「これは性格出るんです」
「スジナシ」のプレビュートークで鶴瓶が言った一言。
北村氏は「人にやらせる」..つまり上手く誘導して
相手に乗らせておいて最終的には主導権を握りつつも、
ある一定のエリア以内は近寄って欲しくないバリアを張ってるそうで。
これ聞いてはは~ん..と納得した。
うんやっぱりこのスタイルはこの人の本質なんだろうと確信。
主役を演ずるより2~3番手の方が性に合うというのも最もだし、
またその方がより輝きが増すと常々いわれてる所以でもある。
そして彼の演技スタイルと言えば、徹底的に役を作り上げると言う事。何度も試行錯誤しつつ完成させる。
だから「スジナシ」のような一発イマジネーションの即興劇はむしろあんまり得意じゃないんじゃないかな。
こういうのを聞くとなんか自分と凄く共通点を感じてしまって勝手に親近感(笑。
“いくらでも予算があるからやりたい事何してもいいよ”という状況より
“限られた条件でできる限りの工夫を凝らして相手を納得させる、それについては努力をいとわない”という方が数倍得意な私。
勝手に想像するに北村氏も多分このタイプじゃないかな...ちょっと嬉しかったり(笑。
評論家の言葉よりお客を納得させ楽しませたいっていう言葉からも
そういう職人型性分なのがわかる。
誤解を恐れずに言うと北村一輝という人はけっして天才肌の人ではないだろう。
なぜなら天才肌の人というのはもっと若いうちから輝きを放つものだから。
初期衝動と一瞬の輝きこそMAXなんだよね。
そして真の天才でない限り年と共に才能が枯渇してしまう人も多いのも確か。
職人肌の人はいうとその逆。
彼のエキストラ時代のちょい役なんか見てるとお世辞にも輝いてるとは言い難く、こんなイモにいちゃん(失礼)が、よもや現在のような芳醇な香りを放つセクシーかつ演技派俳優に育つとは、多分あの頃の彼を見ていたら思わないんじゃないかな。。。
そういう意味でもこの人は、自らの経験と努力を糧に成長するタイプの俳優さん。
しかし彼の場合、ただの職人気質の俳優とはやはり一線を画してるのよ。
そういう職人的気質と天性の素質と煌めきが、奇跡的な絶妙のバランスで輝いているのが現在の北村一輝という人なんだろうな。
同時に、恐らく数々の経験から自然に身に付けたと思われる“相手をレフ板にして自分がより輝く”という演技スタイルを確立しつつあるのだろう。
最初に戻るけど「スジナシ」の中での“人の背中を見て演技するのが好きだ”という言葉からも容易に想像できる。
皆月のアキラちゃんみたい。いい意味で“月”としての存在。
そう思うと彼のポジション最適と思われるのって
かつての勝新太郎&田宮二郎の
「悪名」(旦那が好きなんだ..この映画)における
田宮二郎のポジションなんだろうな..と思ったりする。
となると北村氏にとっての勝新は?って事になるのだけど
具体的に考えるとなかなか思い付かないんだこれが。
もし、こういう形で映画にでもなったら絶対ハマると思うんだけどね~。