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ESD Education for Sustainable Development への思い

日本ESD学会が2017年4月29日に設立されます。この時期に合わせ、ESDへの思いをつれずれなるままに綴り始めます。。

ESDのもう一つの大事な忘れ物―「国連持続可能な開発目標:UNSDGs」―(その1)

2017-05-08 16:28:05 | 日記
ユネスコは、2005年に始まった「国連ESDの10年」が、2014年に完了したことを受け、10年間でユネスコ教育の根幹に位置づけられたESDのさらなる世界展開を推進するため、「ユネスコESDグローバルアクションプログラム(Global Action Programme on ESD)を策定し、2015年からの実施を加盟国に呼び掛けた。日本ではそれを受けて、『ESD国内実施計画(アクションプログラム)』(2016年3月)が策定され、それまでの『国連ESDの10年国内実施計画』(2006策定、2011改訂)の後継の実施計画として世に出された。
現在、ESDのさらなる推進をめぐり、日本では大きな二つの変化が起きている。一つは、次期学習指導要領へのESDの組み込みであり、二つがESDの推進拠点としてのユネスコスクールの質量両面の拡大政策である。
ただ、次期学習指導要領に先行して進んでいるESDの推進拠点としてのユネスコスクールの活動を見ていると、『ESD国内実施計画』(2016)に特記されている国連持続可能な開発目標(UN SGDs)を踏まえた活動は、まずお目にかかれない。いったいどうしたことなのか。


地球憲章の4大分野と全16条(参考)

2017-05-07 16:54:53 | 日記
地球憲章(The Earth Charter)
     副 題 持続可能な未来に向けての価値と原則
(Values and Principles for a Sustainable Future)
監 修 地球憲章推進日本委員会
(Earth Charter Commission Japan)

条 条 文
Ⅰ 生命共同体への敬意と配慮
1 地球と多様性に富んだすべての生命を尊重しよう。
2 理解と思いやり、愛情の念をもって、生命共同体を大切にしよう。
3 公正で、直接参加ができ、かつ持続可能で平和な民主社会を築こう。
4 地球の豊かさと美しさを、現在と未来の世代のために確保しよう。

Ⅱ 生態系の保全
5 生物の多様性と、生命を持続させる自然のプロセスに対して、特別な配慮を払いつつ、地球生態系全体を保護し回復させよう。 6
6 生態系保護の最善策として、環境への害を未然に防ぎ、充分な知識がない場合には予防原則をとろう。
7 生産、消費、再生産については、地球の再生産能力を傷つけず、人権や公共の福祉を保護するような方法を採用しよう。
8 生態系の持続可能性に関する研究を進め、既存の知識を自由に交換し、幅広く活用しよう。

Ⅲ 公正な社会と経済
9 倫理的、社会的、環境的要請として、貧困の根絶に取り組もう。
10 経済活動やそのしくみは、あらゆるレベルで公平かつ持続可能な形で人間開発を促進するものとしよう。
11 男女間の平等と公平は、持続可能な開発にとって必要なものであることを確認し、教育、健康管理、経済的機会を誰もが均等に享受できるようにしよう。
12 すべての人が自らの尊厳、健康、幸福を支えてくれる自然環境や社会環境をもつ権利を差別無く認め、特に先住民や小数民族の権利に配慮しよう。

Ⅳ 民主主義、非暴力と平和
13 民主的な制度と手続きをあらゆるレベルにおいて強化し、行政に透明性と説明責任を課し、意思決定へのすべての人の参加を確保し、裁判を利用できるようにしよう。
14 すべての人が享受できる公教育や生涯学習の中に、持続可能な開発に必要な知識、価値観、技術をとり入れよう。
15 すべての生物を大切にし、思いやりを持って接しよう。
16 寛容、非暴力、平和の文化を促進しよう。

出典:地球憲章推進日本委員会監修(2008 第7版):『地球憲章』、ぎょうせい。

ESDの大事な忘れ物―「地球憲章:The Earth Charter」―(その5 まとめ)

2017-05-06 15:20:25 | 日記
 そろそろ「地球憲章」をめぐる議論のまとめに入りたいと思う。
1. 日本でのESDの国による実施計画の最新版(『ESD国内実施計画(アクションプログラム)』(2016年3月)p.1)も述べているように、ESDは、これまでの社会を創ってきた価値と行動の在り方を見直し、“新たな価値と行動”を見出し、持続可能な社会の構築に向かおうと呼び掛ける、日本発・ユネスコ提案の人類社会の新世紀に向けた学びの変革を考える取り組みである。
2. ユネスコESD基本文書2(2006)は、“新たな価値と行動”を見出すための倫理規範として、「地球憲章」があると明言している。
3. 日本のESDを、さらに一段と高いステージに押し上げるためにも、「地球憲章」を、ESDが目指す“新たな価値と行動”のガイドラインとして組み入れてみることを提案したい。
(注)「地球憲章」(The Earth Charter)の策定過程や条項の具体の内容については、インターネット上に英語、日本語で公開されており、容易に参照できる。

ESDの大事な忘れ物―「地球憲章:The Earth Charter」―(その4 つづき)

2017-05-04 13:30:55 | 日記
1.ユネスコESD基本文書1
UNESCO(2005):United Nations Decade of Education for Sustainable Development (2005-2014) : International Implementation Scheme.

2.ユネスコESD基本文書2
UNESCO (2006) : United Nations Decade of Education for Sustainable Development (2005-2014) : Framework for the UNDESD International Implementation Scheme.

3.「地球憲章」をESDの倫理規範に採択した総会決議記録
UNESCO (2004) : Records of the General Conference 32nd Session, Paris, 29 Sept to 17 Oct, 2003, Volume 1 Resolution, p.35.

ESDの大事な忘れ物―「地球憲章:The Earth Charter」―(その4)

2017-05-04 09:45:43 | 日記
 ユネスコは、「国連ESDの10年」の世界展開に当たって二つの基本文書を策定した。第1が、「国連ESDの10年ユネスコ国際実施計画」で、第2が、「国連ESDの10年ユネスコ国際実施計画の枠組み」である。法律に例えれば、前者が法の本体であり、後者は、施行規則に当たるもので、両者は一体的に運用されるのが常と言える。したがって、我々は、これら二つをセットとして読み、はじめてESD推進の世界展開のユネスコの基本方針が理解できると認識すべきである。とりわけ「地球憲章」に注目すれば、第1文書では触れられていないが、第2文書では、「ESDは、基本的に価値の問題である」(p.2)と述べた上で、本文で価値の規範として「地球憲章」の活用を推奨すると共に、「地球憲章」の誕生の経緯やESDの推進における活用の意義までを2ページ(pp.15~16 )にわたり、分かり易く説明している。両文書の違いを言い換えると、第1文書は推進の基本方針を、第2文書が具体の内容について述べたものと言える。
 ユネスコがESDの国際展開に当たり、価値の転換を重視し、その具体的な規範例として、地球憲章を挙げていたことは、見過ごされてならない重要なポイントと言えよう。
(注)ESD推進の2点のユネスコ策定の国際的基本文書は、ユネスコ本部ホームページの出版物リストから冊子全文をダウンロードできる。