わたしは父に そっと魔術をかけた
わたしたお金は たったの3,000円
それでも きもちはつたわるとおもったから
それでも ちいさなホールケーキくらいは きっと買えるとおもったから
あのあと父はどうしたんだろう わくわく 家に帰る
居間のはしに 花たばがあったのだろう 銀紙 セロファンにリボン
花たばを買ったのね…
「おとうさん、花を買ったの?」と母にわたし
「うん…。あの、ありがとう」
「ありがとう?」
「あなたがお金くれたって、パパが言ってたから…」
うそがつけない性格ね。失笑する
「どこにあるの? その花」
「玄関にかざってあるのよ。パパが、あなたが帰ってきたらいちばんにわかるようにしよう、って」
…うかつ。気づかなかった
玄関に行ってみる。そこには、おおきな、けれど どこか貧相な 花束
かすみ草がたくさんたくさん。そこに、つぼみをいくらか秘めたゆりが、一輪。
「…なんか、バランスとれないね…」
母も、姉も、わたしも、おもった
予算が予算だからなあ…
しかし そのつぼみはどんどん 開花する
10日経ったころ、大輪が 3つになっていた かすみ草とのバランスもばつぐん
…こうなることを見こして 花をえらんだ花屋さんが、ほんとうの 魔術師かもしれない
わたしたお金は たったの3,000円
それでも きもちはつたわるとおもったから
それでも ちいさなホールケーキくらいは きっと買えるとおもったから
あのあと父はどうしたんだろう わくわく 家に帰る
居間のはしに 花たばがあったのだろう 銀紙 セロファンにリボン
花たばを買ったのね…
「おとうさん、花を買ったの?」と母にわたし
「うん…。あの、ありがとう」
「ありがとう?」
「あなたがお金くれたって、パパが言ってたから…」
うそがつけない性格ね。失笑する
「どこにあるの? その花」
「玄関にかざってあるのよ。パパが、あなたが帰ってきたらいちばんにわかるようにしよう、って」
…うかつ。気づかなかった
玄関に行ってみる。そこには、おおきな、けれど どこか貧相な 花束
かすみ草がたくさんたくさん。そこに、つぼみをいくらか秘めたゆりが、一輪。
「…なんか、バランスとれないね…」
母も、姉も、わたしも、おもった
予算が予算だからなあ…
しかし そのつぼみはどんどん 開花する
10日経ったころ、大輪が 3つになっていた かすみ草とのバランスもばつぐん
…こうなることを見こして 花をえらんだ花屋さんが、ほんとうの 魔術師かもしれない