goo blog サービス終了のお知らせ 

旧ソ連で生まれた格闘技『サンボ』の研究所

サンボの技術・トレーニング法を徹底的に研究します。

指導者として

2005-04-03 08:52:10 | トレーニング理論
 私は深夜のテレビで、通販のCMをよく観ます。同じ事を繰り返しやっているので退屈になり、あれを観ることによって、すぐに眠ることが出来るからです。

 昨日もなんとなく通販のCMを観ていましたが、腹筋を鍛えるマシンが次から次へと新しくなり、ある意味感動します。

 腹筋をダイレクトに刺激するマシン。「ホント、よく考えるなー」と思います。

 しかし、今まで私のブログをご覧になった方には、あのようなマシンが格闘技には全く意味のないものだと理解出来ると思いますが、どうでしょうか?

-------------------------------------------------------------------

 昔ながらの腹筋運動は「腹直筋への効果が薄く、腸腰筋のトレーニングになっている」との理由で、何も考えていない指導者はクランチの様に腹筋をより刺激するトレーニング法を指導しています。ウエイトトレーニング的には正しい考えですが、少なくともサンボでこの様なトレーニングを教える人は、サンボを全く理解してないと言わざるを得ません。

 ロシアでは一見すると昔ながらの腹筋運動を行っています。しかし、それは腹筋を鍛える意味でやっているのではなく、一つの理由として脚の使い方(膝の使い方)を強化する為にやっているのです。

 脚の使い方については様々な筋肉や関節の動きが複雑に絡んできますので、あくまで一部なんですが、股関節の屈曲は結構大事です。

 そして、股関節を屈曲させる筋肉もいろいろありますが、主に縫工筋と腸腰筋が挙げられます。
 
 そのうち縫工筋については二関節筋で起始と停止の間に股関節と膝関節をはさみ、膝関節の屈曲にも関与しています。(椅子に座って脚を組む場合、身体を少し後ろに傾けますが、これはこの筋肉の起始を引き上げて筋肉の長さを伸ばし、屈曲筋としての機能を高め、楽に脚を組めるようにする為です。)ところが、縫工筋は、この2つの動きが同時に生じる場合(サンボ流に脚を使う場合)にはその働きが弱くなってしまう為、股関節の屈曲は特に腸腰筋に頼る形となってしまうのです。

 サンボでは腸腰筋も大事なのです。

 従来の腹筋運動が腹筋ではなく、主に腸腰筋に効くので他のトレーニングに切り替えてしまうのが、サンボ独特の動きを理解していない、安易な発想によるもの、というのが、おわかりいただけたでしょうか?

-------------------------------------------------------------------

 サンボラボ初級編の腹筋運動は、「1つの理由として~」と言ったようにその他、4月1日書いた股関節への意識であるとか、様々な事を考え採用しています。

 テキストには解剖学や運動生理学・力学的な解説は一切ぬきで、ポイントだけを絞って書きました。なぜなら、全て解説すると、1つのトレーニング法について1冊の本になる位、量が多くなってしまうからなのです。

 サンボラボのトレーニング法を試そうかと悩んでいる人に私は「とりあえずやってみれば」と言いますし、「何でこの運動・動作なんですか?」と言う質問に対し「書いてある事をキチンと守って、とりあえずやってみれば」というのは以上の様な理由があるからだと、ご理解ください。

-------------------------------------------------------------------

 ロシアに留学した際、恩師のクーリックさんは、その大きな身体に似合わない小さな文字でびっしり埋まった、分厚いノートを持ち歩かれていました。ある時、「それは何が書いてあるのですか?」と聞くと、「ヒロ(私)の練習スケジュール」と答えが返ってきました。私の練習や生活など全てを考えた上で、どの様な技術を練習し、どの様なトレーニングをし、どの様な生活をすればいいか等、細かい点まで分析し考えられていた訳です。

 「言われた通りにやっていれば良い」と言うと冷たく、そして、傲慢に聞こえるかも知れません。ですが、「理屈を考える暇があったら、とりあえず動いて下さい」というのが私の考えです。強くなる為には動くしかありませんし、時間がもったいないですから。

 理屈として考えなければいけないことは、指導者が一生懸命考えれば良いのです。かつて、師が私にしてくれたように・・・。

-------------------------------------------------------------------

 サンボラボトレーニング法についてはこちら
  ↓↓↓
 サンボラボHP・トレーニングについて

-------------------------------------------------------------------

 私と一緒に格闘技のトレーニング法を普及させてくれる方、大募集!
  ↓↓↓
 サンボラボパーソナルトレーナー養成講座・資料請求

-------------------------------------------------------------------

 格闘技人気ブログランキング

-------------------------------------------------------------------

肩と股関節

2005-04-01 16:45:34 | トレーニング理論
 2月17日の記事にサンボにおいて肩と股関節の柔軟性が重要であると書きました。柔軟性と書いた為、勘違いされることも多いので、補足しておきます。
 
 肩や股関節の柔らかさを言い換えるなら、体の使い方や意識の持ち方です。力の伝え方について肩で説明すると、下手な人は腕が単独で働くのに対し、上手い人は腕・肩関節・肩甲骨・胸鎖関節が連動しています。そうする事によってダイレクトに力を伝える事が可能になるのです。

 身体を回旋させるのに「腰のキレ」が大切ですが、わかっていない指導者は「腰をもっと回転させて!」といったわけの解らない事をいいます。意識はあくまで腰です。しかし、胸腰部が回旋出来る角度は片側40度です。「カパンディー関節の生理学」によると、「腰椎の一分節は、左右回旋方向の片側に1度ずつの可動域を持ち、5つの腰椎があるので、腰椎の総回旋は片側に5度ずつ持っている」と書いてあります。これだけしか回旋できない腰椎にキレを求めても無理な話です。運動において体の回旋に重要なのは実は、腰ではなく股関節の外旋なのです。見方を少し変えてみましょう。体力測定で「立位体前屈」をやった記憶がありますよね。一概に言うことはできないのですが、上手く曲がらない人は大抵、腰を意識して前屈しています。第一胸椎の棘突起と第五腰椎棘突起を結ぶ線の前屈角度は45度です。腰を意識するとほとんど曲げる事が出来ないのですが、意識を股関節に移し、股関節で身体を曲げるようにすると驚くほどよく曲がります。股関節の屈曲角度は125度ありますから、当然です。
この様に意識を腰から股関節にシフトさせると可動域が広がり、技の幅やキレが生まれるのです。また、股関節は非常に大きな力を発揮するのですが、腰に意識がいってしまうと、膝や足首の力に頼ってしまいその大きな力を上手く活用する事が出来ません。
 
 武道では腰ではなく丹田を意識するように指導されますが、一部には意識を腰から少し下げ股関節を意識するような意味もあると思います。

-------------------------------------------------------------------
 
 格闘技に必要なトレーニングは「筋肉から」考えるのではなく「神経」から考えるべきです。筋肉はバラバラに動くのではなく、脳神経系とのつながりで統合的に働くのです。昨日、サンボラボのトレーニングを試してくれている若(若林次郎)に会って感想を聞いたのですが、「従来の筋トレの意識があったから、最初はとてつもなくきつかったが、打ち込みの様なイメージを持ってやるとかなり楽になりました。」といっていました。複数関節・複数筋の連動が身につき、脳の出力系と上手く絡み合ってきた証拠です。 詳しい感想は若のブログを見てください。
 
 若林次郎ブログ

-------------------------------------------------------------------

 5月2日からスタートするサンボラボトレーナー養成講座では第一期生を募集しています。
 資料請求はこちらからお願いします。
  ↓↓↓
 サンボラボHP資料請求

-------------------------------------------------------------------

 パーソナルトレーニングの依頼はこちら
  ↓↓↓
 サンボラボHPパーソナルトレーニングについて

-------------------------------------------------------------------

 格闘技人気ブログランキング

-------------------------------------------------------------------


反射

2005-03-25 02:51:02 | トレーニング理論
 最近、しみじみ思うのですが、サンボというのは何から何まで科学的に考えつくされた競技だと、感じています。技術にしても、いかに自分の力をダイレクトに、しかも相手の弱い部分に伝えるかが、サンボらしい技術ですし、身体の使い方を理解する為の準備運動やトレーニング法など、現在の運動科学で、私が様々な方向から研究をしてみても、非の打ちどころがないほど完璧です。ロシアでは練習法は昔から変わりません。
 ソ連の科学者が集まって考えられたものですから、当然と言えば当然なのかもしれません。
 一方、日本はどうでしょうか?
 準備運動一つとってみても、スタティックストレッチが一時期流行でしたが、最近ではダイナミックストレッチも見直されています。ころころ考え方が変わって、教わる方は、一体どれを信じれば良いのか苦労します。日本の格闘技界には、ファッションの様に流行があって、安易な情報ばかりが溢れているように思うのは私だけでしょうか?

-------------------------------------------------------------------

 大田区に純粋な剛柔流の伝統を守って指導されている先生がいらっしゃいます。その先生が指導される空手は流行に流されず、全てにおいて独特なものがあり、あれこそが武道だと感動しました。準備運動でストレッチや、ラジオ体操的なことは当然しません。空手を習得する為の身体や力の使い方を覚える事を目的とした独特な準備運動は、サンビストである私が見ても非常に合理的に思えました。指導者が安易な考えで科学的とされるものを取り入れてしまうからこそ、伝統的な空手が廃ってしまうのではないかと思います。

 ソ連の科学者が知恵を絞って生み出された純粋なサンボ

 経験や伝統の中で生み出された、純粋な剛柔流空手

 全く歴史が違うのですが、体の使い方・力の使い方に驚くほど共通点があり、勉強になっています。

 そういえば、空手の先生も「ズドン!」なんです。

 今度、「チーシー」の使い方を教わりに行ってみようと思っています。

-------------------------------------------------------------------

 ロシアでやっている練習法の一つ一つをいろんな面から研究し、なぜそうするのか解説しようと思っているのですが、「反射」だけでも、非常に複雑で頭が痛くなります。

 反射にはどんな種類があるのか、ちょっと書いて見ますネ。

 ●基本的な姿勢反射
  ・伸張反射
  ・同側屈曲伸展反射
  ・交叉性屈曲伸展反射
  ・伸筋突伸

 ●緊張性姿勢反射
  ・緊張性迷路反射
  ・緊張性頸反射(前屈と後屈は、この間説明しました)
  ・緊張性腰反射

 ●立ち直り反射
  ・迷路立直り
  ・頸立直り
  ・非対称圧刺激による立直り
  ・視覚立直り

 ●その他の反射
  ・つかみ反射
  ・踏み直り反射
  ・跳び直り反射

 どうでしょうか?反射の面からだけでも、サンボに考え結びつけ、解説する事が、どんなに複雑か、おわかりいただけたでしょうか?


 サンボの指導者としては、これだけしっかり考え研究していますので、選手の皆さんは、安心して練習に励んでいただきたいと思っています。

-------------------------------------------------------------------

 まだ、筋肉作りのためのトレーニングに拘りますか?

 格闘技に必要なトレーニングを試してみようと思われた方はこちらをどうぞ!  
  ↓↓↓
 サンボラボHP・トレーニングについて

-------------------------------------------------------------------

 格闘技人気ブログランキング

-------------------------------------------------------------------

新テキスト

2005-03-16 13:39:29 | トレーニング理論
 サンボラボ初級トレーニング編は基本的に毎日行うのですが、ウエイトトレーニングの考えが染み付いている方は、毎日トレーニングを行う事に抵抗を感じてしまうようです。

-------------------------------------------------------------------

 何度でも言いましょう。ウエイトトレーニングとサンボラボ初級トレーニングは、目的が違います。
 ウエイトトレーニングは筋力・筋肉をつけるために行いますが、サンボラボ初級トレーニングは格闘技で力負けしない為の身体の使い方や、力の出し方を身体に覚えこませる為に行うのです。

-------------------------------------------------------------------

 力負けしてしまうというのは、力の使い方が下手な場合がほとんどです。このとき、安易に筋力不足を補う為、ウエイトトレーニングをやってしまうと、動作の中で支点を作って部分的に緊張させる動きになる、つまり部分的に筋肉が作用する癖が増強されるだけで、筋力がアップしても、やっぱり力負けしてしまうのです。

-------------------------------------------------------------------

 指圧をする場合でお話ししましょう。うつ伏せで、寝ている人に上から親指で圧をかけるとき、初心者は一日何人も施術をしていると、筋肉はパンパンに張り、とてつもなく疲れます。また、力いっぱい押しているのにも拘わらず、「もう少し強くしてください」なんて言われることもあります。しかし毎日やっていると、そのうち効率的な力の使い方や、力のぬき方を覚えますので、疲れるという事はなくなります。そして押圧を強くすることも弱くする事も自在に出来るようになるのです。
 上から押すという動作でも、初心者は肘を曲げ筋肉の力だけを使おうとします。この時、押す力を強くする為に上腕三頭筋を鍛えれば、問題は解決するのでしょうか?(そんなバカな事を考える人はいないと思いますが、ではなぜ、格闘技ではパワーアップの為ウエイトをおこなうのでしょうか?)確かに少し押す力は強くなるかもしれませんが、患者さんを何人も診る事は出来ません。
 毎日やって慣れてくると、肘を伸ばし、腕の筋力には頼らず、体重を利用して、圧をかけるようになりますので、全く疲れません。一般的に押すと言う筋力は上腕三頭筋ですが、この場合上腕三頭筋に力は入っていません。腕をロックし、体重や身体全体の力を利用しているだけです。
 今まで利用していなかった部分も有効に使うようになりますので、その部分は自然に発達します。

-------------------------------------------------------------------

 下手な動きで筋力・筋肉をつくり、上手く使いましょうという事は、どう考えてもおかしい事に気づいて欲しいと思います。

 かく言う私も、チューブトレーニングを再開したとき、とてつもなくしんどかったのですが、原因はわかっています。サプリメントやステロイドを使わず、トレーニングのやり方で劇的な増量が可能かどうかを試そうとウエイトトレーニングをやっていた事がありました。その試みは成功しましたが、その時、身体の下手な使い方が身についてしまったのです。効果的に筋肉を刺激するトレーニングをやっていたわけですから、当然といえば当然です。今はチューブトレーニングを行っても、ほとんど疲れません。格闘技の動作に直結したトレーニングに慣れ、効果的な力・身体の使い方が出来るようになってきたからです。

-------------------------------------------------------------------

 どうも、トレーニング法と名前を付けることが、誤解の元になり、今後せっかく購入していただいたにも拘わらず、効果が現れない方が出てくる事も予想されますので(今のところテキストどおりキチンとやって効果が無いという方はいらっしゃらないようですが)、今のテキストを名前から見直し、新しく作ります。

 作り直すからには、トレーニングのやり方、理論に柔軟法・解剖学・運動生理学など、格闘技の身体に関することを全てまとめ、足立流肉体改造論完全版(仮)として販売をする事に決めました。値段も少し高めで。

 それにともない、今のトレーニングテキストは新しいのが完成しましたら、販売をストップします。パワーアップの方法だけを知りたい方には、新しいものが完成するまでしかチャンスがありませんので、お早めにどうぞ!

------------------------------------------------------------------

 サンボラボ初級トレーニング編、購入希望の方はこちらをどうぞ。
  ↓↓↓
 サンボラボHP・トレーニングについて

-------------------------------------------------------------------

 格闘技人気ブログランキング

-------------------------------------------------------------------

トレーニング理論

2005-03-06 10:30:23 | トレーニング理論
 突然ですが、開脚前転や伸膝前転が上手く出来ますか?

 出来ないと言う方は、何故出来ないのか、考えた事がありますか?

 また、出来ると言う方は出来ない人がいた時、どう指導すれば上手く出来るのか、考えた事がありますか?

--------------------------------------------------------

 開脚前転、伸膝前転を上手くやる為に必要なのは、回転のスピードです。では、出来ない人に「回転のスピードを上げなさい」と指導すれば上手く出来る様になるのかと言うと、おそらく上手くいかないと思います。なぜならば、回転のスピードを上げることを頭で知っていても、実際どの様にすれば回転のスピードが上がるのか、体が解っていないからです。
 今まで、出来なかった体の使い方を成功させる為には、「知る」→「体で覚える」というプロセスが必要です。体の使い方は、頭で理解しただけでは決して「出来る」ようにはなりません。

 話を戻しましょう。開脚前転、伸膝前転が出来ない人に対して、私だったら、「前転を素早く行う練習をしてください」と指導します。暫くすると、たいていの人ができる様になります。

--------------------------------------------------------

 全ての運動のスピードは、伸び・縮みの原理によってしか、上げることができません。前転自体は回転のスピードがなくても容易に出来ます。しかし、容易に出来るその前転も、体を丸くしたままの状態では回る事が出来ませんし、当然伸ばした状態のままでも出来ません。そこで、容易に出来る前転を素早く行う事によって、回転のスピードを上げるための伸縮がどういう事なのか、体に覚えさせてやるのです

--------------------------------------------------------

 マット運動を例に体の使い方の学習とはどんなものなのかを、説明しましたが、力の使い方の学習も基本的には同じです。
 通常、ウエイトトレーニングの効果が現れるのは早くて3ヶ月位かかりますが、サンボラボの初級トレーニング講座では、1ヶ月も経たないうちに効果が現れる方もいらっしゃいます。筋肉のみで、物事を考える人にとっては、眉唾ものだと思います。「負荷の少ないチューブでパワーアップなど出来るわけがない」と。何度も言うようですが、私は筋肉を肥大させる為に、トレーニングを指導している訳ではありませんし、ボディービルの大会に出場する為に指導している訳でもありません。初級編は力の使い方を学習するプログラムなのです。力の出し方を体に覚えさせるプログラムと言い換えても良いでしょう。今までのトレーニング理論から抜け出せない方にとっては、前転はあくまで前転。チューブはあくまでチューブでしかなく、新しくケトルベル等を使い始めても、効果は思ったほど期待できないと思います。

----------------------------------------------------------

 私のトレーニング理論を試してみたいと思われた方はこちらをどうぞ!
   ↓↓↓
 サンボラボHP・トレーニングについて

----------------------------------------------------------

 格闘技人気ブログランキング

----------------------------------------------------------