goo blog サービス終了のお知らせ 

旧ソ連で生まれた格闘技『サンボ』の研究所

サンボの技術・トレーニング法を徹底的に研究します。

スポーツマンの教科書

2005-10-14 13:47:43 | トレーニング理論

 ソ連時代に書かれた「スポーツマンの教科書」です。



 ソ連時代のトレーニング法はもちろん、戦術面や精神力の訓練について、かなり詳しく書いてあります。

 日本では昭和41年にベースボールマガジン社から、日本語訳された物が発行されましたが、今見ても内容は色あせることなく、とても素晴らしい物です。逆に言うと、ソ連の素晴らしいトレーニングシステムがこんなに昔からわかっていたにも拘らず、日本のトレーニング界が非常に遅れていたのは、本当に不思議な気がします。

 私もこの本を最近になって手に入れましたので、何か新しい発見があれば、またお伝えしようと思います。

-----------------------------------------------------------------------------------------------------



 こんなトレーニングもしていたようです。
昭和41年発行ベースボールマガジン社「スポーツマンの教科書」より

-----------------------------------------------------------------------------------------------------

 格闘技人気ブログランキング

-----------------------------------------------------------------------------------------------------

種目名からの誤解

2005-10-05 13:16:51 | トレーニング理論

 マニュアルで紹介しているトレーニング種目には、とりあえず、ウエイトトレーニングで似たような種目があれば、その種目名を付けたのですが、どうもこの事によって、誤解されることが多いようなので、「失敗したかな?」と思うようになりました。

---------------------------------------------------------------------------------------------------

 羽状筋について書いた事で、「じゃあ、羽状筋といわれるものは鍛えるべきではないんだな」と思われた方もいると思います。しかし、早まらないで下さい。私は「安易なトレーニングはすべきではない」と言いたいのであって、「全く鍛えなくて良い」と言いたいのではありません。マニュアルの中には大腿部が鍛えられる種目もあるのです。(もちろん、ロシア式のトレーニングは連動が大切なので、大腿部のみ鍛えると言うわけではありません)ただ、考え方が一般的なトレーニングと異なるのです。

---------------------------------------------------------------------------------------------------

 大腿四頭筋を鍛える種目に「レッグエクステンション」があります。大腿四頭筋を膝の伸筋と考え、鍛えるこの種目は一般的なトレーニングとしては正解ですが、サンボ式に考えると、このような種目こそ、安易なトレーニング種目なのです。
 もう一度、5月16日の「大腿の筋肉」の図をよく見て下さい。

 大腿前面の筋肉には大腿直筋外側広筋中間広筋内側広筋、4本の筋肉があり、大腿四頭筋と呼ばれています。この4つの筋肉全てが膝蓋骨(膝のお皿)に付着し、膝蓋靭帯を通して脛骨粗面(向うずねの上部)で終わっています。この事から、大腿四頭筋を膝の伸筋と考え、鍛える時は膝を伸ばすような種目を行うわけです。

 大腿四頭筋が何処から始まっているかを見て下さい。中間広筋は中に入ってますので見えませんが、大腿骨の上部から始まっています。同様に外側広筋、内側広筋も大腿骨上部から始まっていますが、大腿直筋のみ骨盤まで伸びてますね。股関節と膝関節の2つをまたいでいます。このような筋肉を2関節筋といいますが、大腿四頭筋の中で、大腿直筋だけは、股関節を屈曲させる機能をもっているのです。

 前々回、「大腿四頭筋は股関節の屈曲の為のサポート筋である」とかきました。股関節を屈曲させる動きはサンボでは非常に重要です。

-----------------------------------------------------------------------------------------------------

 マニュアルをお持ちの方、「シットアップ」のページをご覧下さい。最初の種目については、腹筋ではなく主に「腸腰筋(大腰筋・小腰筋・腸骨筋)の為の種目だと説明しておきました。次のV字腹筋については特に説明を入れませんでしたが、これも股関節を屈曲させる為の腸腰筋と、それをサポートして大腿直筋を働かせ、そして股関節への意識を高める為の種目なのです。

---------------------------------------------------------------------------------------------------

 大腿部の筋肉も必要なところ・動きだけ鍛え、V字腹筋の様に、今までよく知っている様なトレーニング種目でも、ロシア式では、考え方が全く違う事をお分かりいただけたでしょうか?

---------------------------------------------------------------------------------------------------

 格闘技人気ブログランキング

---------------------------------------------------------------------------------------------------

羽状筋

2005-09-29 14:38:21 | トレーニング理論
 以前、大腿部の筋肉について書いたことがありましたが(5月16日「大腿部の筋肉」)大腿部に限らず、足で皆さんが良く耳にするような筋肉については、安易なトレーニングは避けたほうが良いと思っています。

-------------------------------------------------------------------

 「ダッシュ力をつけるためには、ふくらはぎの筋肉を鍛えた方が良いと聞いたのですが、どのようにトレーニングすれば良いのでしょうか?」というような質問はメール相談のなかでも、特に多い内容です。

 一般的にふくらばぎの筋肉(腓腹筋、ヒラメ筋)を鍛える為には爪先立ちになり、踵を上下するカーフレイズという種目が有効ですが、ハッキリ言ってこれも、単なる筋力とか筋肉の大きさを気にしたトレーニングでしかありません。

 時間の無駄です

 ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)はアキレス腱によって、踵骨にくっついていますが、この部分もテコになっており、特殊な構造の持ち主以外には悪影響を及ぼします。

 サンボにおいては、「グーっと」力を込める使い方はありませんし、ましてや、力を込める使い方では、完全にスピードは死んでしまいます。

-------------------------------------------------------------------



 下腿三頭筋も大腿四頭筋も羽状筋です。それに対し、腿の裏側(ハムストリング)や、あまり聞きなれない縫工筋、恥骨筋、長・短内転筋、薄筋などは平行筋といわれています。

 上の図はプールだと思って下さい。

 普通向こう側まで早く泳ごうとすれば、左上の様に真っ直ぐ行きますよね。
 
 私の様なへそ曲がりでも、右上の図みたいに斜めに泳ぐ事はしません。斜めに泳げば距離も長くなりますし、体力も余計に消耗します。筋繊維が斜めになっている場合、このようなロスが生じます。

 筋肉が大きく発達した下の図では、更にロスが多くなってしまうのが、わかると思います。

 ステップ(或いは移動)を速くするには、筋力強化ではなく、膝を抜く動作を覚えるのが一番です。
-------------------------------------------------------------------

 羽状筋は速く縮むことが苦手です。しかし、今までのトレーニング法では太くなりやすい、大腿四頭筋や下腿三頭筋を鍛える事にエネルギーを注いできました。
 
 しかし、動きの質やパワーを同時に考えると、それらの筋肉はマイナーな筋肉のサポート役にまわした方が良い結果を生むのです。
 
 例えば大腿四頭筋はウエイト的に、膝関節を伸ばす役割で考えますが、動きとパワーを両立させるには股関節の屈筋として考えたほうが良いのです。

-------------------------------------------------------------------

 格闘技人気ブログランキング

-------------------------------------------------------------------

2005-08-31 01:02:25 | トレーニング理論

 サンボラボのトレーニングマニュアルには首のトレーニング法については全く触れていません。なぜなら、ロシア式トレーニングマニュアルでは攻撃における(というと誤解を生んでしまうのでしょうが)力の使い方を身につけるのが目的だからです。

-------------------------------------------------------------------

 現少年レスリング理事長(役職が間違っていたらすいません)今泉雄策先生は私に、「レスリングで必要な首の強さはグーッとこらえるような強さだ!」とおっしゃっていました。

-------------------------------------------------------------------

 昨年末、古賀先生にお会いした時、「足立くん。今のあなたの弱点は・・・あ、言わなくてもわかっているね!」とおっしゃいました。そう。首なんです。健康上の理由から首を全く鍛えていない事を見事、見抜かれてしまいました。

-------------------------------------------------------------------

 カール・ゴッチさんが「マウントフジ」と例えた先輩サンビスト萩原さんに「どうしたらそんなに首が太くなるんですか?」と聞いた事があります。萩原さんが行っている内容はごく普通のトレーニング法でした。首の太さは精神力の強さの表れだとその時思いました。

-------------------------------------------------------------------

 レスリングやサンボの競技において(防御あるいは怪我防止の為)首の強さと言うのは必須です。鍛え方は何処の練習場でもやっている前ブリッジ・ブリッジ・ブリッジからの回転・首での倒立などです。皆さんやっているはずですし、当たり前すぎるので、あえてマニュアルには載せませんでした。

-------------------------------------------------------------------

 ボディービルの世界で、首をあまり太くしすぎると、バランスが悪くなり印象が良くないと聞いた事がありますが、格闘技の世界では、首については太ければ太いほど良いと思っています。

-------------------------------------------------------------------

 私自身の勝手な意見ですが、怪力法の著者・若木竹丸先生について、もちろん尊敬していますが、格闘家だとも思っていませんし、ボディービルダーだとも思っていません。あえて言うなら、「極限まで鍛えた運動家」が正しい表現ではないでしょうか。有名な某トレーニングジムで首を一生懸命に鍛えているトレーニーを見かけることはありません。

 人によって強くなりたいという意味はそれぞれ違うと思いますが、少なくとも格闘技を目指す人であるなら、強さの意味を今一度考えて欲しいものです。ベンチプレス何キロ挙げれば・上腕何センチになればヒョードルに勝てる。そんな単純な世界ですか?

-------------------------------------------------------------------

 誤解のないように言っておきます。若木先生の偉業は尊敬に値します。そして、体を極限に鍛える事、或いは体の大きさ・太さに己の強さを求めるのもありだと思います。しかし、格闘家ならば、決してそちらの方向に行ってはいけません。勝ちは数字で表れるものではないのですから。

-------------------------------------------------------------------

 格闘技人気ブログランキング

-------------------------------------------------------------------

1992年アジア大会

2005-08-01 16:44:56 | トレーニング理論

 1992年の第1回アジア大会では、17歳の時、憧れの選手であったハバロフスクの河津掛けの名人、シーラーキン・バリス選手と再会し、階級は違いましたが、同じ試合に出場することが出来た思い出深い遠征となりました。



 写真の向かって左端は現在NPOサンボ振興会の田中さん。右端が私。真ん中は68キログラム級のモンゴル代表(名前は忘れました。誰かご存知の方、教えて下さい)です。

 ナントカ原人とかゴリラが目の前にいるようで、こんな写真を撮ることになったのですが、彼自身、首都のウランバートルに出てきて間もなく、純粋なモンゴル語しか話せなかった為、トレーニングの秘密について聞く事が出来ませんでしたが、私と同じ階級のウラ選手に「彼は普段どんなトレーニングをしているの?」と聞くと、「100キロ以上のパーベルで、パワークリーン&プレスを30回くらいやって帰ってしまう。サンボは練習していない」と言っていました。サンボを練習していないと言うのは冗談でしょうが、トレーニング法がパワークリーン&プレスだけというのは本当のようでした。

-------------------------------------------------------------------

 ウエイトトレーニングを取り入れ始めた、少し前の柔道の本を読むと、「ウエイトトレーニングとウエイトリフティングは違い、柔道家がウエイトリフティングを練習していても強くはならない。柔道で必要な筋肉を理解し専門的なウエイトトレーニングをやりましょう」と書いてあります。

 どうも、この辺りから日本の柔道家が外国人に力負けし始めたような気がするのですが、いかがでしょうか?

 もちろん競技としてウエイトリフティングを行うこと(重さを競う)がサンボに直結するとは言いませんが、ウエイトリフティングは個々の筋肉を鍛えるというより、やはり全身の連動が大切だと思います。

 昔の柔道家で、ウエイトトレーニングを行い、強かった選手は、専門的なウエイトトレーニングの知識を(つまり、どうすればより筋肉に負荷を与えられるか)知らなかった為、どの種目を行うにしても、すべて体を連動させパーベルやダンベルを挙げていたのではないかと思うのです。

-------------------------------------------------------------------

 一番大切なのは、格闘技に役に立つ体作りの考え方です。サンボラボでは、主にチューブとケトルベルを利用したトレーニング法のテキストを販売していますが、それはチューブトレーニングのマニュアルでもなければ、ケトルベルトレーニングのマニュアルでもありません。そして、単に「チューブトレーニングが良いとか、ケトルベルトレーニングは最高!」などという考え方はナンセンスだと思っています。チューブもケトルベルも連動が覚えやすいということで、たまたま採用しているに過ぎないのです。何度も言うように、ロシア式のトレーニングマニュアルでは連動の考えを学習・理解し、身につける事にあります。極論ですが、それさえ出来れば、何を使おうが格闘技に役立つトレーニングになってしまうのです。

-------------------------------------------------------------------

 格闘技人気ブログランキング

-------------------------------------------------------------------