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腫瘍内科医一家のニューヨーク滞在記

ニューヨーク研究留学中での出来事を感想を交えてメモ代わりにつづります。

15年間 早かったのか、遅かったのか。

2011年03月26日 00時58分58秒 | 日記

2011年3月25日、私の現在の所属長が開発し、直属の上司が臨床試験に携わったブリストルマイヤーズ社のanti CTLA4抗体(Ipilimumab)が、ついにメラノーマの治療法としてFDAに認可された。

開発から治療薬としての認可まで、15年間かかったとのこと。

早かったのか、遅かったのか、私にはよくわからない。


もちろん、まだメラノーマだけの承認なので、私が臨床医としてもっともかかわってきた乳がん、消化器がん等の発祥頻度の高いがん種の治療とは直接関係がないが、将来、日本はともかくとして、欧米では、がんに対する免疫療法の研究、臨床試験がさらに加速化することは間違いない。
残念ながら、いまだに日本では化学療法以外は一切認めないオンコロジストの方も
多いのであるが、少なくともこちらではこの話題で持ち切りなのである。

少なくとも日本はこの分野では明らかな後進国であるし、その感覚すらない医師が大半であろう。

日中はアメリカンドリームを身近な人間が達成するのを目撃できて興奮していたが、帰りの道中、日本の現状を思うと何とも言えない寂しさを覚えた。

現状では、私のような経歴の腫瘍内科専門医は日本では皆無であろう。 所詮、私は日本では「異端児」なのかもしれない。