天と地の狭間で

2007年4月3日をもって、引っ越しを行いました。

夢と希望と力と意志と覚悟

2006-07-30 | 中身
この五つが全部揃っていたならば、人は何にだってなれるし、どんな事だって出来ます。
友を殴り殺さず、私も殴り殺されず、共に歩み寄り今を迎える事が出来たように。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

私信

2006-07-29 | 中身
友に対して卑劣な騙し討ちを行う事は私の流儀に反しますので、予め宣言しておきましょう。
笑って見送るつもりでしたが、状況が変わりました。
私にとって、友の願いは即ち自身の誇りです。
闘争の才能というモノを、御覧に入れましょう。
私を殴り殺しても進む意志と、それを成し遂げるだけの力と、拳を突き動かす覚悟。どれ一つ欠けても夏休みは堪能出来ないと覚悟して、いらっしゃいますように。

相手が友であっても、友であればこそ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

悪の矜持

2006-07-17 | 中身
等と書きますと大仰なタイトルですけれど、それ程鯱張った事を書く訳ではあません。
有り体に言ってしまえば時代劇の悪役について、です。

私は子供の頃から俗に言う「月9」の類が性に合わず、影の軍団や必殺仕事人や江戸の用心棒等を好んで視聴していました。頭が悪く根本的な誠実さに欠ける他人の惚れた腫れたを10回以上に渡ってダラダラと見せつけられても退屈なだけ、それよりも基本的に一話できっちりと完結する時代劇に心惹かれていた訳です。
さて、時代劇の華と言えば悪役です。悪役こそは主人公を引き立て話を動かす張本人、その器量によって作品の優劣が決定されると申し上げても過言ではありません。無論、同一作品内においてもほぼ毎回悪役というのは斬り殺されて変わってしまうのですけれど、悪の器の大きさという観点から見た場合、作品毎に朧気なアウトラインが浮かび上がってくるのです。時代劇は星の数、挙げればきりがありませんので、此処では誰もが御存知の有名な三作品、「水戸黄門」「遠山の金さん」「暴れん坊将軍」を題材として見て行きます。

まず、時代劇界でも屈指のヘタれ悪役といえば「水戸黄門」シリーズの連中です。
こいつらは基本的に地方の代官クラスですし、やっている悪事も「地元の極道一家と結託して名産品の独占供給を狙う」程度の可愛い代物で、田舎娘を手込めにしようと試みても大抵未遂に終わってしまう詰めの甘さ。そして何よりも、たかだか「前の副将軍」程度に縮み上がり抵抗を放棄して観念してしまうという中途半端極まりない連中です。こいつらは悪と名乗るのも烏滸がましいゴミクズ、問題外と言えましょう。

これよりかなりマシなのが、「遠山の金さん」シリーズの悪役。
下は夜盗から上は奉行クラスまで幅広い悪党が揃っていますが、彼等は非常に図太く傲慢であり、其処が悪役としての大きな魅力になっています。
「遠山の金さん」は他の時代劇同様、基本的なフォーマットは毎回同じなのですけれど、そのテンプレートの一つにこのような物があります。
1・御白州で叫く悪党共。台詞は大抵、「オレ達がやったっていう証拠を出しやがれ」系
2・その回のヒロインが、はっと気が付いて「そうだ、金さん。遊び人の金さんが全て見ていました!」
3・せせら笑う悪党共。「へっ。それならその金さんってヤツを此処に連れてこいや?」
4・調子に乗る悪党共。「そうだそうだ、金さんを出せ金さんを!」
此処までは、まず毎回一緒。ここから分岐するのですけれど……まず一つは、
5・調子に乗りまくる悪党の首魁。「証人の金さんが居ないんじゃ話にならない、手前共は帰らせて頂きますよ」
というパターン。直後に
6・金さんが怒って正体を明かし、首魁は市中引き廻しの上打ち首獄門、余の者終生遠島を申しつけられる。奉行クラスの悪党には後ほど評定所より切腹の沙汰
になります。まぁコレはこれで素敵なのですが、私が好きなのはもう一方のパターンです。それは
・調子に乗りまくる悪党の首魁。「御奉行、全てはその金さんが仕組んだ事に御座います」
……す、素敵すぎます。こいつらがやっている悪事というのは、材木問屋と火付盗賊改が組んで江戸の町に放火して材木の値段を吊り上げるとか、回船問屋と勘定奉行が組んで抜け荷でボロ儲けとか、そういったレベルの事なのに。それら全てを、遊び人の金さんが仕組んだと言い切る図々しさ!ここまでやれば大したものです。まぁ、結局
6・金さんが怒って正体を明かし、首魁は市中引き廻しの上打ち首獄門、余の者終生遠島を申しつけられる。奉行クラスの悪党には後ほど評定所より切腹の沙汰
になるという結末は不動なのですけれどね。

そして、最高級の悪役が「暴れん坊将軍」シリーズの連中です。
彼等はそもそも他の時代劇の悪党連中とは地位が違います。下は若年寄、上は尾張大納言まで兎に角地位も権力も兼ね備えた大物揃い、手を染める悪事も幕府転覆や江戸城爆破など、桁が違うものばかり。
無論彼等も毎回吉宗に成敗される事に変わりは無いのですけれど、流石に田舎代官等とは異なり、悪の矜持を見せつけてくれます。
「暴れん坊将軍」クライマックスのテンプレートは
1・悪党が屋敷で宴会を開き、我が世の春を謳歌
2・突然響き渡るエコーのかかった吉宗ヴォイス。「そなた達の企みも今宵限りだ」系
3・驚く悪党。「何ヤツだっ、何処から入り込んだこの田舎侍が」
4・メンチ切る吉宗。「たわけ。余の顔見忘れたか」
5・ビビりまくる悪党。とりあえず平伏。
6・高圧的に命じる吉宗。「そなたの悪行断じて許せぬ。潔く腹を切れ」
という感じなのですが、無論これで終わったりしません。上様に命じられたくらいで大人しく腹を切るような腑抜けは、「暴れん坊将軍」の悪党の中には一人も存在しないのです。毎回毎回、尽く吉宗を睨みつけて悪足掻きを見せてくれるのですけれど……この時の台詞こそが、彼等の真骨頂と言えましょう。
7・「かくなる上は、上様に冥途の道連れになって頂く。お手向かい致しますぞ!」
なんていうのは、まだ可愛い方です。大抵は
7・「くっくっく……されど此処で死ねば上様とて一介の素浪人。お命頂戴仕る!」
等と叫んで手下を呼び寄せます。手下に対しては
8・「この者は上様の名を騙る不届き者である!斬り捨てい!!」
と、きちんと斬る為の理由付けもしてやるという気遣いも忘れません。
しかし。彼等はまだ、思いきりが足りません。「暴れん坊将軍」シリーズの真の悪党はこう叫ぶのです。
7・「くっくっく……誰が腹など切るものか。えぇい者共、上様でも構わぬ、斬って捨てよ!」
……。
す、素晴らしい。相手を本物の将軍だと認めた上で、配下の者にも隠さず知らせた上で、それでも公然と叛逆して見せる。こんな事、そう簡単には出来ません。配下の連中にしても相手が将軍と知りながら刃を向けたりしたならば、我が身は切腹、御家は断絶、一族郎党は良くて島流しは避けられないところ。それでも彼等は吉宗に斬りかかって行くのですから、悪党の人望恐るべし、です。


と、まぁこのように一概に悪党と言っても様々であり、単なるゲスから誇り高い者まで色々存在します。
格好良く生きたい、というのが私の望みですので、水戸黄門の悪役のような腑抜けにならぬよう、「上様でも構わぬ、斬って捨てる!」と言えるよう、頑張りたいと願う日々です。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

都内某所・3

2006-07-02 | SS
「大儀であったのう外法の死紋。魔技戮獄陣、ほんに見事であった。此度の一件比類無き広告となるであろう、当家の内証で轟々と回り続けておった火の車も此にて止まるは必定じゃ」
「……御屋形様も矢張り先代様の御息女、欲の無い御仁ですな。血は争えませぬ」
 闇の中に響く声は、時代がかった口調に反して幼い子供のもの。そしてそれを遮った声は、男とも女とも判別のつかない地の底から響くような不気味な代物だった。
 労いの言葉をかける主に対して非難めいた台詞を放つ、その姿は深い深い闇の底、常人に容姿を確認する事は叶わない。このゲホウのシモンと呼ばれる者こそが、今回一連の襲撃者達を戮獄陣なる術技を用い単身で壊滅させた張本人に他ならない。
 一方の主は気分を害する事も無く、喉の奥からくっくっと笑い声を漏らした。
「手緩い、と言いたいのであろうが死紋よ、そなたは限度を弁えぬ。一時期の隆盛見る影も無しと言えど法王庁は依然強大じゃ」
「強大であればこそ我等が技を示す格好の機会となりましょうものを。この期に及んで手仕舞いとは、よもや臆病風に吹かれた訳ではありますまいな」
 抗弁というよりは誹謗に近い言葉も、幼女には何の感銘も与えた様子が無い。
 まるで九官鳥と言葉を交わすが如く、ただ淡々と答えを返すのみ。
「相も変わらずそなたは任務と己が欲求を混同するのう死紋。刃を収めしは我等では無く先方、其の事実を以て此度は事足りよう。そして事足りたならば手仕舞いは至極当然であろうが。獲物の心の重石を狂わせる事により同士討ちを誘うそなたの外法の理は、金やら信仰やらという確固たる礎を持つ者達に致命の鬼札、されど彼奴等とて同じ札が延々と通じる程に容易い相手では無いわ。真の雇い主以外に見せる手札なんぞ少ないに越した事は無し、故に頃合いと言っておる」
 理を以て詰められた従僕は、隠しもせずに舌打ちを一つ。しかし礼節に著しく欠ける言動の数々も自分ならば許される事を、死紋は知っている。
 何故ならば、自分は有能であるからだ。此処では有能である事こそ何よりの保身、主の手綱を食い千切るような真似をしない限り、まず始末されるような事にはならない筈。その自負が、本音を漏らした。
「……この外法の死紋、御屋形様に言うなれば三汁七菜三菓子付きの馳走を与えられ、喜び勇んで躍りかかり申した。しかるに箸を握り口元に運び舌先を触れ、いざこれからという段になって取り上げられては黙って引き下がる訳には参りませぬ。他の十忍ならば聞き分けましょうが拙者の外法は欲得ずくでこそ効能を発揮する術技、行儀の良さとは無縁である事既に御存知の筈」
「無論心得ておる、心得ておるが故に此度の任を与えたのじゃ。そなたの外法は強大なれど、秘かに磨くに適さぬ代物よ。なればこそ見せ札とする事で真価を発揮する機をくれてやろう、とな」
 主のその言葉に、死紋の身体が闇の底で蠢いた。人間が生来心の奥底に隠し持つ濁り澱んだ欲求を露わにして、滲ませるのは……純粋無垢な歓喜。徹底的に使い倒すと明言されたに等しい言葉だが、それは徹底的に存分に己の術技を行使出来るという事でもあるのだから。
「成る程、流石は御屋形様。外法の死紋、必ずや御期待に応えて御覧に入れましょうぞ」 
「儂は予測はしても期待はせぬ。わけても死紋、そなたにはのう」
 喜色に満ちた言葉に素っ気なく応じると、用は済んだとばかりに幼女は踵を返し立ち去る。一人残された死紋もまた、熱き泥土の如き欲望に心焦がしながら闇の底へと沈んで行った。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする