世界フィギュア選手権女子フリーの決勝をテレビで見ていた。
キム・ヨナはジャンプで失敗もあったけれど、ジャンプもスピンも流麗な動きでとても美しいと思った。浅田真央と安藤美姫はミスの少ない演技で高い得点を出していた。
特に、キム・ヨナと中野友加里の演技に、トリノ五輪の時の荒川静香の演技に感じたのと同じような優雅さと美しさを感じた。昔NHKのBSで見た、ボリショイバレエのプリマを思い出した。
競技事なので順位付けが発生する。最終演技の安藤美姫が金メダルを取ったのは、日本人として素直にうれしく思った。そこまでは普通の気持ちで見ていたのだけれども、その後の映像で心底いやな気分になった。
表彰台でメダルを授与されるとき、金メダルの安藤美姫、銀メダルの浅田真央はメダルを受け取る映像が映ったのに、銅メダルのキム・ヨナがメダルを受け取るタイミングでは何故か安藤美姫と浅田真央が映されて、キム・ヨナが受け取るシーンが映らなかった。その後、三人でそろって手を振り、メダルを手にするシーンでも、三人が揃った表彰台の全体を映せばいいものを、安藤美姫と浅田真央の二人だけが画面に映り、キム・ヨナは全く映像に出てこない。
どんな思惑があるにせよ、世界大会で三位に入賞した選手に対して、あまりにも失礼な態度じゃないだろうか。どのような人であろうが、どの国の人であろうが、同じルールの下で競い合い、結果的に好成績を残した人を率直に讃えるということができないのだろうか。
日本のテレビ局なんだから日本人に着目して特集を組んだりするのは理解できる。でも、表彰の場の映像にまでバイアスを加えるというのは、スポーツマンシップというか、そのような精神にもとる行為だと思う。
テレビ局は、日本人だけを映したほうが視聴者の受けがよいと思っているんだろうか。だとしたらずいぶんバカにされたような気分になる。それとも、本当に視聴者の受けがよくなるんだろうか。だとしたら、日本人として情けない限りだ。
マスコミが日本人だけに着目し続ける映像を流すようになれば、それをみて育つ子どもは、世の中には外国もあるけれども、とりあえず日本の中で競っていさえすればよい、と思い込んでしまいそうに感じた。いわゆる島国根性というやつだろう。
それに、あの映像をみた韓国人や、韓国人に限らず日本人でない人がどのような印象を持つか、少しでも考えているんだろうか。