天と地の狭間で

2007年4月3日をもって、引っ越しを行いました。

魚座の人

2007-03-21 | 中身
此処で言う所の「魚座の人」というのは当然ながら魚座ピスケスの黄金聖闘士、アフロディーテの事です。聖闘士星矢という作品のメインターゲット層を考慮すれば仕方がない部分もありますが、当時彼ほど誤った評価をされてしまった人というのも珍しいのではないか、と私は考えています。
オカマだとかナルシストだとか、黄金聖闘士最弱だとか薔薇が無ければ何も出来ないとかキャラが薄いとか世間では散々な言われようですけれど、これらの評価は全く事実無根であり、実際のアフロディーテは本当に素晴らしい殿方であるという事を、今回は立証致しましょう。

まず、彼は確かに優れた容貌を備えた男です。瞬の言葉を引用するならば
「十二宮最後の双魚宮を護る聖闘士、その美しさは88の聖闘士の中でも随一といわれる。天と地の狭間に輝きを誇る美の戦士!ピスケスのアフロディーテ!!」
……む、むぅ。確かに凄いインパクト。天と地の狭間に輝きを誇る美の戦士です。凄まじいキャッチコピーです。
しかし。
これはあくまでも瞬の評価であり、アフロディーテ本人は一度たりとも自身の美について言及はしていません。女装している訳でも女言葉を使ったりもしていませんし、その立ち居振る舞いは実に堂々としたモノです。確かにアフロディーテという名前は女性名詞ですけれど、名前なんて他人がつけるモノなのですから、本人を責めるのは御門違いという物。
つまり彼は、あくまでも他人からの評価として「全聖闘士の内で最も美しい」とされているのです。外見的な美しさは、このような物語においては軽んじられる傾向にありますけれど、当然の事ながら醜いよりは美しい方が素敵です。全ての存在は皆それぞれ異なる以上、オンリーワンである事は当然で、闘争というモノはそのオンリーワンを比較してナンバーワンである事こそ肝要なのですし。

次に、彼の精神について。
自分自身に酔うナルシストどころか、彼は非常にシビアな思考の持ち主である事が原作において明らかにされています。
彼の信条を端的に示す台詞を抜粋してみましょう。
「他の黄金聖闘士はいざ知らず、少なくとも巨蟹座のデスマスク山羊座のシュラ…そしてこの魚座のアフロディーテの三人は過去の教皇の行いを知った上で、敢えて忠誠を誓っているのだ。なにが正義で何が悪かもわからんヒヨコのくせに…最後だから教えてやる、いいか力こそ正義なのだ!教皇こそ、その偉大な力を持った御方だからこの聖域を手中に収めるのに相応しいのだ。幼い赤子などに何が出来た?教皇が居たからこそ大地の平和が今まで守られて来たのだ」
えぇ、完全無欠に正論です。仮にも神のくせに、たかだか白銀聖闘士の矢座のトレミー如きに胸を射抜かれて意識不明に陥る惰弱なアテナなどよりも、圧倒的な実力を誇る教皇サガに協力する事によって大地の平和を確実に維持する。これはとても理に適った事です。
確かに聖闘士の役割はアテナの守護ですが、アフロディーテは無力なアテナに盲従する事よりも大地の平和を優先させたという事。勿論アフロディーテやデスマスクが教皇を騙るサガに従っていたからといって、何か優遇を受けていたなんて描写はありません。私利私欲の為では無く、あくまでも地上の平和の為に逆賊の汚名を敢えて受け、そしてそれを恥じる事なく胸を張る。とても共感できますし尊敬できる生き方であると、私は考えます。

そして、彼の実力ですけれど。
これは黄金聖闘士の中で最弱どころか、屈指の戦闘能力を誇る事は明らかです。双子座ジェミニのサガや乙女座バルゴのシャカ等のインチキな強さであるかは兎も角として、少なくとも牡牛座タウラスのアルデバランや蠍座スコーピオンのミロ辺りとは比べモノにならない実力者であると断言出来ます。
端的な例を挙げてみましょう。アフロディーテは十二宮の闘いにおいて瞬と相討ちになったのですが、この瞬という青銅聖闘士の坊やは……はっきり言ってしまうなら、最強なのです。必殺技のネビュラストームは「出せば勝つ」という物であり、アルデバランに完勝した海魔女のソレントをも討ち倒す反則気味な絶技。コレを喰らいながらも相討ちに持ち込んだというのは、それはもう途轍もない事。
無論アフロディーテ本人の技を一つ一つ検証してみても、その恐ろしさには戦慄を禁じ得ません。
まずは「その花粉を僅かにでも吸い込めば、相手は五感が低下し一切の苦しみも無く陶酔の内に死に至る。無論アフロディーテ本人には無効」という遅効性死亡技ロイヤルデモンローズ。
更に「触れる物全てを砕き滅ぼす漆黒の薔薇を生み出し放つ。一切の防御行動は無効であり、回避する以外に死から逃れる方法は無い」という即効性死亡技ピラニアンローズ。
そして極めつけは彼の最大の奥義、ブラッディローズです。アフロディーテが語るその脅威の効能は、以下の通り。
「この白薔薇はブラッディローズといって、わたしの手から離れた瞬間きみの心臓に突き刺さる、どんなことをしてもかわすことは出来ない!そしてこの白薔薇がきみの血を全て吸い尽くし真っ赤に変わった時、きみはもはやこの世に居ない…」
……凄すぎですよ。放った瞬間に心臓に突き立ち、どんな事をしても回避不可能なんて、まさに必殺技と呼ぶに相応しい。こんなの撃てばポセイドンだろうがハーデスだろうが倒せます。……多分。

まぁそんな訳で、魚座ピスケスのアフロディーテこそは88の聖闘士の中でも随一の才色兼備、素敵極まりない殿方です。デスマスクと共にハーデス軍の目を完全に欺いた戦勝の立役者でもある訳で、何の役にも立たない射手座サジタリアスのアイオロス等よりも余程、聖闘士の鑑と呼ぶに相応しいという事が明々白々となりました、ね。
コメント (7)
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