自分セラピー

「自分を好きでいる」ことは人生を豊かにしてくれます。そこに気づかせてくれる沢山のファンタジー文学を紹介していきます

『夏の庭』 湯元香樹実

2009-05-25 18:02:04 | ファンタジー
カトマンズへの旅の友に、何冊かの本を持参しました。

伊坂光太郎の『オーデュポンの祈り』
梨木香歩『植物園の巣穴』
そして、湯元香樹実『夏の庭』と『ポプラの秋』

カトマンズまでは、タイ・バンコク経由か、香港経由。
ボクは、少しだけ安い、タイ・バンコク経由で行きました。

でも、トランジットの関係で、結局バンコクで宿泊しなければならなかったので、金額はたいして変わりはないんですけどね。


バンコクまで約6時間。
バンコクからカトマンズまで3時間半。

長い旅路でした。

もちろんウトウトしましたが、大半は読書。

ボクのブログ「KATHMANDU」の最後にも書きましたが、旅の最後に「死」を見つめることになりました。

その時点で、もう既に読み終えていたのがこの『夏の庭』



なんとなく書評を見て、購入した本でした。
ボクにとっては初めての作家です。

3人の小学6年生。
そのうちの一人、山下のおばあさんが死んだ。
眼鏡の川辺と、ぼく「木山」は、人が死ぬことにものすごい興味を持つのです。

近所の一人暮らしのお爺さんが、今にも死にそうだといううわさを聞きつけた3人は、毎日学校帰りに、おじいさんの家を「観察」し始めました。


「死ぬところ」を見ようとしたわけです。

確かに、毎日テレビをつけっぱなしにしていて、炬燵に入って横になっているだけのおじいさんは、今にも死にそうに見えました。


ところが、3人に見張られていることに気づいたおじいさんは、次第に元気になってしまうのです。


夏休みに入る前から、夏休みにかけて、この3人はこのおじいさんと次第に交流を深めていきます。


そして、おじいさんも3人の「ぼくら」も、かけがえのない大切なものに出会ってきます。

「死」とは何か?
「死んだらどうなるのか?」

誰にもこたえようのない永遠の問いかけをとおして、今生きている大切な「何か」を見つけていく物語。

小学生の「ぼくら」の視点で書かれているので、難解な哲学のようなアプローチではなく、一つ一つの場面が温かみをもって描かれています。


映画にもなったそうなので、観た人もいるかもしれませんね。
書評を描いている玖保キリコさんという漫画家は、映画を先に見たそうです。

「三人の少年があまりにも映画のとおりだったのでびっくりしてしまった」
そんなコメントを書いています。

ボクも映画観てみようっかなぁ・・・。

ちょっぴり胸が熱くなる素敵な作品でした。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿