小学何年の時だったかは忘れたが、7月から8月にかけて、ジュースやビールの王冠を集めていた時期がある。
王冠は、酒屋さんの空き瓶置き場にあったものをもらって集めていた。酒屋さんは王冠の宝庫で、数々の珍しい王冠を手に入れることが出来たのだ。県外の特産ジュースの王冠、なぜかジュース瓶に入ったコーヒー牛乳の王冠、家ではお目にかからない酒類の王冠。当時は珍しかったオリオンビールや、海外のビールの王冠もそこで手に入れたのだった。
ただ、ぼくが一番好きだった王冠は、酒屋でしか手に入らないような珍しいものではなく、三ツ矢サイダーの青の王冠だった。
当時の三ツ矢サイダーには、赤の王冠と青の王冠があったのだが、なぜか赤の王冠に安っぽさを感じ、青の王冠に高級感や威厳を感じたものだった。
元々黄色や赤系の色が好きだったぼくは、ある日突然青系の色を好むようになったのだが、きっとその要因の一つに三ツ矢サイダーの王冠があるはずだ。
さて、そういやって集めた王冠も、夏が終わると興味がなくなり、いつの間にか捨てていた。いや、捨てられていたのだろうか。もしその時捨ててなかったとしたら、缶全盛の現在だから価値が出たかもしれない。