goo blog サービス終了のお知らせ 

NPO植物資源の力

山の森から海の森までの保全、環境負荷の低い未利用資源の活用などNPO植物資源の力の活動記録です。

ホームページが出来ました!!

2010-06-23 01:58:29 | Weblog
当会の活動内容を紹介するホームページが出来ました

これまでに潜水調査した場所の海中映像や、当会の環境学習の考え方、実践事例、海外支援の活動等をご覧いただけます

http://nponap.com/index.html

ぜひ一度ご覧ください
ご意見、ご感想もお待ちしています

NAP第一回総会

2008-07-31 17:51:06 | Weblog
7月28日にNAPの第一回定期総会が開かれました。会場には、理事長の淺川先生や新しく会員になられた袋中学校の松本先生、水俣市役所の大崎さん、地元学の吉本哲郎さんをはじめ、10数名が集まりました。

総会では、淺川先生のお話に始まり、金刺さんから会計報告、先日視察した四国弓削島の報告(詳しくは、弓削島探訪記をご覧下さい)、そして今年度NAPが取り組んでいく活動、①袋中環境学習、②EM菌による水俣湾の浄化、③サマルカンドぺーパーの復元とオアシス都市サマルカンドの復興をメインに話がありました。
①~③について、簡単にご報告します。


 ①袋中環境学習について

 水俣市袋地区において、“わたしたちの住む町を水の流れを通して考えよう”ということをテーマに、袋中学校の3年生を対象に、環境学習を行います。授業では、水の源流部である山・森と川、そして海の3つの場所で現地学習を行い、山や川、海がどのような働きをしているのかを学習します。10~11月に実施予定で、現在、袋中学校の松本先生を中心に、授業計画を作成中です。

 総会翌日には、松本先生を打ち合わせを行い、山・森担当の赤星さんと池崎で冷水の森を探索に行ってきました。地元の小学生が、遊び帰りに冷たい湧き水を飲みくる様子を見れたり、毎日欠かさず森を掃除しているという近所のおじさんからお話をうかがうことが出来ました。こちらはまた別にアップします。


 ②EM菌による水俣湾の浄化について

 5月末に、EM菌を使って海の浄化に取り組んでいる四国の弓削島を視察してきました。実際にその効果を目の当たりにして、水俣湾においても海藻の森構想と同時進行でEM菌による海の浄化に取り組んでいく予定です。
そのためには、住民の組織化が必要不可欠となります。海の一番の汚染原因は生活排水であり、住民の意識から変えていかなければなりません。また、人手もいります。こちらは、水俣市役所の大崎さんを中心に、現在、水俣市民の皆さんの協力を仰いでいるところです。また、熊大の石田教授や淺川理事長が、科学的なデータを提示するために研究に取り組まれています。ダイビングチームでは、水俣湾で生物調査を行う予定です。
 10月に本視察ということで再度弓削島を訪問し、11月に弓削島で海の浄化に取り組まれている村瀬さんが芦北に来られる際に、水俣の海についても見ていただく予定です。

 ③サマルカンドペーパーの復元とオアシス都市サマルカンドの復興

 サマルカンドは、ウズベキスタンの首都タシケントに次ぐ経済、文化の中心都市で観光資源に富み、伝統的に手工業が盛んなところです。ですが、ソビエト連邦崩壊後は、経済的に沈滞化しており、観光開発に大きな期待を寄せています。
そこで当会では、JICAの草の根技術協力事業により、サマルカンドペーパーの復元と復興に取り組んでいきます。
 当会からは、金刺さん、吉本哲郎さん、赤星さん、池崎が8月6日から1ヶ月間ないし2週間、現地で復興支援に取り組んできます。現地特派員としてまた皆さんにサマルカンドの様子をご報告します:)


 総会後は、アットホームな雰囲気で、おいしいお料理とお酒をいただきながら、会員間の親睦を深めることが出来ました。NAP会員の方々は、皆さんとても多彩で、いろんなことに取り組まれています。とっても勉強になりました。

 NAPの活動もだんだんと活発化してきました全員で集まることは難しいかもしれませんが、みんなで協力して頑張っていきましょう!興味のある活動には、どんどん首を突っ込んでくださいね;)ご協力、よろしくお願いします:)

③海藻の森ができるまで (海中林の遷移過程)

2008-07-07 14:48:45 | Weblog
 海中林は,サンゴモ平原~小型の多年草海藻~大型の一年草海藻~大型の多年草海藻といったプロセスを経て,形成されます。ひとつずつ,簡単に説明していきたいと思います。

(1)サンゴモ平原
 サンゴモ平原には,無節サンゴモが分泌する着低・変態有機物質によって,ウニを始めとする海藻を主食とする動物が多数生息しています。このため,サンゴモ平原に発芽した海藻は,これらの動物によって若い芽のうちに食べられてしまい,消滅してしまいます。

(2)小型の多年草海藻
 しかし,小型の多年生海藻は,ウニやアワビ等の海藻を食べる動物(食植動物)に対して,化学防御物質を生産することができます。そのため,そのような動物に幼芽を食べられることなく容易にサンゴモ平原へ入植し,群落を形成することができます。 小型の多年草海藻群落では,食植動物はあまり見ることができません。

(3)大型の一年生海藻
 小型の多年草海藻によって食植動物が減少すると,海藻が発芽できるようになり,成長の速い大型の一年草海藻が群落を形成します。大型の一年生海藻は,非常に成長が速く,高密度で群落を形成することによって,食植動物の摂食圧に対抗していると考えられています。この大型の一年生海藻が食植動物の摂食圧を吸収することによって,大型の多年草海藻の発育が促されます。

(4)大型の多年草海藻
 大型の多年草海藻の群落が維持されるためには,海底において海藻の若い芽が成長できるように,海底まで光が届くような空間(ギャップ)が必要です。しかし,海水温の変化や海流の蛇行といった海況変動によって,海中林のギャップが拡大しすぎると,大型多年草海藻から海中林の最下層を形成する殻状海藻無節(サンゴモなど)へと遷移が退行する場合もあります。この過程が,磯焼けの発生へと繋がります。


 このようなサンゴモ平原~小型多年草海藻~大型一年草海藻~大型多年草海藻の過程を経て,海中林の遷移が進行します。この遷移は,光と着生基質をめぐる海藻種間の競争関係,食植動物の摂食圧の低下だけでなく,海況条件の変動を引き金とした岩礁生態系の生物種間関係全体の変動として引き起こされています。人間が特定の植食動物を収穫したり,種苗移植したりする行為も,遷移の進行ばかりでなく退行に大きな影響を与えています。海中林を維持していくためには,環境保全を前提とした資源の管理が重要であるということができます。

 本内容は,裳華堂出版のポピュラーサイエンス『磯やけを海中林へ-岩礁生態系の世界-』谷口和也著を参考に,簡単にまとめさせていただきました。まだ私も勉強途中ですので,おかしな点やわかりにくい点等ありましたら,ご指摘ください。また,参考になりそうな本や記事等ありましたら,ぜひご紹介ください。








 

②磯やけが起こる原因

2008-07-07 14:34:14 | Weblog
 磯やけが発生する原因には,生態学的な要因と人為的な要因があります。

 海水温の変化や海流の変化といった生態学的な要因による場合は,磯やけが長期間続いても,いずれは再び海藻の森(海中林)へと戻ります。

 ですが,人為的な要因による場合は,海藻だけでなく沿岸生物の生育に悪影響を与え,その要因が取り除かれない限り,最終的にはすべての生物を死に追い込んでいきます。一度そうなってしまうと,そのような死の海をもとの生物豊かな海へと戻すのは非常に困難です。


 磯やけが起こっている場所では,多数のウニやアワビを見ることができます。磯やけが長期化するのは,これらの生き物が海藻の芽を食べつくしてしまうために,海藻が成長できないためです。


①磯やけとは

2008-07-07 14:18:24 | Weblog
今日は,現在水俣湾でモニタリング調査を行っている“磯やけ”について,ちょっと勉強したいと思います。

①磯やけとは…?

 磯焼けとは,海の砂漠化とも呼ばれますが,海岸に生えているコンブやワカメ,その他多くの種類の海藻が減少して不毛の状態となり,代わりにサンゴモと呼ばれる,うすいピンク色をした硬い殻のような海藻が,海底の岩の表面を覆いつくす状態をいいます。

 日本及び世界の沿岸域では古くから知られている現象ですが,漁業などに大きな影響を与えるため問題となっています。


海藻レポート

2008-06-06 01:36:58 | Weblog
はじめまして。九州大学大学院 生物資源環境科学府の赤星といいます。
水俣の海の調査に、去年の秋頃から参加させて頂いています。
どうぞよろしくお願いします。

遅くなりましたが、浅川先生からの課題”石灰藻”について、先週お隣の研究室の先生におききしてきました!

写真の石を預かってきたわけですが。
このピンク色のべたっとひろがったものについて、です。

これはやはり石灰藻でした。
では簡単に、石灰藻の分類です。

有節石灰藻→枝分かれした形で、石の上に立っています。見た目はテングサみたいな形状です。
周りに石灰を沈着させているので固いですが。名の通り、節があります。
無節石灰藻→ディスク状(盤状)で石に貼り付いています。
ということで、写真の石のピンク色の石灰藻は、
無節石灰藻の一つ、おそらくヒライボではないかということでした。


さてこの盤状石灰藻ですが、見るからに、何となく納得かとは思いますが、
耐久型です。
まず、補食されにくい、流されにくい、と物理的に強いです。
そして温度変化にも比較的強いそうです。
なので、周りの環境が変化しても生き残りやすく、すぐには影響が見られないといえそうです。

実際に、海の浅い所で磯焼けが起こっていて、
そこにある石が一面盤状石灰藻で埋め尽くされている所はあるそうです。
ただ、石灰藻が増えすぎて磯焼けになったのか、
磯焼けが起こったから、そこに石灰藻が急激に増えたのか、
どっちが先かはわかりません。
なので磯焼けの一因が石灰藻だとは言い切れません。
とはいえ、他の藻類の付着を妨げる面はあります。
一度このような盤状石灰藻が石に付着し、全体に広がると、
例えばワカメの遊走子が流れ着いたら、石灰藻の上に定着するしかありません。
しばらくは成長できるかもしれませんが、盤状石灰藻はその上層がペリッと剥がれる
ことがあるのだそうで、そうなると、ワカメはその層もろとも流されてしまいます。

まとめとしては、この様な盤状石灰藻は決して害を持っているものではないのですが、
多様性の低下が、環境への負の結果をもたらす、ということだと思います。
やはり、"バランス"が大切なのですね。

これはフクロノリについても同じことのようです。
確か、昔に比べてフクロノリが多くなった、というお話をどなたかがされていたと思うのですが、(勘違いだったら、ごめんなさい!)
フクロノリ自体は有害ではないし、特に環境が悪い所に生えるものではないそうです。
でもやはり、特定の種が大きく増えたということは、
どこかのバランスが崩れて、海藻の種類数が減っていると考えられます。

そのためには、どのような状態がバランスが良いのか、また、
今どのようにバランスが変化していっているのか、を知って、
そこに慎重に手を加えることが重要だと思います。

ということで、私は早く調査に役立てるよう、頑張らねばです...!


弓削島探訪記4

2008-06-03 02:00:20 | Weblog
 実際に村瀬さんに海岸を案内していただいて、少しずつではありますが、ちゃんと目に見える形で、海の状態が改善されてきているのがわかりました。アマモが生えてきている様子も見ることができましたし、海岸にはカニや何種類もの貝が戻ってきていました。豊かな海へと再生していっているようでした。

 NAPでは、弓削島での取り組みを参考に、水俣市や水俣の子供たち、市民の方々と協力して、水俣湾の浄化に取り組んでいきたいと考えています。皆さま、引き続きご支援・ご協力、よろしくお願いします!

弓削島探訪記3

2008-06-03 01:58:51 | Weblog
 EM菌を使った浄化を始めてから、まずヘドロがなくなり、アマモが戻ってきました。海藻の森も少しずつ復元してきました。そして、生物の姿がほとんど見えなかった海岸に、アサリやハクセンシオマネキ(カニ)が戻ってきました。

 弓削島の小学校や中学校では、授業の一環として、EM菌の団子を作ったり、それを海に散布したりして、担当する海岸の浄化に取り組んでいます。高校生はこれらの活動の記録をとっています。大人やお年寄りも、EM菌の団子づくりやどぶさらいに協力しています。このように、子供からお年寄りまで、島民みなさんが参加して、現在も海の浄化が続けられています。