学生のころ、町のレストランでアルバイトをしたことがある。
ある日のこと、老夫婦のお客様がみえて食事をされたが、注文した料理を食べきれなくて残してしまった。
そのお客様がコックさんを呼んでくださいというので、コックさんにお客様の席へ行ってもらった。
お客様は、料理がたいへん美味しかったことをコックさんに伝え、食べきれなかった分を家族に食べさせたいから持ち帰りたいとコックさんにお願いした。
私は、コックさんが怒るんじゃないかと心配したが、コックさんはとても上機嫌になり、私に下げさせたお皿から、鼻歌でも飛び出しそうな楽しげな表情で、飾り野菜をつけたりして、見事なオードブルのようなパックを作って客席に持っていった。
その時の楽しげだったコックさんの姿は今でも印象に残っている。
美味しかったと喜んでもらったこと、食べ残しをしなかったこと、喜びのおすそ分けを家族にしてもらえるが嬉しかったのだろうと思う。
おおよそ40年まえのことを時おり思い出す。
(画像は販売サイトより引用 )