の摂理の結果溜まっていく
排泄物を集めて買い取り
農家に肥料として売る
みんなに疎まれる仕事をしている
江戸時代の
若者達にとても好感を持った
 
 
それから黒木華という役者さん
今時の日本人の
可愛い顔、綺麗な顔とは全く違う
カラコンもアイプチも
まつエクもしていないのに
目力があって
印象に残る美しい顔をしている
 
盛らなくていいのだ
そのままが素敵
 
画一化されたモテ顔を
みんなが必死に追いかけている結果
彼女のような日本人らしい顔の
美しさが
逆に印象的になっている
 
 
ネタバレ感想
 
おきくさんのお父さんが
殺されてしまった経緯は
よく分からなかった
 
 
不潔で貧しくて
スマホはおろかTVもない時代
でもなんだか
「いいなあ」と思える世界だった
 
 
お父さんが亡くなって
おきくが若いのに
一人暮らししなくては
いけなくなったけど
入り口は
鍵もかからない障子張りの引き戸
危なっかしい
今では信じられないけど
地域コミュニティーが
しっかりしてて
みんなお互いのことをよく知ってて
みんなで警戒したり
困った時には
助け合ったりしているから
鍵などなくても安全なのだ
 
今なんて
窓に3つずつ鍵かけて
シャッター閉めて
まだ心配というね…
 
でも
 
現代は地域コミュニティの
防犯体制を無くしてしまったけど
その代わり得られた
誰にも踏み込まれない
プライベートな空間を
私は愛おしく心地よく感じるかな…
 
 
それから何より
江戸時代のトイレには
絶対戻れない
 
私は公園や駅のトイレなんかも
苦手で
水回り綺麗でないと
落ち着かない
だから今流行りのキャンプなんかも
ダメなんだなあ
 
自分が出したもの
自分で処理しなくていい
今の時代は素晴らしい
 
でも
食べて出す
出したものを集めて
それを肥料にまた食べ物を作る
循環させていくこの時代
紙屑も集めて再利用し
ご飯の茶碗も
使うたびに洗ったりはしない
 
人間の出す汚水やゴミなどは
自然が処理できる量だった
 
今の私たちが目指すのは
こういう自然に対して
負担をかけない
自然の一部として
慎ましく暮らしていく生活
 
「いいなあ」とは思うのだが
でも
江戸時代のライフスタイルには
戻れないと思う
 
排泄物を肥料にしていた時代は
みんなお腹の中に寄生虫を
飼っていたのでは?
伝染病や食中毒も多かったはず
特に子どもたちは
3歳まで生き残ることが
簡単なことではなかったのだから
 
なんとなく
「江戸時代はよかった」
と、短絡的に考えるのは
よくないと思う
…話が逸れてしまった
 
 
おきくは
落ちぶれても武士の娘という
誇りを持って
しゃんと背筋を伸ばして
凛として生きているのだが
 
糞尿の回収をしている
若者2人を蔑んだりはしない
それどころか
真摯に働く姿に好意を抱くのだ
おきくさんのこういうところが
好きだなあ、と思う
 
 
今の日本人に
ぴったりの作品だなあ
と、思った
 
派手で豪華で贅沢で
大笑いするような幸せはないけれど
今、この世界にあるものの中に
ささやかな喜び見つけて
辛いことがあっても起き上がって
身の丈にあった生活を
慎ましく続けていけることを
幸せと思って生きていく
 
そんな暮らし方に
共感してしまうのかな?
と、思った
 
 
※後日記その1
あれからいろいろ考えてみて
作中で寺子屋の先生が
「『せかい』というのは
あっちに行ったら
しばらくしてこっちから
帰ってくるようなものです」
と「世界」という言葉の意味を
説明して
みんながキョトン?となってたけど
 
「世界は
あっちに行ったものが
こっちから帰ってくること」
というのは
「自分達は丸い天体の上に
住んでいるのだ」ということだけど
 
もしかしたら
◆排泄したものが
穀物を豊かにして
おにぎりになって帰ってきて
また食べて排泄するとか
◆教えてた(与えてた)生徒が
「先生、また教えてください」と
おきくに生きる希望を
与えてくれるとか
◆父親が死んで土に還って
もしかしたらおきく達のところに
新しい命がやってくるかも知れない
 
そんなふうに
「世界(地球)というものは
ぐるぐる回っているのです
循環しているのです」
と、言っているのかなあ
と、思いました
 
※後日記その2
排泄物は回収してもらわないと
溜ま理すぎたら
みんな困ってしまうのに
お金を取って買い取らせるとは
どういうことだ???
 
街の住人も
排泄物を肥料に使う農民も
回収人がいないと
困ってしまうくせに
両方とも上から目線で
回収人を蔑んでいるのは
どういうことだ???
 
これは現在の
介護士さん達が
同じ扱いを受けていると思った
 
いないと本当に困ってしまって
かなり大変仕事を
彼らに依存しているのに
ロースキルな仕事と誤解されて
正当な評価や感謝を
ちゃんと受け取っていないのでは?
 
介護士だけでなくて
今、顧客や依頼人から
カスハラ受けて
不当な扱い受けている人は多い
 
どんな仕事をしていても
みんな多かれ少なかれ
「努力が評価されず
不当な扱いを受けている」
という不満は感じているのでは
 
 
そんな不当な扱いに対する不満が
あの、江戸中から排泄物を集めて
綺麗にしている2人への
共感につながるのでは…?
とも思った
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