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腫瘍内科医一家のニューヨーク滞在記

ニューヨーク研究留学中での出来事を感想を交えてメモ代わりにつづります。

紳士たるもの急いではならない!?

2010年03月26日 16時27分00秒 | 日記
 どうも、まかされている自分のプロジェクトについて予想していたデータが出てこない。
 テクニシャンは本当によくやってくれている。
 それにしても、他の研究グループのきれいなデータには首をかしげざるを得ない。
 今晩、上司の意向でこのプロジェクトに関しては、サポートのテクニシャンを一人減らして少しペースダウンすることに決まった。もちろん、貴重な患者さんの検体を使用させていただいているので、少し時間がかかったとしても最終的にはまとめていくつもりである。

 やはり、たいていの場合、研究は予想通りにはいかない。

 いよいよ、年末から検討していた同僚のロシア系の医師との別のプロジェクトにも本腰をいかなければならない。この医師は9歳のころにロシアからニューヨークに移民としてやってきたためか、英語のつたない自分に対しても好意的である。話はそれるが、彼は身長が2メートル近くあり目線がああまりに違いすぎて不思議な感覚である。
 こちらのプロジェクトは、学界でも意見が分かれていて、とくにヒトではあまりよくわかっていないところが多いのであるが、自分から提案して始めるだけにやはり気持ちが入る。最近忙しくなってきた自分に気を使ってくれているのか、このプロジェクトにサポートのメンバーを新たに一人つけてくれた。素直に感謝しないといけない。
 
 研究グループ全体のメインのプロジェクトについては、今週のミーティングで難しいパートを任されることに決まった。予想はしていたが、やはり新しく挑戦的な試みをテクニシャンに任せるわけにはいかないのか。プレッシャーがかからないと言ったら嘘になるが、好意的に解釈すべきなのかもしれない。 


 今日、大御所の先生から、唐突に「真の紳士は決して急がないものである。」と諭された。なんとキザなものいいであろう!と思ったが、ハッとさせられた。
 いままでの自分がいかに恰好悪く映っていたかについても思い知らされた。
 深く思考するためには、心に少し余裕を持つ必要があるということなのだろう。

マンハッタンで面白い三輪車を発見!? 

2010年03月22日 10時36分26秒 | 日記
 週末家族とマンハッタンのミッドタウンを歩いていたところ、面白い車を発見。
 
 なんと、小さな一人乗りの三輪自動車にはNYPD(ニューヨーク警察)のロゴが!

 本物のパトカーなのである。

 こんなんで泥棒に追いつけるのか、なんて変な心配をしてしまった。

 息子は喜んで記念撮影。

ニューヨークの気候 3月 

2010年03月21日 11時18分42秒 | 日記
 ニュースでは日本もいち早く20℃以上を記録したとのことであったが、昨日からニューヨークが急に暖かくなった。
  
 先週末は、大雨というか大風?でマンハッタン内では大量の傘が無残にも破壊されて街中にあふれかえっていた。我が家の折りたたみ傘も見事に破壊されてしまった。トホホ。
 この影響で、日本人が多く住む西側のニュージャージー州、北部のウエストチェスター群では大量の木が倒れ、電気が不通になってしまい、中には数日間もホテルに避難した方もおられたとお聞きした。
 
 ほんの数日前までマンハッタンは風が強いこともあり、体感的にはとても寒くコートが必須であったが、なんと、昨日は22℃にまで上昇!今日も日中は20℃前後あり、子供たちと外で遊んだときにも、ポロシャツ一枚で十分であった。
 
 しかしながら、来週末は最低気温が氷点下の日も予想されており、日本人にとってはなんとも激しい寒暖差である。

 激しい気候の変化を経て、もうすぐ待望の春が到来する。

ニューヨークの洗礼 その2 やられた!

2010年03月19日 06時00分00秒 | 日記
 研究留学をしている人、これからしようとしている人に予め知っておいていただきたい事例を少し。先輩から同じような話を聞いたことがあり、ある意味この世界では当たり前かもしれないが。
 
 昨日、研究室のミーティングがあった。
 研究所のチェアマンも出席したその席で、なんとなんと、あるテクニシャンの実験計画が、先日自分がしたい実験内容としてラボのメンバーに提案したものほとんどそのままであった。もちろん、自分は最近忙しいので、番頭さんが配慮したと言えば聞こえはいいが、こちらに一言もなくいきなりテクニシャンに指示を出していたとは完全に意表をつかれた。
 
 この世界では、テクシャンが「番頭さんの指示」で実験をすることは、でてきたデータは番頭さんのものになることを意味する。まあ、たいしたデータが出てこないだろうが。

 チェアマンの前で、愛想を振りまきながら説明する番頭さんはある意味すごい。なるほど、科学的能力がそれほどなくても、出世するにはわけがある。あとで遠慮がちにテクニシャンが、番頭さん自身が実験の仕方がよくわからないから、私に細かい実験内容のアドバイスをもらうように指示したとのことで、実験計画を記したプリントを持ってきた。
 その時本当に時間がなかったこともあり、「ごめんね。今時間の余裕がないので、後で見るから詳細をメールで送ってね。」と、とりあえず一呼吸置くことにした。

 ここで切れたら、こちらの負け。
  
 テクニシャン自身には何の罪もない。彼女は上司の指示を忠実に実行しているだけ。
 番頭さんにどのようにクレームをつけるか、少し頭を冷やしてから考えることにした。
 してやられた後で揉めるよりは、本命の仕事ではなく、単なるショートプロジェクトの一つぐらいにしか思っていなかったので、今回は引き下がるのも一つの手かもしれない。

 当たり前だが、仕事の結果と人間性は全く関係ないのである。
  
 こちらに来る前、中国やインドから来た研究者の中にはすさまじい!?人がいるから、いい意味で負けないように自己アピールできるように頑張らないと行けないと言われたことが思いだされる。もちろん、前にも記したが多くの中国やインドの方々はいい人なので決して誤解しないでいただきたい。
 
 一般の日本人的な感覚ならあり得ないが、研究の世界ではどんな手を使っても先に実験をしてデータを出したもの勝ちという空気がたしかにある。
 極端な例では、実験ノートを机の上に忘れようものなら、データが盗まれ、知らないうちに自分のデータで論文が発表されていたなんでこともあるらしい。こちらにきて、帰宅時には机の鍵を毎日閉めるか、実験ノートを毎日持ち帰るようにアドバイスされた。

 いつまでも、わきの甘い自分のままではいけないと痛感。
 今回の件は、第三者的には情報管理という面で隙があったということなのであろう。
 もっと仕事のスピードと精度だけでなく、人との交渉力を上げていかないとここでは通用しないのだろう。しかし、関西弁で言うところの「こすい」奴になり下がってしまっては、こちらに何を勉強しにきたかわからない。

 ノーベル賞学者から、口のうまいペテン師タイプまでありとあらゆる人間が混ざっているのが今の職場。
 またまた、ニューヨークの洗礼を受けるはめになった。

カタツムリが増えている!?

2010年03月17日 11時41分39秒 | 日記
 先週末はホワイトデー。
 
 先月、妻と娘がバレンタインデーとのことで、手作りのチョコレートを作ってくれた。
 普段はお父さんは太っているからお菓子禁止と言っている娘や妻が今日はやけに優しい。
 もちろん、一か月後の見返りを期待してのことであることは、こちらも百も承知!
 甘党の私は久しぶりにチョコレートをたくさんいただいた。

 土曜日があまりに大雨とうかすごい風!であったため、日曜日に息子と二人で、ホワイトデーのプレゼントを探しにマンハッタンのアッパーイーストエリアを散策した。
 そこで、とてもかわいらしい雑貨屋を発見した。
 カラフルで、昆虫や魚や動物をかたどった雑貨や文房具が目白押しであり、いくつか衝動買いしそうになった。こどものお友達にお土産を買っていくのに最適である。
 
 息子が、お姉ちゃんにカタツムリ型の鉛筆立てを渡したいと強く主張し娘へのお返しのプレゼントは決定。「お前はなんかいらんのか。」というと、息子は「ええわ。」と珍しい返事。家に帰って夕食前に、息子がどうしても自分自身がプレセントを渡したいといい、お姉ちゃんにプレゼントを贈呈。
 小学校三年生なので、あまり喜ばないかなと思っていたが予想外に喜んでくれた。
 息子も、「自分が選んだんだよ。」と自慢げであった。

 今日、夜帰宅すると、カタツムリが2匹に増殖しているではないか。
 息子を見ると、うつむいてバツが悪そうに遠慮がちな様子。

 やっぱりあのカタツムリは自分がほしかったんだね!

 あの日よく我慢したことと、息子にはバレンタインデーに何もプレゼントしていないとのことで、妻が、今日同じものを買ってあげたとのこと。
 そういえば、先週日曜日出かける前に、息子に向かって、「今日はお姉ちゃんとお母さんにホワイトデーのプレゼントを買いに行くのだから、お前のプレゼントを買いに行くのではないぞ。」といったことを思い出した。

 近頃、仕事で頭がいっぱいで余裕がなかったが、素直なかわいらしい子供たちとの今の時間も大切にしなければいけないと実感。そう長くは続かないんだろうな。