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Visual Studio 2005 Express Edition

2006-07-19 18:12:26 | PC

ちょっとしたユーティリティーが欲しくなり、マイクロソフトの Visual Basic 2005 Express Edition を使ってみた。

以前に無償ダウンロードが始まったときに落としてあった ISO イメージを、Daemon tools を使って、CD-Rを焼くことなくインストール。何を隠そう Visual Basic を使うのは初めてだったが、しばらくメニューを覗いているうちに、以前に使っていた Delphi と非常に良く似ていることが分かり、思ったよりスムーズに使い始めることができた。というか、プログラム作成の枠組みが Delphi と余りに似ていて驚いた。構文こそ BASIC がベースになっているが、それ以外はそっくり。どちらがどちらの真似なのかは知る由もないが…。

コンポーネントの一覧を見る限り、昔ながらのクライアントサイドのアプリケーションを作る分には十分そうな印象。TCP/IP 回りは不明だが、 RDBとの連携など業務使用でなければ、個人で使う分には不満点は多くないのではないか。無償とはいえ(無償だからか)ヘルプもかなり充実している。ガイド・ツアーから始まり(初心者にはこのヘルプはとっつきやすいとは言えないが)ここから学ぼうとすれば、VB初心者レベルからの一通りの情報が入っている。

この VB (だけでなく C++ なども) 2500 Express Edition は、そもそも従来からパッケージ版でも販売されている(定価4800円、マニュアル本同梱)もので、今でもパッケージ版も存在するものの、そこに入っているメディアの内容と同じものを無償でダウンロードできる以上、パッケージ版はほとんど売れていないであろう。入門書は別に買えばいいわけだし、疑問点があれば、サポートに電話するまでも無くネットで情報収集できる時代なのだから。

今回の無償ダウンロードは、VBユーザーにとってはうれしいことだが、MS にとってはかなり機器を感じているのであろう。VS という、クライアント開発環境においてトップシェアを持っている MS が理由もなしに製品をダウンロードさせるわけが無い。今回の件は明らかにWindows アプリケーション開発者の裾野を広げたいという意思表示であり、逆にいうとその裾野が狭まってきているということであろうからだ。パソコンの黎明期においてはユーザー≒プログラマという状況が、コモディティー化していくに従いプログラムを組む人の割合が低下しているというのは以前から言われていたことだが、今回のきっかけはそれだけとは思えない。

数年前までは、個人プログラマといえば VB で Windows 用のアプリケーションを作るというのが定番であったが、最近は、プログラム初心者が、PHP, Perl といった、「ネットの向こう側」の環境から始めるという例が増えている。自分で何かソフトウェアを書いてコンピュータに自分独自の何かをやらせたいという潜在的なプログラマは相変わらず存在しているのだが、Windows に必ずしも依存しないプログラム環境の多様化により、VS ユーザーがかなり減ってきているのではないだろうか。それに歯止めをかけたいというのが今回の無償ダウンロードではないか。

Windows といったプラットフォームを盛り上げるためには、コミュニティーの存在が欠かせない。本来コミュニティーを引っ張っていくようなコアなユーザー(パワーユーザー)はプログラマとも重なるが、その層が薄くなってしまうのは、MSにとっては脅威のはずだ。そのパワーユーザーがネットの向こう側に移って行き、(プラットフォームに依存しない)Web の世界がより盛り上がってしまうのは、Windows の重要性をより低下させてしまうことになるからだ。

無償ダウンロードした VB で快適にプログラムを作りつつ、パソコンにとっての時代が、着実に変化しつつあることを実感する。