『竜の学校は山の中』久井諒子 イースト・プレス2011/4/11初版発行 2012/1/27 8刷発行 日本で唯一の竜学部のある国立大学で、学生たちが模索する。「江戸時代までは用途のあった竜が、現在は全くの役立たずだ」 もちろん架空の話です。作話法の一つにエクストラなんとかレーションとかあったでしょう。あれですよ。 部員の疑問に対して竜研究会の部長の回答が素晴らしい。「世の中にはなー ふたつのもの . . . 本文を読む
岡田史子さんという漫画家がいます、あるいは、いましたと言うべきでしょうか。検索すると今でも沢山のファンがいるようです。 虫プロから出ていた月刊誌 COM を中心とした活動で高い評価を得ていました。たとえば萩尾望都さんは、「ガラス玉」の解説の中で「北海道は少なくともひとりの天才を、雪の中にかかえているのだ。」と絶賛しました。また高野文子さんが登場してきた時「二人目の天才フミコが現れた」と言われたも . . . 本文を読む
「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」岩崎夏海 ダイヤモンド社2009/12/3 この本を買うとき恥ずかしかった。誰かが言っていたように、装丁がラノベ(ライトノベル)風だからではありません。この時一緒に「陽のあたる坂道」吉田秋生と「舞姫テレプシコーラ第2部第3巻」山岸涼子ならびに「私家版・ユダヤ文化論」内田樹を買いました。ラノベが恥ずかしいという人の買い方じゃ . . . 本文を読む
「坂の上の雲」司馬遼太郎
もちろん、初読ではありません。
ですが、前回読み飛ばした為か再読してみると
「こんなこと書いてたっけ?」と思うような細部に気づく時があります。
たとえば、秋山真之が故郷の池で兵隊たちとケンカするとき、
師団に編制替になったばかりの旧鎮台兵たちを揶揄する歌がでてきます。
『チンダイさんが兵隊ならば、
蝶々とんぼも鳥のうち』
司馬遼太郎さんは書いていらっしゃいま . . . 本文を読む
今めいている碩学に苦言を申し述べるのは、はばかられます。
ですが、この本にはがっかりいたしました。
”党派性をあらわす事により、信頼性を著しく傷つけている”
これが、この本に対する私の感想です。
「本質を見抜く力 環境・食料・エネルギー」養老孟司/竹村公太郎 PHP新書 2008/9/30
一応、知らなかった知見などが述べられております。
ですが、学者に(田舎の匹夫が知らない)知識があ . . . 本文を読む
「ツ、イ、ラ、ク」姫野カオルコ 2003/10角川書店 2007/2/25角川文庫 姫野カオルコさんって恋愛小説は書かない人だと思っていました。文庫本版あとがき の冒頭で姫野さんもおっしゃっておられます。 「単行本発刊当時、本書は版元より恋愛文学だと紹介されました。まちがっています。と同時にまちがっていません。 まちがっているというのは、恋愛文学だと紹介されて多くの人がイメージするであろう小説では . . . 本文を読む
静岡空港の開港延期の記事がどうも食い足りない。
立ち木と8平方メートルほどの土地がじゃまで空港が使用できない
ということですが、なんかうそくさい。事情を隠している。
そんな気がしますね。
○測量のミス
○計画後に立ち木が生長した
ということですが、それって開港直前までわからないことなの?
空港の建設ってそんな杜撰なものなの?
なんか納得できんなぁ。
事業主と地権者と良好な関係を結んでいた . . . 本文を読む
ロシア語通訳の第一人者 米原万理さんはさすがに言葉を使う仕事をしているだけありまして、書いている本は大概面白い。その中でもこの作品は秀逸です。
コミュンテルン・コミュンフォルム無き後(高校の世界史で聞いてからは、ついぞきたことはなかった言葉です)唯一の共産主義政党常設国際的交流機関となっていた『平和と社会主義の諸問題』編集局に日本代表としていっていた父についていったソビエト学校の同級生たちと彼 . . . 本文を読む
「男の編み物 橋本治の手トリ足トリ」橋本治 河出書房新社1983/11/21 編み物を知らない人に、この1冊の説明だけでセーターを編まそう これが、この本の要旨なのですが、編み棒に触ったことも無い私も、「ほう、編み物ってこうやるんだ」と読めてしまう。 説明するって、こういうことだよね。という見本のような本です。 願わくは、世の説明書というものが少しでも見習って分かりやすいものになりますように。肝心 . . . 本文を読む
ikovesfさんのコメントでもご指摘のとおり私のサイトには、気軽に書かれたコメントが少ないようです。 以前から気になっていたのですが、なんかなぁ。 一つ思い当たる事があって、それは、「私は、ありがとう&リスペクト語がうまく使えない」ということです。 ありがとう&リスペクト語とは、何かなんでもリスペクト(尊敬)して感謝する言葉なのだそうです。ブログやSNSでは必須なものなのだそうです。 詳しくは . . . 本文を読む
わたしはわたしの時を刻む熟してしまう女の身体に心が遅れる。遅れた心が息をひそめ、体内に響く漏時刻の雫を数える・・・月が満ち、月が欠ける。望みが興り、望みが耐える。近藤ようこ、魂のモノローグ。 という腰巻のコピーでした。おふろに入っていた時に「傀儡女」のなかの最後のせりふ「ようよう魂のゆりおこる」を自然に口ずさんでいてんー名作だったなぁと思い直している所です。 . . . 本文を読む
『「世界征服」は可能か?』 岡田 斗司夫 ちくまプリマー新書
2007/6/10初版 2007/8/5初版第7刷
「世界征服」これぐらい胡散臭い話は珍しいくらいで、
漫画の中でも、真面目に語られる事は多くありません。
そこに、このオタキングさんは真摯に正面から向います。
胡散臭いものに真面目に立ち向かい
何らかの有益な認識を得るという点で、
C・G・ユングの「空飛ぶ円盤」朝日出版社
にも優 . . . 本文を読む
「司政官 全短編」眉村 卓 創元SF文庫2008/1/31
眉村 卓さんの司政官シリーズのうち
「消滅の光輪」「引き潮のとき」の2長編を除く全短編が、
設定時代順に収録され新たに出版されたものです。
どの作品も読んだ事があり、所蔵もしているのですが、
年代順に並んだ作品集を、新たな作品を読むように読みました。
このシリーズには愛着があります。
「消滅の光輪」で泉鏡花賞を受賞なされたとき . . . 本文を読む
「双調 平家物語⑮」橋本 治 中央公論新社 2007/10/25
10年の長きにわたり書きつづられて来た物語もいよいよ終り。
第1巻 唐朝の安史の乱より書き起こされ、
藤氏の祖 鎌足公の事跡の前振りに蘇我氏の滅亡が記されるにいたっては、
この話は、本当に平家物語になるのか?
この摂家の兄弟が争う話は大鏡に出てくる話ではなかったのか。
そう思いましたが、無事に平家物語として巻をおきました。
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