今回は武会関連の事を書こうと思っていたのですけれど……前回の「二つの美学」に関連する事件がありましたので、まずはソレについて。
まずは、こちらのニュースを御覧下さいませ。
http://japan.cnet.com/news/tech/story/0,2000056025,20311967,00.htm
色々書いてありますが、とりあえず私が突っ込みたいのはSCE広報担当者の、このコメントです。
「PSおよびPS2のソフトは8~9000ある。問題があるのはその一部。音が聞こえない程度であれば、我慢すれば遊べるので問題ないと思う人もいるだろう。ハードの進化による非互換の問題は他社を含めて業界として知られていること。当初から互換率は100%ではないと考えていた。PS2の時はゲームプレイの進行に支障をきたすソフトの一覧を公表したが、PS3では(不具合の)症状に併せて遊んでもらうことができるようにするため、それら(各ソフトの不具合状況)を細かく書いていくスタンスを取っている」
……ほほぅ。この広報担当者はゲームにミュージックは必要無い、これが仕様なのだからユーザが合わせろ、と仰りたいようですね。
ちなみにSCEの社長さんは以前、「PS Business Briefing 2006」における基調講演に於いて、こんな事を宣言していらっしゃるのですけれど。
「我々がPS3でキーだと思っているフューチャーをいくつか列挙してみました。これは皆様と一緒に再確認させていただきたい。まずPS3は先ほどお話ししましたように、初日からPS1そしてPS2との互換性をきちんと取る。我々としてベストの互換性を取る、ということを、ここで皆さんにご確認させていただきたいと思います。敢えてこういう事を言うのはですね、意外とそれが出来切らないプラットホームもあると聞いておりますので、我々はここをきちんとやる、と。」
……なるほど。言行不一致というのは格好悪いモノだという良い見本です。
ついでに、
「PS3発売日の11月11日までにソフトの動作に対する修正をするため、我々は寝ずの作業を続けるなど、最大限の努力をしてきた。CNET Japanの記事中にあるコメントで、企業として消費者に冷たい印象を持たれかねない発言があったが、伝えたかった真意は『不具合という言葉だけで一概に言い表すことはできないので、ソフトごとの状況を詳細に公開し、利用者の方々に判断してもらいたい』ということだった。『スタンス』という表現は不適切だったと考えており、我々は利用者の立場を第一に考えている。実際、CNET Japanに指摘された点については、即座に修正した、(PlayStation公式サイトのトップページに告知をアップ)。今後もなるべく多くの人に楽しんでもらうため、ソフトの修正などに最大限の努力をしていく方針だ」
なんて蛇足もついていますね。
我々は寝ていない。ふむ、以前どこかの乳製品メーカーの社長も同じ言葉を口にしていました。広報という部署は情報によって自社の評価を向上させる事がお仕事だと認識していたのですけれど、このコメントで納得して「そうか、寝ていない程頑張っているなら多少の不具合は仕方がない。その姿勢だけで充分、これからも安心してソニー製品を買おう!」と思われる方が一人でもいらっしゃるのでしょうか。
神ならぬ身の人間ですから、どれだけ万全を期しても失敗は生じてしまうものです。しかし、その失敗と真摯に向き合い誠意ある対応を行う事で、結果的に高い評価を得る事も出来ますのに……とても残念な事だと思います。