第22章：ほどほどに頑張れカステジョン-福田をもっと出せ

・・・これだからカステジョンは信用できない。現在2部首位のXerez（＝シェリー酒で有名なヘレスのチーム）に３－２で勝ちおった。こないだのLELIDA戦の試合ぶりからしても、０－３ぐらいで惨敗し、晴れて指定席の最下位へ返り咲きと誰もが予想した。そして今回は、チーム自体は２の次にして福田の応援のために、カステジョン日本人会、というか私の勤務会社の社員及び家族13名でカスタリア競技場へ乗り込んだのであった。

ところがだ。何が起こったのだ。試合開始から、カステジョンやけに動きがいい。私にもその違いがはっきり判るほどだ。パスがつながりまくる。ボール支配率６：４から７：３。おいおい、点の匂いがしてきたぞ、馬鹿な、と思っていたら、開始9分、Xerezディフェンダーの裏に鋭く出したボールをクロスして、それをゴール前に駆け込んだ主砲Raul Sanchezが叩き込んだ。サッカーの教科書に載るような見事な連携。予想外の展開に、場内大熱狂。

小癪な！カステジョンめが。調子に乗るとすぐひっくり返されるぞ。その4分後、あっさりおいつかれたので、へへん、やっぱ首位と21位の差やね。やはりこの後は予想通り総崩れ・・・と思ったら、38分、またやりおった。1点目と同じように裏深く切り込んで、グラウンダーのパス、キーパー前をスルーして反対側左に待ち構えていた、Tabaresがこれも見事に蹴り込んだ。うぬううう！この福田と同じく新顔のアルゼンチン野郎、福田より先にゴールを決めちまった。こいつだけには決めて欲しくなかったのに！何をやっているXerez！（どっちの味方なのだ）。

2－1カステジョンがリードしたまま前半終了。いかん、このままでは我らが福田の出番が無くなる。ハーフタイムに我らが福田、グラウンドに登場。我々の前でパス練習・・・あっ、でもジャージを脱いだやつが3人アップしてやがる。あああ、我が日の丸応援団に落胆が広がる。顔に出したら周囲の連中に殴り殺されかねないので黙っていたが、我々全員心の中で「へれすー、点入れろー、このままじゃ福田様の出番がなくなるー。」と願っていたのであった。

後半12分Xerezヘディングで同点に追いつく。よし来たぞ！フォワード交代じゃ！と思ったら、カステジョン、たてつづけに二人別の人間入れおった。この時点で、もう交代ないだろな、ああ日曜の晩に今日は何しに来たのだ。もう帰ってサザエさんでも見ようか（＜＝見れない）、と思っていたそのとき、突如福田、ジャージを脱ぎ捨てて颯爽と登場。アップを開始する。待ってたぞ！そして残り13分で、移籍後初得点でご満悦のアルゼンチン野郎と交代。行け、敵はXerezじゃない。アルゼンチン野郎だ！ここで決勝点を入れて、明日の朝刊トップをいただきだ。

・・・だがこの短い時間ではいかんせん何ともしがたい。福田、精力的に動き回るのだがボールが来ない。カステジョンめ、得意技のヨソ者いじめじゃあるまいな。それでも福田、中盤でボールを受けて、ドリブルで攻めあがり、ディフェンス裏に垂直のパスを入れる。回り込んだカステジョン野郎がそれをクロスあげようとするが、キーパー直通。後は、福田がボールを触ったのは2，3回のみ。

で試合がどうなったかと言うと、何と終了5分前、またRaul Sanchez、混戦の中から入れやがり、勝ち越し。はよ終われ～はよ終われ～の場内大合唱の中、本当に3－2のまま試合終了。カステジョン、首位Xerez相手に大物食いで勝ちおった。場内狂乱状態。嫌だ～！こんなん見に来たんやない～。だが、一緒に来ていた会社のスペイン人同僚(熱狂的サポーター)の手前、しんたろうさんも心では不満たらたらなのだが、わざとらしく大喜びのフリをしつつ周囲の連中と次々と握手(＜＝信念がない)。

それはともかく、そろそろ、新聞で「福田はよ点入れろ」の声が出始めた。待たんかい。まだ合計200分ちょいしかピッチに入っとらんだろが。まだ2試合ちょっとではないか。福田はやる！必ずやる！だから特にカステジョンのフォワード、下手に頑張るんじゃない。


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ところで、ハーフタイムに我々の席近くに吊るした日の丸を直していたら、あら？何か東洋人ぽい、3歳くらいの女の子がかけまわっとる。あらら、これは・・・と思ったら、すぐ私の隣にどこかで見た覚えのある綺麗な日本人のお姉さんが立っているではないか。そうです、福田夫人。

後はご想像どおり。会社の同僚と言うか、奥様方が集まって、まあまあまあ、これはこれは、どうもどうも、えーえー、大変ですよねー、応援してますよー、まーまー、今度遊びに来て下さいー、と周囲のスペイン人注視の中、これぞ日本人奥様会のほのぼの光景を繰り広げる。実際そのうち、福田選手激励会とかやりそうな雰囲気だなこりゃ。

福田様とお近づきになれるのは無論嬉しいのだが、さて、しんたろうさんはちょっと困ってしまった。言いたい放題の本ブログ。このままいけば、その存在が同僚にバレるのが時間の問題になってきたな。おそらくこうなる。

① 福田の昔からのファンや近親者が、「現地在住の日本人がブログで書いているよ」と福田及び夫人に教える。
② ＝＞奥様会で、福田夫人「そう言えば、何か皆様の中でブログで主人の応援してくださっている方がいらっしゃるとお聞きしましたが・・・」
③ ＝＞同僚の奥様「えっ、そうなんですか？誰かしら。」＝＞福田夫人「何か、カステジョンのこと言いたい放題書いてもいるらしいです」
④ ＝＞　同僚の奥様「ほほほほ、そんなもん書く人間、一人しか思いつきませんわ。」

そういうわけなので、当分、いい子にすることにしますー。個人的な話もこっ恥ずかしいので、過去のネタの類も証拠隠滅しときますー。皆さん～今までのことは忘れましょうね。


つづく


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