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広重の版画絵「王子装束ゑの木大晦日王子の狐火」のナゾ

2012-06-24 17:38:14 | 文化芸術
広重の版画絵「王子装束ゑの木大晦日王子の狐火」のナゾ
(東京都北区王子)

広重の最晩年の作といわれ、広重の最高傑作ともいわれる「王子装束ゑの木大晦日王子の狐火」。
この浮世絵は地域の恒例行事、大晦日「王子狐の行列」のイメージが生まれるロマン的資料となったとされているものです。

広重のこの絵は1857年の発表とされる。その前に「江戸名所図会」に長谷川雪旦(はせがわせったん)が1835年ころ「装束畠 衣装榎木」として同じ樹木の場面を描き発表しています。

榎木とその後に立つ松の木、そしてその下に群がる多くの狐たちのこの構図は広重に引き継がれました。
ただ、そのまま引き継がれたのではなく、広重の絵のほうの狐の配置は雪旦のよりずっとシンプルに明瞭に円陣となっているのが特徴で、漫然とした配置にはなっていないのです。
雪旦のでは木から少し距離を置いた付近の狐たちはおびただしく居て道や畑に散在していて、どこから来たという方向性も見られません。

広重の絵は縁あって、とくに身近に見てきました。そうしたなか、ある時ふと気がついたのは、世評言われる「榎木のもとで狐が着替えて王子稲荷へむかう、絵の奥が稲荷だ」という説明にたいして、狐がみんなこちらに向かってやって来る、という絵の実際です。これに気対いたときには我ながら本当に唖然としました。
ここに「王子装束ゑの木大晦日王子の狐火」の右奥の狐の大群部分を大きく拡大してご覧に入れましょう。

狐はみんなこっちにやって来る! それも、三々五々ではなくて恐ろしいほどの集団となって押し寄せる、といった風です。間違いありません。狐がこちらに来る絵だったんだ!
周囲に話しをしても、あたかも洗脳されているかのごとき反応を皆見せるのでした。
つまり、のっけに「そんなはずは無い」という反応です。つまりは、今までは世評のまま狐が向こうへ行く絵だと思い込まれていますので、しげしげとそこまでは見ていない、ということの反応です。
もしくは指摘されて気が付かれて、絵の奥は単なる森でそこからやってくるので不思議は無い、というものです。

広重絵をあらためてご覧いただきたいのですが。
広重が王子稲荷を画いた別の絵があります。

「王子装束ゑの木大晦日王子の狐火」とくらべて見れば、広重は奥の森と手前の茶屋風景とで王子稲荷の風情を表したのは間違い無いでしょう。

王子に狐の集合という場面はこれより古い時代の絵に他の人も描いています。
1641年、狩野尚信が「若一(にゃくいち)王子(王子権現・王子神社)縁起」絵巻の中に王子稲荷神社の関連に描きました。
王子の狐絵が出てきた資料としては今のところ最初のものです。

この絵では松の木(後世、榎木になりましたが、古くは松だったのです。)の下に二匹ですが、狐はあちこちに散見し、別に集団という表現は見られません。一様に小道にあちらこちらに幾匹もの狐が点在して遊んでいるようなものばかりでした。

狩野尚信の絵と、長谷川雪旦と、の両者のものとくらべて、広重の絵は違っていて、あきらかに鋭い主張性を持っています。
広重の絵は二つの大きな明解を持っているのです。一つは樹木の下の狐の円陣であり、一つは集団でこちらに寄せて来る狐たち、です。

人によっては、単に向こうの山からこちらに来ているだけだ、と言ってこの絵の説明を終わりにしようとされます。

私は、狐たちがわざわざ人気(ひとけ)の有る危険な民家の間をすり抜けてやって来なければいけない理由がきっとこの絵にはある、というふうに見ます。そうでなければ、世にひろく言われてきた「諸国より狐火が王子に集る」という題材だけだとしたら、一箇所の森から危険を犯して人家をぬって大挙やって来る狐火、というのは静寂な星空にくらべて、全く不似合いだけに終わってしまうのではないでしょうか?


単に正装束に着替えるため人家をぬってやって来る狐火、とは、いかにも何かがある!!! と思われませんか?

これはどうしても、描いた広重と版画を売り出した業者の説明との間に、異なる思惑があったとしか思われません。
こうした疑問をHTMLにしてあります。ご覧いただければ幸いです。

リンク→
「王子の狐、広重「王子装束ゑの木大晦日の狐火」の絵の不思議」をご覧ください。

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