たとえば風邪を引いた時とか、たとえば腹が痛くなった時とか、ぼくはいつもそうなのだが、ある程度時間が経つと「治った」という気がするのだ。すると決まって病気は治っている。
胃痙攣を起こした時もそうだった。
二十代の頃だが、ある日突然胃が痛くなったことがある。最初は時間が経てば治ると思っていたのだが、二日経ち三日経ってもまったく治る気配がない。そこで意を決して医者にかかろうと思ったのだった。
その日は這うようにして家を出た。電車に乗っている時も、駅から病院まで歩いている時も、何度か痛みが襲ってきた。
その痛みと必死に闘いながら、
「もしかしたら悪い病気かも」
などと弱気の虫も出てきたりした。
ところがである。病院に着いたとたん、突然「治った」という気がしたのだ。それから痛みがなくなって、弱気の虫も消え失せた。青白かった頬のあたりにも、赤みがさしている気がしたものだ。
とりあえず診察してもらったのだが、医者は「何をしに来たんですか?」と言うような顔をしていた。
いろいろ検査をやってはみたが、症状は認められなかった。家に帰ると、それまでなかった食欲も出てきた。いったいあの痛みは何だったんだろうと思ったものだった。
その状態が今日またやって来たのだ。ここ数ヶ月話題にしている高血圧だ。
今朝ふと「治った」ような気がした。そこでさっそく血圧を測ってみると、ほぼ正常値に戻っていたのだ。
これで筋トレも出来るようになるな。これが自然治癒力というのだろう。感謝である。