花をとるなら
崖上の花をとり。
おちるとも
そのときに一度
きみの名をよび。
（大江満雄「崖上の花をとり」）
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
やめるはひるのつき
いちめんのなのはな
（山村暮鳥「いちめんのなのはな」）
ええ、僕はずっと同じです。
恐ろしく同じです。
香水は変えるかもしれません、
キティちゃんは嫌いになるやもしれません、
牛乳が飲めるようになるかもしれないし、
大金持ちになって威張り散らすこともあるでしょう。
少なくともこの三箇月以内に髪型は変えるに違いありませぬ。
けれども、何も変わらない。
僕はずっと今のままです。
（嶽本野ばら「それいぬ」）
僕はやがて知ることになるエーテルというものを、
その時、生まれて初めて感じた。
そして涙があふれた。
（岩井俊二「リリィ・シュシュのすべて」）
リリィ・シュシュを本当に理解できる人間なんているはずがない。
共鳴に成功した僕を除いては。
リリィを汚すな。
リリィを汚す者は万死に値する。
（岩井俊二「リリィ・シュシュのすべて」）
人と話すのが苦手だから
公園や森へ行って
木や草や雲を見ながら
ひとりですごすんだ
植物はぼくが話しかけても笑ったり
あきれたりしないし
みんな優しい
（小椋冬美「エンジェル・ブレス」）
それは貴兄の造語の「花骸骨」といふ言葉です。
実に、新鮮で香気の強い、そして詩趣の豊富な好い言葉ですね。
この言葉一語によつて僕はすつかり魅せられてゐる。
（萩原朔太郎・中西悟堂宛書簡）
