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中国人民武装警察部隊について

2017-02-07 22:40:46 | 中国軍事
見出し画像は国旗を掲揚する武警、天安門広場で毎朝国旗を掲揚しているのは北京総隊第14支隊第6中隊通称「国旗班」である

と言う訳で中国人民武装警察部隊(以下:武警)の概要についてつらつらと書きたいと思います。


(正直中国安全保障レポート2014を読めば似たようなことを書いてあるのでちゃんと知りたい人はそっちを読んでください)

1武警ってなに?

武警は人民解放軍から治安維持作戦を切り離す形で1982年に中央軍事委員会の下設立された部隊である。
武警の前身としては新中国設立以前の中国人民公安中央縦隊を基に編成された人民公安部隊が中国人民解放軍公安部隊となりその後公安軍へと拡大した後中国人民武装警察部隊として縮小改編され最終的に解放軍に編入され再び武装警察部隊として復活したという経緯があるがここではその話は省略する。
武警の主たる任務は国内の治安維持作戦であり総兵力は2005年の時点では約150万人とされ2014年の時点で武装人員は66万人とされいる。
年度が違うとはいえ総兵力と武装人員に84万人もの兵力差があるのは武警には国内の治安維持以外にも多くの任務がありその任務を完遂するために多種多様な部隊が存在するからである。

2武警にはどんな部隊があるの?

先に述べた通り武警は多種多様な部隊が存在する多様な性質を持つ組織であり画一的な指揮はほぼ不可能である。その為武警は「統一計画、分級管理、分級指揮」(統一的に計画しそれぞれ管理、指揮をする)の原則の下にある。
武警には中央軍事委員会の下に武警総部がありその総部直轄指揮下の内衛部隊、武警総部と国務院関連機関指導下の「水電、黄金、交通、森林」の警種部隊、そして公安部の辺防、消防、警衛局の指導を受ける公安系統の三種類の部隊がある。
内衛部隊は直轄また警種、公安系統の部隊についても軍事、政治及び後方支援業務については武警総部の指導を受ける。

内衛部隊

武警総部の直轄指示を受ける内衛部隊は武警の主力である。
内衛部隊には各省、自治区、直轄市、新疆生産建設兵団司令部指揮下にある32個の総隊、機動師団、特殊警察部隊の3種類の部隊が置かれており主な任務は
① 「党政機関、外国大使館・領事館、飛行場、放送局、通信中枢、重要な橋、トンネル、看守所、監獄、労働改造所」などの武装警備や大都市と特定地域の治安警
護など
② 国家経済建設への支援、災害時の災害救援
③ 戦時における防衛作戦への協力
である。
総隊の組織としては武警総部の下に総隊(省、自治区、直轄地)がありその下に支隊(地区)大隊(市、盟)or中隊(県)と続いていくといった具合である。
空港や街中で見かける武警のほとんどがこの内衛部隊であり中国へ旅行に行かれたことのある方ならきっと一度は目にしているだろう。

街中で警ら活動を行う武警

駅で警ら活動を行う武警

暴動の鎮圧も内衛部隊の重要な任務だ(公安との合同暴徒鎮圧訓練の様子)

武警総部の隷下にはヘリコプター部隊を創設する動きがあり現在新疆、山東、山西、寧夏、湖南、四川の武警総体にヘリコプター大隊があり長距離移動、航空偵察、三戦宣伝、衛生サービス、人命救助の用途で使われている。

武警のヘリ白塗装に赤文字で武警と書かれている

新疆総隊のヘリには迷彩が施されている

武警機動師団は江沢民の50万の兵力削減計画の中で14個歩兵師団(約20万人)をそのまま武警に編入させたものである。
編成については解放軍と同じであり装備も分隊支援火器やロケットランチャー、装甲車を装備しており軽歩兵部隊といったところだ。
普段は治安維持作戦には参加せず訓練に専念し緊急出動に備えているが災害派遣等には参加する。

機動師団の演習の様子左端の兵士が95式軽機関銃を所持している

同演習の写真、敵陣地へPF89ロケットランチャーを撃つ機動師団隊員

武警機動師団の92B式装輪装甲車

特殊警察部隊は武警の所謂対テロ特殊部隊であり中国メディアなどでは「武警特戦」と呼ばれている。
ヨルダンで開催されている特殊部隊大会では2014年は「雪豹」突撃隊代表チームが優勝し、四川総隊特戦大隊代表チームが2位、新疆総隊特戦大隊代表チームが4位に入賞しており2016年度大会でも「雪豹突撃隊」と「河北燕山隊」が8項目中4項目で1位2項目で2位を受賞し「河北燕山隊」の隊員が個人射撃優秀賞で2位を取るなどしている。

2014年度特殊部隊大会参加時の雪豹突撃隊

雪豹突撃隊の狙撃手

2016年6月に北京市内で行われた対テロ宣伝活動に於ける装備展示に登場した雪豹突撃隊員

雪豹突撃隊の防弾猛士

過酷な地域でのテロリストハントも武警特戦の任務だ、新疆での対テロ作戦に武警特戦は公安特警と共に投入されている

以上が武警主力部隊である内衛部隊の大まかな概要だ。

警種部隊
警種部隊は国務院の関連部門と武警総部の2重指導を受ける一種の専門部隊である。
これらの部隊は解放軍基幹工程兵部隊がそのまま武警に移管されてきたものであり解放軍兵力削減の受け皿としての武警の特徴的な一面をよく表している部隊である。
普段は国家建設プロジェクトへの参加等をしているが駐屯地域での突発的事態(要するに暴動)が起きた場合にはその対処に当たるなど治安維持任務も担っている。

水電部隊
水利部の指導を受け山間部でのダムや発電所建設に従事している。

交通部隊
武警総部と交通部の指導を受けて国家インフラの建設をしている。

黄金部隊
武警総部と国土資源部の指導を受け金鉱の探索と採石、管理、また金鉱や砂金の不法採掘の取り締まりをしている。

森林部隊
武警総部と林業局の指導を受け森林火災の防止、消火、森林資源保護のため盗伐の取り締まり等をしている。

武警水電部隊の装備、土木工事のための重機を多数保有している

雪かきを行う武警交通部隊




武警森林部隊の消火演習、広大な中国の森林防護の為消防ヘリや消防戦車、全地形車など多数保有している

消防武警のZ-8ヘリによる消防訓練




警種部隊は保有する多くの重機を生かして災害発生時に活躍している

突発的事態に備えての暴徒鎮圧訓練も欠かさない(暴徒鎮圧訓練を行う武警水電部隊)

警種部隊の特徴は武装警察と言う名前からは想像できない専門的な任務を有していながら治安維持作戦も担当している事である。

公安系統部隊

公安系統部隊は公安部の指揮を受けるカテゴリー上は武警部隊の公安現役部隊である。

警衛部隊
警衛部隊は公安部警衛局の隷下にある部隊であり主に指導者、外国要人、重大な政治活動の警護が主な任務である。

消防部隊
消防部隊は公安部消防局の指導を受ける部隊であり名前の通り消防を専門とする部隊である。
消防部隊の特徴としては武警部隊で唯一治安維持任務が課されていない点であろう。

公安辺防
公安辺防は公安部辺防管理局の指導を受ける国境警備隊である。


消防隊の猛士とバイク、いずれにも武警のマークが入っている

公安辺防のパトロールカー公安辺防は公安と同じパトロールカーを使用する

比較用:武警のパトロールカー

国境の町の治安維持も公安辺防の任務だ

港のある都市にも公安辺防は駐屯する

とまぁなんか長々と書いてしまいましたが今の武警の部隊概要は大体こんな感じですね~ってところです。
武警は警察なのかとかそういう話はまた別の機会に書こうかと思います
それでは~

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